幸せのひとくち
フランボワーズに、ラズベリー。あとは、なんと言っていたか。チョコレートの香りがすることは先に聞いていたが、実際に嗅いでみると不思議な感覚がする。フレーバーティーと言うらしい。ハーブティーと何が違うのかは分からない。後で調べてみようと思う。
不思議な感覚に惑わされつつも、とりあえずは一口。あつっ!自分が猫舌であることは知っているのに、毎回やけどしかけてしまう。本当に熱湯を入れてすぐなのだろう。これを入れる間も、何度かタイマーが鳴っていた。ちゃんと見ておけばよかったと少し後悔する。いや、本当に少しだけだ。何せ、私の背が低くて、この席からはカウンターの中はどうせ見えなかっただろうから。
温度に慣れるように少しずつ、少しずつ飲む。うん、やはり味はそんなに変わらない。ストレートの紅茶を飲んだ時の味、と言っていいのか。どの茶葉か、なんて言われても飲みなれていない私には分からないが。いや、紅茶よりもハーブティーの味か。それでも、これまた中身によって味が変わるから。とりあえずは、私は好き好んで何度か飲んだ味だということだ。
こくり、こくりと飲んでいく。喉がなんとなく乾く感じがする。ハーブティーなんかを飲むと、たまにこんな感覚に陥る。何の効果だろうか。考えをめぐらす間も、チョコレートの香りに包まれている。これはもしかして、店全体に広がっているのでは?なんて考えた。
そういえば、このフレーバーティーと一緒にミルクと砂糖を渡されていた。入れるとどう変わるのだろうか。甘いものの気分ではなかったので、ミルク(フレッシュではなかったが、似たような容器のもの)を入れる事にした。ミルクをまわし入れた時にできる模様。絵の具をぶちまけたようなそれが、昔から好きだった。広がりが止まったら、スプーンで混ぜる。軽く混ぜると、大きな塊は小さく小さく別れて、次第に等間隔に広まった。それでもまだ一色にはならない時に一口飲んだ。ミルクによりまろやかさが加わり、幸せな気持ちが広がる。なんでこれだけで幸せ感じられるのか。美味しいって正義だよなぁ。
緩んだ口元に!また一口。