第76回全日本大学バスケットボール選手権大会(インカレ)女子決勝:データが語る歴史的名勝負
イントロダクション
2024年12月8日、第76回全日本大学バスケットボール選手権大会(インカレ)女子決勝。この試合は、バスケットボール界の歴史に刻まれる伝説の一戦となりました。東京医療保健大学と白鷗大学が繰り広げた4度の延長戦にわたる激戦。その背後には、選手の気迫だけでなく、冷徹なデータが紡ぐストーリーが隠されていました。本稿では、この試合をデータで解析し、戦術的要素と試合の裏側を紐解きます。
第1章:総合得点データが示す均衡
試合結果
• 白鷗大学 111 - 103 東京医療保健大学
• 延長4回を含む、約3時間の壮絶な戦い。
得点分布
チーム 1Q 2Q 3Q 4Q OT1 OT2 OT3 OT4 合計
白鷗大学 14 10 17 32 10 4 11 13 111
東京医療保健大学 21 15 22 15 10 4 11 5 103
分析ポイント:
• 白鷗大学は後半に一気に攻勢を強め、 第4クォーターで32点 を記録。
• 東京医療保健大学は前半でリードを奪ったものの、延長戦では得点力で劣勢に。
第2章:リバウンドとセカンドチャンス
リバウンドデータ
チーム 総リバウンド数 オフェンスリバウンド ディフェンスリバウンド
白鷗大学 78 24 54
東京医療保健大学 68 17 51
分析ポイント:
• 白鷗大学は 24本のオフェンスリバウンド を記録し、セカンドチャンス得点を量産。
• 特に オコンクウォ スーザン アマカ のリバウンド力が、試合終盤の流れを左右。
第3章:ターンオーバーの影響
ターンオーバー数
チーム 総ターンオーバー数 ターンオーバーからの失点
白鷗大学 12 15
東京医療保健大学 20 25
分析ポイント:
• 東京医療保健大学の 20回のターンオーバー が失点に直結。
• 延長戦では特にターンオーバーが目立ち、リズムを失う場面が増加。
第4章:シュート成功率と得点効率
シュート成功率
チーム 3P成功率 2P成功率 FT成功率
白鷗大学 30.3% 45.1% 54.8%
東京医療保健大学 30.0% 40.8% 58.3%
得点効率(Offensive Efficiency)
• 白鷗大学:1.23点/ポゼッション
• 東京医療保健大学:1.15点/ポゼッション
分析ポイント:
• 白鷗大学は2P成功率で上回り、ペイントエリアでの得点を確保。
• 東京医療保健大学はフリースローで白鷗大学を上回るも、肝心な場面で決定力を欠いた。
第5章:戦術データ解析
東京医療保健大学の戦術(恩塚HC)
1. スイッチディフェンス
ピック&ロール対応にスイッチを採用。アウトサイドのシュート機会を制限。
2. 3人連携のピック&ロール
コーナースペースを活用し、ズレを誘発。
3. ターゲット:オコンクウォ選手
ディフェンスでダブルチームを仕掛け、ペイントエリアでの得点を防止。
白鷗大学の戦術(佐藤HC)
1. インサイド重視
第4クォーター以降、オコンクウォ選手を軸にペイント内得点を量産。
2. オフェンスリバウンド
二次攻撃を仕掛けるリバウンド力で流れをつかむ。
3. シューターの解放
コーナー3Pを効果的に使用し、スイッチディフェンスを崩壊。
第6章:データで見る延長戦
延長戦 白鷗大学得点 東京医療得点 ターンオーバー数(両チーム)
OT1 10 10 4
OT2 4 4 3
OT3 11 11 2
OT4 13 5 5
分析ポイント:
• OT4での決定打:白鷗大学は 13得点を記録。最終盤で東京医療保健大学を引き離した。
• 東京医療保健大学はファウルトラブルで主力が退場し、得点力を大きく削がれた。
結論:数字が語る未来
この試合は、得点効率、リバウンド、ターンオーバーなどのデータが勝敗を分けました。しかし、データだけでは語り尽くせない選手の気迫と監督たちの戦術が織りなすドラマがありました。
バスケットボールは、数字と戦略、そして人間の情熱が交錯するスポーツです。この試合を通じて見えてきたのは、戦術と精神力が相互に作用する勝利への方程式。未来の指導者や選手たちにとって、この試合は重要な教科書となるでしょう。