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ブラックビスケッツ 楽曲特集(1997‐1999)

1996年から2002年にかけて日本テレビ系列で毎週金曜日のゴールデンタイムに放送され人気を博したバラエティー番組「ウッチャンナンチャンのウリナリ!!」。
そんな番組内から1997年に登場したユニットがブラックビスケッツです。
放送開始の1996年頃より度々番組にも出演し、その天真爛漫なキャラクターで人気だった台湾出身のタレントであるビビアン・スー、レギュラーだった南原清隆さん演じる南々見狂也、キャイ~ンの天野ひろゆきさん演じる天山ひろゆきの3人により結成されたユニットです。

元々は1995年に同番組内で結成されたユニット「ポケットビスケッツ」に対抗する悪役として登場。番組内で行われる様々な対決(利き酒、利き寿司、利き麺、綱渡りなど)で双方バチバチとしている雰囲気が醸し出されていたのは覚えています。
また、公式グッズとして販売した木彫りの「ブラビ像」が各地でなかなか売れなかったり、台湾デビューを目指していたものの、台湾の多くの音楽事務所に断られ、デビューが遅れたりなど幾多の困難にも直面しています。
1998年4月には大ヒットシングル「Timing」を発売。この際もポケビとの売り上げ対決(ガソリンすごろく対決)を行っており、ポケビに勝利。負けた方は新曲のマスターテープをプレス工場で破壊されることが決まっており、ポケビは発売予定だった新曲のテープを工場で破壊、ブラビにはやはりクレームも入っていたようです…が、この頃からだんだん悪役の雰囲気も消えていき、丸くなっていく様子が伺えました。
また、1998年にNHK総合で放送された「第49回NHK紅白歌合戦」にもポケビとともに出演が決定しました。

1999年5月には中国出身の新メンバー、ケディ・ティンがオーディションに合格し新メンバーとして加入。そして4人組となりました。が、最新シングルの売り上げが過去最低と悪く、ペナルティ?で一部メンバーが脱退。また、活動が出来ないという理由で自然と活動休止に陥る状態に。
その4年後の2002年3月12日、番組が最終回を迎えるために東京国際フォーラムで開催されたイベント「運命のファイナルステージ ウリナリ祭り 〜7年間の総決算〜」で4人は再び揃い、楽曲を披露しました。
それから20年後の2022年12月3日、日本テレビ系列で放送された音楽番組「日テレ系音楽の祭典ベストアーティスト2022」にケディを除く3人で急遽出演、同日にはサブスク解禁も行われました。
また、2023年12月3日には3人でインスタライブを配信、同年の「第74回NHK紅白歌合戦」でも特別枠でポケビと共に25年ぶりの出場を果たし話題となりました。

今回は1997年~1999年にかけてのブラックビスケッツのシングルやアルバム曲を振り返っていきます。


1st Single 「STAMINA」

 STAMINA

1997年12月3日に発売されたブラックビスケッツのデビューシングルです。「ウッチャンナンチャンのウリナリ!!」のエンディングテーマとして使用され、オリコンチャートでは最高週間2位、1998年の年間オリコンチャートでは28位を記録しています。
発売日近くはSHAZNAやZARDも新曲を出しており、かなり接戦になっていたのが伺えました。
ちなみにオリコンで初登場が26位以下だと強制的に解散を命じられており、かなりのヒットにより解散は免れました。

作詞はブラビのメンバーと森浩美さん、作曲は林田健司さんが担当、歌詞は「スタミナ至上主義」のようなもので、スタミナの重要性を説いています。
また、途中では食べることと睡眠の大事さも説いており、どうしても不摂生しがちな社会人には沁みる歌詞なんじゃないかなと。
バラエティー番組の曲だからといって、一切ふざけておらずかなり真面目な事を歌った楽曲ですね。
メロディもヒップホップ系?というか、力強さがありファンキーで乗れる雰囲気です。
ボーカルは3人とも担当しています。メンバーの掛け合いも楽しいですね。ちなみに台湾でも発売され、台湾名では「闘志」というタイトルなんだったそうです。
PVは実写と90年代らしいクレイアニメにより構成。スタジオやヘリポートで歌ったり、ダンスを行なったりと盛りだくさんの映像です。それととにかくビビアンが可愛い。

1997年12月18日、東京都の日本武道館でライブを行うことが決定、しかしこれは番組キャラクターのホワイティの前座というものであり、3つの対決を越え先にゴールした方が武道館に立てるというものでした。
まず、福岡県築上町から兵庫県神戸市まで移動しCDを売りさばく「CDセールスの旅対決」(ブラビはSTAMINAを売りさばいた)、その後静岡県の浜名湖で「綱渡り対決」を、その後、浜名湖から日本武道館までサイコロをふりながらガソリンスタンドで給油していく「ガソリンすごろく対決」を開催。
結局ポケビが勝利し、ブラビが敗北か…と思われたのですが、結局双方とも武道館のステージに立つことができハッピーエンドとなりました。


