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Youtube広告は変わるべきだ ②


#Kutoo の運動について「女性の問題じゃなく健康被害の問題として取り上げればいいのに」と言う人が少なからずいることを私は知っている。

 しかし、その健康被害の問題は女性の問題と地続きなのだ。

 前回の記事でYoutube広告に含まれる差別表現について紹介したが、今回はこれらの広告がどのように女性の健康被害と繋がりを持っているのかについてお話したい。



メディアの影響力


 私たちは皆それぞれコンプレックスを持っている。顔つき、体型、肌の色、毛など。それは幼い頃から雑誌やテレビなどで「白く、小顔で、足が長く、毛のない女性が魅力的」だと毎日のように教え込まれているからだ。

 そのメッセージを無意識のうちに取り込んでいる女性は、自分はそうあるべきで、そうでなければ醜いのだと自己肯定感を徐々に下げていく。また男性は、女性はそうあるべき生き物(あるいはそれが当たり前)なのだと勘違いし、理想像を現実の女性にも押し付け評価するようになる。

 モデル・女優の体重や容姿は何もせずに得られるものではないということに気づいてほしい。大変な苦労とお金をかけ、時には健康に支障をきたしながらあの姿を維持しているということに。

 メディアがこれまで社会に与えてきた影響を考えると、責任は重大だ。若者の関心が主にオンラインになりつつある今、同じようなことを繰り返していいのだろうか?



少女達の自己肯定感


 ユニリーバのビューティーケアブランド「ダヴ」が発表した少女たちの美と自己肯定感に関する世界調査(2017年)によると、日本の10代女性の93%が容姿に「自信がない」と答えている。

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画像:Saori Ibuki / Buzzfeed


 調査は世界14カ国の10〜17歳の女性5165人を対象に実施されたが、容姿に自信がない女子の割合は日本がダントツで1位だ。



成長期とダイエット - 摂食障害のリスク


 成長期の女性の体への負担は大きい。きれいでなければならないという強迫観念、サプリや食事制限などによる摂食障害のリスクの高まりは無視できないものだ。

摂食障害には

 (1)極端な食事制限をする「神経性食欲不振症(拒食症)」
 (2)むちゃ食いと嘔吐など代償行為を繰り返す「神経性過食症(過食症)」
 (3)過食するが代償行為のない「過食性障害」

などがある。

 年齢層でみると、日本では拒食症は推計1万3千人で10代に多く、過食症は約5千人で20代に多い。推定発症年齢をみると10代の占める割合が年々増加し、若年(10代後半)発症の傾向を示している。

 女男比は20対1で、一般に90%以上が女性と報告されている。摂食障害は未受診例や治療中断例が多いのが特徴。日本では地域の一般住民の調査がなく、医療機関の学校と調査のみのため、受診していない患者の数や実態の把握には限界があるとされる。


参照:摂食障害について / 厚生労働省
   摂食障害の現状 / 摂食障害全国基幹センター長 安藤哲也



Instagramの取り組み


 ところで、これらのオンライン広告による健康被害に目を向けたのはもちろん私が最初ではない。みなさんは Instagram やFacebookがダイエットや美容整形に関する広告を18歳以下に表示しないよう方針を変えたのはご存知だろうか?

 特に広告で問題視されたのは、食欲抑制剤やデトックスティーなどだ。Youtube広告でも共通して使われる宣伝文句「有名人が使用して奇跡みたいに激ヤセ!」をうたい、多くの消費者を集めていた。こういった宣伝は”美”へのコンプレックスを抱える女性の購買欲を刺激するのだ。Instagramのインフルエンサーは有名人だとフォロワーが1億人を超える。

 以前からInstagramでは、若者への影響が不明瞭な商品やEU非認可の製品をステルスマーケティング(見ている人に広告だと分からないように宣伝)するセレブやインフルエンサーたちへの批判があり、2019年にInstagram公式が規定を新しくしたという流れだ。

 またこれに賛同する活動家が I Weigh というアカウントで、女性へ”美”の基準を押し付けるようなコンテンツや不健康な製品を広告する有害コンテンツに対抗する形で発信し、現在も支持され続けている。


参照:Instagram Bans Promotion of Toxic Diet Ads to Minors / Jeena Sharma
   Instagram announces new policies for promoting diet products, cosmetic procedures / Catherine Thorbecke - abc News




 今や若者世代の生活の一部ともいえるYoutube広告は、少女たちに与える健康被害を意識した上で広告制作をすすめて行くべきだと私は考えている。

 そして繰り返すが、これは単なる健康被害の問題ではない。女性に健康被害を及ぼす原因には、メディアにおける女性軽視と根強いジェンダー観の押し付けが背景としてあるのだ。




前回記事:Youtube広告は変わるべきだ ①



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