備雲ジュラ

ホラーを中心に小説を書いています。 (Kindleでの著者名は旧名の「J◆B」) 現在、新作はエブリスタに投稿中。 https://estar.jp/users/730899711 【X】@jb_novel 【Bluesky】@jura-b.bsky.social 北海道在住。

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    note創作大賞2024【ホラー小説部門】応募作品 「eaters」 血の匂いにあらがえないアペタイトホラー

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【ホラー小説】eaters 第1話

【あらすじ】【第1話】「あの……娘の病気を治す薬は、まだできないのでしょうか?」    沼澤小百合は中学生の娘、瀬奈を連れて病院に来ていた。  今、瀬奈は隣の処置室で、月に一度必要な免疫製剤を点滴している。    生まれつき免疫系に異常のある原発性免疫不全症候群。  毎年、一万人の赤ちゃんに対して一人程度がなる、といわれている。    免疫力が異常に低いせいで細菌やウイルスに感染しやすく、単なる風邪も肺炎にまで悪化してしまう。  ちょっとした傷でもすぐに化膿し、治りも遅い。

    • エブリスタの表紙を変更しました

      これまでエブリスタで書いていた小説の表紙は、無料画像を加工したりして、タイトルと著者名を載せていました。 今回「椿の咲く夜」と「サザンカの涙」を外注で作っていただいた表紙に差し替えました。 私はデザイン力や技術もないので、表紙を作る時はいつも苦労してましたが、やはりその道のプロにお願いすると違いますね。 この二作品は、どちらもホラー。 興味のある方は、読んでいただけると嬉しいです。 ◆「椿の咲く夜」 [あらすじ] 正月休みで帰省先の実家から戻ってきた日の夜、香鈴は

      • 【ホラー小説】たまゆらの祈り

        エブリスタに新作のホラー小説(短編)を投稿しました。 超・妄想コンテスト【あと一回】の応募作品です。 ◆あらすじ◆ 関東に人類史上、最悪の厄災が降り立った。 街を破壊し、人間を捕食していく無数の地球外生命体は、関東から南北に分かれて侵攻を始めた。 地球外生命体の北上が迫りくる珠鳴村では、村人達が村長の鈴守大蔵と、娘の明香音に救いを求めだした。 村を救うため、死者の力を借りる【魂呼び】の儀式。 明香音は、その儀式を行える【たまゆら様】だった。 代償を伴う魂呼びに

        • 「サザンカの涙」を修正しました

          エブリスタのコンテスト「執筆応援キャンペーン【とんでもホラー】」で、入賞した「サザンカの涙」を修正しました。 運営様からの選評で、二か所を追加修正しました。 アドバイスを受けた二か所は、どちらも「なるほど!」と納得の内容。 追加したり、修正したほうがよさそう。 noteで連載していた「eaters」も完結したので、さっそく追加修正に取り掛かりました。 ただ……投稿サイトの作品を追加修正するのは、ちょっと苦労も多い。 Kindle版を修正する時は、原稿の修正版をアップ

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        【ホラー小説】eaters 第1話

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          【ホラー小説】eaters 第21話(最終話)

          ◆あらすじと各話は、こちらから  一週間後。  この日の午後、鮫島は製薬会社の研究所に来ていた。    週に二度、病院での勤務は午前のみとなっている。  研究所で鮫島は、今もスクアリーの改良にいそしんでいた。    帰り支度をして、パソコンの電源を落とそうとした時、スマホが振動を鳴らした。   「……そうですか。分かりました。引き続き、監視をお願いします」    電話は沼澤瀬奈の監視役からだった。  週に一度の定期連絡だ。    パソコンで被験者データのフォルダから、瀬奈の

          【ホラー小説】eaters 第21話(最終話)

          【ホラー小説】eaters 第20話

          ◆あらすじと各話は、こちらから  洗面所で床に倒れていた良一と、その腹に顔をうずめていた瀬奈。  小百合が目にした光景は、あまりにも残酷なものだった。    瀬奈を止めようとして、噛み付かれた手の痛み。  そこから流れ出した血。  黒い瞳の視線の先は、血で赤く染まった手。    自分までもが我が子の餌食になってしまう、という恐怖。  そのあと訪れた、突然の痙攣。    気が付いた時、小百合のすぐ目の前にあったのは、瀬奈の顔だった。    おそるおそる見下ろした先には、腹部を

          【ホラー小説】eaters 第20話

          【ホラー小説】eaters 第19話

          ◆あらすじと各話は、こちらから  翌朝。   「お父さん、まだ? 私、急いでるんだけど」    瀬奈が洗面所にやってくると、良一がまだ使っていた。   「あぁ、悪い、悪い。ちょっとやっちゃってな」    鏡越しに、父と目が合った瀬奈の顔色が変わっていく。    良一はティッシュで、何度もアゴを押さえていた。  洗面台に置かれていたのは、髭剃り用のカミソリ。    ゴミ箱へ捨てられたティッシュには、血がにじんでいる。   「……ったく、まいっちゃうよな」    ボヤキながら、

          【ホラー小説】eaters 第19話

          【ホラー小説】eaters 第18話

          ◆あらすじと各話は、こちらから 「あの水槽を見て」    小百合に言われ、瀬奈は水槽に目をやった。  大きな水槽にいるのは、一匹の金魚だけだ。   「あんなにいたのに、もしかして瀬奈が食べたの?」    小百合は穏やかな口調で訊いた。  何を聞いても、平常心でいなければならない。    抱えている疑問を解決するには、瀬奈の口から聞き出す必要がある。  ここで取り乱したり、怒りをぶつけたりしては、話も進まない。    小百合は静かに呼吸を整えながら、返事を待った。   「ごめ