2nd Single「Timing」

 Timing

1998年4月22日に発売された2ndシングルです。オリコンチャートでは週間2位を獲得、1998年の年間オリコンチャートではなんと4位を獲得しています。
1998年のヒット曲としても挙げられることの多い楽曲ですし、ブラビの代表曲かつ最高売り上げを達成した楽曲でもあるほか、また芸人が出した楽曲の売り上げに絞ると148.3万枚と売り上げ2位にランクインしています。
「ウッチャンナンチャンのウリナリ!!」のエンディングテーマとして使用され、2011年2月にはビビアンが単独出演した「スリムビューティハウス」のCMソングにビビアンのセルフカバー版が、2016年7月16日にはTOKYO MX等で放送されたテレビアニメ「ReLIFE」の第3話エンディングテーマとして使用されました。

作詞は前作同様森さん、作曲は中西圭三さんと小西貴雄さんの共同名義となっています。
歌詞は個性や多様性を認めるようなもの。「ズレていてもいい、それは君のタイミングなんだから。そのズレが周りを和ませる」要約するとこんな感じでしょうか。
近年明かされたことですが、この歌詞は森さんが「タイミングをバッチリ合わせていく歌」を作ろうとしていたのにも関わらず、なかなか思い浮かばず悩んでいたとのこと。
その後、雑談でビビアンがタイミングが悪いところで発するちょっとした発言で、場を和ませるという話題となり、そこからこの歌詞が生まれたのだそうです。

メロディーはアップテンポでなおかつシンセ(小西さんらしい)が大活躍しています。どうもキーボード類は小西さんの打ち込みによるものらしいですが。
そして、この曲には振り付けも存在し踊ったことがあるという方も多いのではないでしょうか?世代の方は一度は踊ったことがあるかと思います。
また、聞きどころは間奏の南々見さんによるサックスソロ。音楽番組に出演した際も、PVでもサックスを抱え演奏している様子が見られます。
実際にメイキング映像なりを見ると生演奏していたこともあるようですが、レコーディング(CD音源)ではミスチルやサザンなど数多くのレコーディングでサックスを担当している山本拓夫さんが演奏されているようです。(クレジットによると)

またPVはアメリカで撮影、ワシントンスクエア公園やウェブスターホール、世界貿易センタービルの屋上などで撮影が行われました。
実際アメリカでのメイキング映像が番組内で放送されていた記憶があります。
この曲もいわゆる対決を経て発売された楽曲です。長野県白馬村から静岡県御殿場市のプレス工場まで再びガソリンすごろく対決(1~3の出た目の数だけ給油できる、残り3つのドクロ図柄が出た場合、指令を達成したら3L給油可能、有料道路の使用、そして20時~朝4時までの移動は禁止)を開催。この勝負に負けた方は、新曲のマスターテープを破壊という事が決まっている状態に。この勝負ではブラビが勝利、ポケビは新曲のテープを破壊される事態となりました。
また、売り上げが悪かった場合はメンバー変更もあり得たそうです。
台湾でも「時機」のタイトルで発売されています。

また驚くべきことですが、2022年3月頃、動画投稿アプリ「TikTok」で若い世代を中心に本曲が再ブーム。というのも、日本の5人組バンド「Klang Ruler」が本曲をアレンジを行いカバー、するとTikTok内でこちらのカバーバージョンのサビ部分に新たな振り付けを付けて踊った動画が大ヒットしたわけです。
若い世代はこの曲を知らない人も多く、親世代がこの曲の存在を知っていることに驚きを隠せない様子、逆に親世代は若い世代がこの曲を知っていること、そして振り付けがオリジナルと違うことに驚きを隠せない様子が広がっていました。
その再ブームもあったのか、ブラビは同年12月3日(奇しくもデビュー日だった)の音楽番組「日テレ系音楽の祭典ベストアーティスト2022」に出演、同日にサブスクも解禁されることとなりました。
また、番組内で3人はTikTokで流行っていた新たな振り付けのバージョンをダンスに取り入れたり、放送後にTikTokで新たな振り付けで踊る動画を投稿していた模様です。
また、1998年、2023年年末の紅白でも披露されました!


