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宝泉院:五葉松/山茶花/三椏

宝泉院は、京都市左京区大原にある天台宗の寺院で、豊かな自然の中に静かに佇む、歴史と文化の香り高い場所です。その文化的側面を詳しく見ていきましょう。

声明の道場としての歴史

宝泉院は、天台声明の道場として知られる勝林院の塔頭寺院です。天台声明とは、仏教の教えを旋律に乗せて唱える宗教音楽で、日本の伝統音楽の源流の一つとされています。宝泉院では、今も声明の修行が行われており、その厳かな響きが訪れる人々の心を癒やし、浄化してくれます。

額縁庭園と借景庭園

宝泉院の庭園は、書院から眺めるように設計された「額縁庭園」と、周囲の山々を借景とした「借景庭園」が見事に融合しています。

  • 額縁庭園:書院に座ると、目の前に広がる庭園がまるで絵画のように額縁に収められたように見えます。特に、樹齢700年を超える五葉松の雄大な姿は、訪れる人々を圧倒します。この五葉松は、近江富士を模して剪定されていることでも知られています。

  • 借景庭園:庭園の奥に広がる竹林のさらに向こうには、大原の雄大な山並みが広がっています。自然と一体となるような、奥行きのある景観を楽しむことができます。

血天井の歴史

宝泉院の書院には、「血天井」と呼ばれる天井があります。これは、伏見城の落城の際に自刃した徳川家臣の血痕が残る床板を天井に転用したもので、当時の壮絶な歴史を物語っています。

茶室と文化

宝泉院には、侘び寂びの世界観を体現した茶室「盤桓廊」があります。ここでいただく抹茶と和菓子は、庭園の美しさと相まって、格別な味わいです。また、宝泉院では、座禅体験や写経体験などの文化体験プログラムも開催しており、訪れる人々に心の安らぎと静寂を提供しています。

季節の美しさ

宝泉院の庭園は、四季折々にその表情を変え、訪れる人々を魅了します。春の桜、新緑、秋の紅葉など、それぞれの季節に美しい景色を楽しむことができます。

宝泉院は、これらの文化的要素が複雑に絡み合い、独特の雰囲気を醸し出しています。歴史、自然、宗教、芸術が調和したこの空間は、訪れる人々に深い感動と癒しを与えてくれるでしょう。


五葉松
五葉松
五葉松の葉
山茶花
三椏
三椏の蕾


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