2021世界アルツハイマーデーの最新のSR
毎年9月21日は世界アルツハイマーデーです。認知症の理解を広げるためのイベントが各地で実施されています。社会で「認知症」はかなり浸透してきていますが、今どのくらいのエビデンスがあるのでしょうか。認知症といえば、「その人を中心とする」パーソンセンタードケア(Person-Centered Care: PCC)が重要だとされていますが、どこかつかみどころのない概念になっています。一体具体的にはどんなエビデンスがあるのでしょうか。9月21日時点で最新のシステマティックレビューを紹介します。
9月17日に配信されたJournal of Alzheimer's Disease (4.47)に掲載された"Key Intervention Categories to Provide Person-Centered Dementia Care: A Systematic Review of Person-Centered Interventions (PCCを提供するための主要な介入カテゴリ:PCC介入のシステマティックレビュー)"を紹介しよう。
このシステマティックレビューの目的は、公表されているPCCを基盤とした介入を特定し、主要な介入カテゴリーとして分類することでした。
1,806件の介入研究を調べて19件の研究の内容を精査しました。その結果、すべて心理社会的介入の範囲をカバーしており、多くの場合、複数の要素を含んだ介入で、いろんなアプローチをとっているものでした。どんなPCCの介入があるかというと、以下の9つの要素に分類されました。
社会的接触
身体活動
認知的トレーニング
感覚の強化
日常生活支援
ライフヒストリーに基づいた感情的サポート
介護職へのトレーニングとサポート
環境調整
介護組織
結論としては、PCC概念の下でのどれも重ならない異質なアプローチが実施されていて、それなりに効果が出ているということでしたが、複数のこれらの要素を盛り込むことが重要であるとしています。このような介入の実態があると、PCCの概念関連付けられる主要な要素を特定することは難しいように思います。特に「その人中心」ということにおいては、具体的にどういうことなのかということを明文化できないということになります。しかし、上の9つの要素を見てみると、どうやら関係性(人、環境、組織など)に焦点を当てることで、何か本人にとって良い効果が得られるかどうかをこれからも追究していかないといけないと思いました。(文責:山川)
参考SR:Mohr W, Rädke A, Afi A, Edvardsson D, Mühlichen F, Platen M, Roes M, Michalowsky B, Hoffmann W.Key Intervention Categories to Provide Person-Centered Dementia Care: A Systematic Review of Person-Centered Interventions. J Alzheimers Dis. 2021 Sep 17. doi: 10.3233/JAD-210647.
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