3rd Single 「Relax」

 Relax

1998年10月21日に発売された3rdシングルです。オリコン週間チャートでは3位を獲得、1998年の年間オリコンチャートでは86位を記録しました。
こちらも「ウッチャンナンチャンのウリナリ!!」のエンディングテーマとして使用され、台湾では「輕鬆」のタイトルで発売されました。
しかし、世間的には他曲と比べあまり知名度は無いように思います…

作詞は再び森さんとブラビ、作曲は小森田実さんが担当しています。
小森田さんといえば、SMAPの大ヒット曲である「SHAKE」の作曲者としてかなり有名なお方なのですが、その影響もあるのかなんとなくSMAP味が出ている作風です。森さんもSMAPと深く関わっている方ですし、カバーしてもおかしくない感じなのですが…
サウンドはホーンセクションを生かした雰囲気で、ダンスナンバーと仕上がっています。
ちなみにボーカルは南々見さんと天山さん。ビビアンは間奏のラップとコーラスを担当しています。
ビビアンのバージョンも存在しており、こちらはキーが若干高くなっている印象です。
歌詞は「リラックスして自分のペースで進んでいけばいい」という感じですね。何となく軸となっている部分が「Timing」と近いかもしれません。
また、歌詞の一部には構成作家の奥山コーシンさんの口癖を取り入れているとか。

PVは海外の番組のようなスタジオでメンバーが歌うというもの。黒人のホーンセクションメンバーも用意されており、かなり本格的となっています。
また、冒頭には小芝居が入っており、3人の外国人の子供が音楽番組を観ており、その番組にブラビが出演するという内容です。
相変わらずクレイアニメ風のメンバーも登場するという形です。
ちなみに本作はレコード盤も発売されており、カップリングには本作のリミックスが収録されているとか。
また、本作と同日に本作を含めた今までのPVを収録したVHS作品「ブラビデオ」が発売されました。


4th Single 「Bye-Bye」

 Bye-Bye

1999年5月26日に発売された4thシングル、ブラビとしては何とラストシングルになってしまった楽曲です。
オリコン週間チャートでは4位を獲得、1999年年間オリコンチャートでは49位を獲得しました。台湾では「再見」のタイトルで発売されています。
こちらも「ウッチャンナンチャンのウリナリ!!」のエンディングテーマとして使用されていました。
本作から中国出身の新メンバー、ケディ・ティンがオーディションに合格、ブラビの新メンバーとして仲間入りしメンバーが4人へと増員。
日本語は独学で学んでおり、まだ日本にもなかなか慣れていない様子のケディでしたが、番組内では真面目で努力家だとして人気となります。

本曲も森さんとブラビが作詞、そして作曲を川上明彦さんが行っています。
歌詞はタイトルとは違い悲壮感は漂っておらず、「サヨナラはまた新しいStart」「自分を変えてくenergy」とかなり前向きな歌詞です。
Aメロの歌詞等を見ていくとどうも国を離れて活動するケディ、そしてビビアンが主人公のような気がします。「故郷を離れても頑張っていこう」という決意表明なのではないでしょうか。
メロディーは切ない感じのキーボードのイントロから始まり、割とアップテンポに変わります。長めのイントロ明けにサビで始まるパターンの曲です。
今までと同様にファンクな楽曲ですが、切なさを感じるコード進行のせいか、ブラビの解散を知っているからなのかやはり切なさを感じます。
曲は置いといて、ジャケットや当時の様子を見ても、別にこの曲で最後という雰囲気は特にありませんが、本当にこの曲で終わりになってしまうとは…

サビでのボーカルはビビアンと南々見さん、コーラスをケディと天山さんが担当しています。もちろんソロパートもあるわけなのですが。
「STAMINA」や「Timing」が有名すぎるのもあってか、本曲は知名度としてはあまりないようです。個人的にはかなりの名曲だと思っています。

PVは再びクレイアニメと実写によるもの。冒頭、メンバーのクレイアニメのシーンでは、卵からアニメのケディが登場する演出となっています。
衣装も今までとは打って変わり、カラフルな感じでかつてのポケビを脅かす悪役度合いはどこへ…といった感じに。

ちなみに、なぜ本曲で終わりになったのか。それにはある理由がありました。
本作発売時、番組から「「Bye-Bye」の売り上げが2か月で73万枚を突破しなかった場合、南々見さんとケディが強制脱退させられる」という条件が出されていました。というわけでメンバーは日本テレビ系列の各番組に出演したり、全国を周ったり宣伝を開始。が、しかし、その直後の売り上げが過去最低であることが発表、脱退へのカウントダウンが刻まれ始めます。
その後も特番を放送したり、よみうりランドで無料のライブを行ったりなどの宣伝を続行、メンバーは諦めず宣伝に努めますが、2か月後、最終的な売り上げが41万枚と条件を未達成。約束通り南々見さんとケディは脱退となりました。また、その流れでブラビは活動休止に。
その後、1999年10月にビビアンも番組を卒業(番組企画から誕生した2000年12月公開の映画「ナトゥ 踊る!ニンジャ伝説」にはちょい役で出演している)、ブラビの残りのメンバーはインド映画製作等という新たな活動を行い完全に解散状態となりました。
その後、2000年11月に「ブランニュービスケッツ」が誕生。こちらは、ビビアンを除く3人に加え、インド人男性2人、韓国人の女性2人を加えたユニットです。直接ブラビとは関係ないユニットですが…