          【ホラー小説】eaters 第18話

          【ホラー小説】eaters 第17話

          ◆あらすじと各話は、こちらから  瀬奈が出ていったドアを見つめたまま、小百合はしばらくの間、玄関から動けずにいた。    深いため息を吐いたあと、食卓の席に戻り、テーブルに目をやる。  手付かずの自分の昼食。  向かいの席には、空になった皿。  小百合は一人寂しく冷めた料理を口にした。      食事の後片付けを終えて、トイレに向かう。  トイレから出てくると、再び深いため息がもれた。    いつもは遅れても一日、二日でやってくる生理が、六日経ってもやってこない。  今まで

          【ホラー小説】eaters 第17話

          【ホラー小説】eaters 第16話

          ◆あらすじと各話は、こちらから  今日は終業式。  教室の中は、珍しく朝から静かだ。  明日から夏休みに入るというのに、うかれる生徒は一人もいなかった。    唯一の空席。  みんなの視線は、自然とそこへ集まっていた。    入学して以来、一度も休んだことのない真由子。  それが突然、一昨日から学校に来なくなった。   「どうしちゃったんだろう?」 「まさか、斉藤まで……」 「生きてる……よね?」 「始業式の日に、机に花が置かれてるってことは……ないよな」    ボソリ、ボ

          【ホラー小説】eaters 第16話

          【ホラー小説】eaters 第15話

          ◆あらすじと各話は、こちらから  瀬奈と真由子は神社に向かっていた。   「どんな猫なの?」    鳥居をくぐりながら、真由子が訊いてきた。  猫と聞いて、興味津々の様子だ。   「白くて、ちっちゃくて、すごくカワイイよ」    瀬奈が言ったあと、社の裏辺りからカラスの騒がしい鳴き声が聞こえた。   「まさか、カラスに襲われてるんじゃ……」    心配で足を速める真由子に、瀬奈も続いていく。    社の横を通って裏側に来た時、真由子の足が止まった。  六羽のカラスが何かに群

          【ホラー小説】eaters 第15話

          【ホラー小説】eaters 第14話

          ◆あらすじと各話は、こちらから  弁当事件があった翌日、真由子の友達は瀬奈に謝ってきた。    瀬奈にとっては、耐えがたい屈辱だ。  謝られたところで、なかったことにはならない。  黙っていると、真由子も一緒になって謝ってきた。   「本当にごめんね。もっと早くに私がとめていればよかったんだけど。みんなも反省してるから、許してくれる?」    真由子が大きな声で言った。  窓際の席から海斗も見ている。  瀬奈は許すよりほかなかった。    それからは休み時間でも瀬奈は、真由

          【ホラー小説】eaters 第14話

          エブリスタのコンテストで入賞しました!

          エブリスタのコンテスト「執筆応援キャンペーン【とんでもホラー】」で、「サザンカの涙」が入賞しました! 入賞作品はこちら。 エブリスタのコンテストで入賞したのは、これで二作品目。 実は今回、ちょっとした奇跡(?)が。 小説を書いている時とコンテストに応募する時は、いつも自信満々。 それが応募したあとになると、 本当にアレでよかったのかな? もっと、どうにかできたんじゃないかな? と、ちょっぴり不安になることがあります。 (創作あるあるかもしれない) あまり深く落

          エブリスタのコンテストで入賞しました!

          【ホラー小説】eaters 第13話

          ◆あらすじと各話は、こちらから  数日経った頃、学校では二年生の女子生徒が行方不明という噂が流れ始めた。   「どうせ家出か何かでしょ」    真由子の友達が言った。  瀬奈の周りでは、誰一人として心配する者はいない。    その上級生は以前から、素行が悪いので有名だった。  学校の外でも、よく他校の不良生徒達と一緒にいるのを目撃されていた。  真由子と取り巻きの友達が、噂話に花を咲かせている。  それを瀬奈は黙って聞いていた。      四時限目が終わり、瀬奈は昼食の前に

          【ホラー小説】eaters 第13話

          【ホラー小説】eaters 第12話

          ◆あらすじと各話は、こちらから 「ただいま」 「おかえりなさい。お腹は空いてる?」 「食べてきたから、いらない」    小百合が出迎えると、瀬奈は胸の前で鞄を抱えたまま、部屋に入っていった。    少しして、部屋から出てきた瀬奈が洗面所に向かったようだ。  手洗いとうがいにしては、やけに長い。  心配した小百合は、洗面所に向かった。   「瀬奈?」    瀬奈は洗面台で、制服のブラウスを洗っていた。  洗剤の泡と一緒に流れていく水が、なぜか赤い。   「それ、制服の……ブラ

          【ホラー小説】eaters 第12話

          【ホラー小説】eaters 第11話

          ◆あらすじと各話は、こちらから  翌週。  小百合は良一と瀬奈を送り出したあと、家の掃除を始めた。    リビングにある水槽を拭いていた時、手が止まった。  透明なガラスの向こうに目を凝らしてみる。    一、二、三……。  小百合は金魚を数え始めた。    中にいたのは八匹。  金魚は十匹いたはずだった。    まさか……瀬奈が?  金魚を見つめていた瀬奈の顔がよぎる。    いや、あんなに可愛がっていた金魚を食べるわけがない。  前に一匹が死んでしまった時も、瀬奈は大泣

          【ホラー小説】eaters 第11話