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生まれ直しの儀式
3月の下旬にがんが確定し、先日手術が済んだ。
注射や医療関係の全てが苦手で、採血ですら大騒ぎしていた私にとって、手術は人生最大の危機。がんと言う危機以前に、手術の危機を乗り越えるメンタルが備わっていなかった。
中学の理科で心臓や動脈・静脈の授業があった日も迷走神経反射を起こし倒れた程、絹ごし豆腐メンタルなのに、手術なんて!
そんな私のことを熟知している友人達は、生検の時も手術前にもそれぞれ祈っているよ、大丈夫だよとメッセージを送ってくれた。
手術の日の朝、そのメッセージのひとつひとつに愛があり、不安と緊張でゆらゆらふわふわしていた心にじんわりと沁みて涙が溢れ出た。
「私は生きていて良いんだ…」
読みながら、そう思った。
急に浮上したこの感覚に、自分でも驚いた。
何の取り柄もないし、私が居なくても困る人はいないし…
そんな思いを常に抱えて生きてきたので、気にかけてくれる人がこんなにも居ることに感激してしまった。
自分と言う人間が、生きていて良いんだ、存在して良いんだと初めて心から思えた。
これが怪我の功名と言うやつか…
がんになって良かったとは1mmも思わない。
絶対にならない方が良い。
けれど、苦手極まりない点滴や注射を打たれたり、生検や手術で自分の肉片を献上したり、痛い思いや精神的ストレスを過度に感じる状況に自分を追い込まないと、私は存在して良いと思えなかった。
手術の直前に、友人達からのメッセージを読みながら、そう理解した。
そして、二度と手術だ検査だと痛い思いをしない為にも、ここから自分の本質を生き直すしかないと思い知らされた。
生まれ変わると言うよりは、生まれ直すと言う感覚だ。
本質を生きていない感覚は薄々あったのに、きちんと認識して行動してこなかったことは悔しいし残念だけれど、こうしてチャンスを与えてもらったことには感謝して、どう生き直していくかをしっかり見定めたい。