2002年に1度復活した後、なかなかメンバーもこの曲に触れないので、「黒歴史的な1曲?」と思っていたのですが、2024年1月にビビアンが自身のインスタでBGMに本曲を使用していました。
また、シングルバージョンはこちらのみ、アルバムにはイントロのキーボード部分をカットした「ALBUM VERSION」として収録されています。
正直この曲もシングルバージョンとして収録して欲しかったな…というのが私個人の意見ですが。

 Bye-Bye(北京語Ver)

これまでのシングルにはカップリングとして表題曲のカラオケバージョンが収録されていたわけですが、本作にはそのカラオケに加え、ボーナストラックの役割で北京語バージョンが収録されています。
このバージョンは台湾盤の歌詞と何ら変わりはないのですが、これまで日本盤に他言語のバージョンが収録されることはなかったので今回が最初で最後となりました。
リミックスバージョンはアルバム「LIFE」の方に収録されています。

歌詞はサビの一部のみ日本語、他は全て北京語となっている様子。なぜ日本語を入れているのかは不明ですが…
特にこれといった変化もなく、ただ単に歌詞が違うというだけであまり述べることもないような気がします。


1st ALBUM 「LIFE」

1999年5月26日に発売された1stアルバムです。「Bye-Bye」との同時発売であり、オリコンアルバム週間ランキングでは6位、1999年の年間オリコンアルバムチャートでは71位を記録しました。
初のアルバムではあるのですが、本作を最後に解散してしまうので「最初で最後のアルバム」ですね。
シングルと同時発売であったために、「Bye-Bye」を買わず、こちらを誤って購入してしまい、シングル売り上げが目標枚数まで達さなかったのでは?という噂もありますがどうなのでしょうか…

全13曲入りで、今まで発売したシングル4曲に加え(一応STAMINAとBye-Byeはアルバムバージョンとして収録)、それら4曲の台湾語バージョンのリミックス(台湾版のカップリング曲として収録されていた)、ケディ除くメンバーのソロ曲、ノンストップミックス、「Relax」のビビアンボーカルバージョンが収録されています。
初期3作をノンストップでリミックスした「The Three of Hearts 〜B.B. non-stop Remix〜」が10分以上なので、この曲がありやけにアルバムが長く感じるなと思いました。一応ボーナストラックなのだそうですが。

正直、台湾語バージョンはリミックスせず、台湾で発売されたバージョンのそのまま収録して欲しかったですね…恐らくアレンジ的に既存の曲と被るためこのような雰囲気にしたのだと考えられますが。

タイトルの「LIFE」ですが、かつてメンバーが「初期3部作のテーマは人生に必要なもの」だと発言していた気がします。
スタミナ、タイミング、リラックス、そしてバイバイ。上手く生きていくために必要な物をまとめてこのアルバムタイトルになったのかもしれません。

 Romantic

ブラビ名義ですがビビアンのソロ曲となっています。どことなく90年代初期の楽曲の雰囲気がする楽曲です。
作詞は森さん、作曲は羽田一郎さんが担当しています。
歌詞はラブソング。まだ付き合っていない2人の歌のようですね。それにしても日本語が流暢ですうっと心に入ってきます。
PVも制作され、1999年6月20日に放送された生放送の特別番組「ブラビ歌謡ショー」で公開されました。PVでビビアンが持っている携帯電話の形状が懐かしいです…

 Keep

南々見さんのソロ曲です。サラリーマンには刺さる歌詞ではないでしょうか。どこか哀愁漂う曲となっています。
作詞は森さん、作曲は大坪直樹さんが担当しています。
シンセの音色がより懐かしさを感じさせますね…
PVは「ブラビ歌謡ショー」で公開、走る軽トラの荷台に立って歌ったり、スーツ姿で歌っていたり、なかなかシュールな映像です。

 Choice

天山さんのソロ曲です。AORというか、エレピが印象的なバラードです。
歌唱力がありますし、普通にソロでも成り立つ艶のある歌声だなと感じます。
作詞は森さん、作曲は野口健一さんが担当しています。ブラビにおいてソロ名義の中では個人的に好きな曲です。
80年代に発売されてそうなムーディーな雰囲気ですし、「ブラビ歌謡ショー」で公開されたPVは若干おふざけが入っていますが歌の上手さでそれがかき消される感じとなっています…




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