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臨月死産 #7 どうやって生き続けるか―産後1か月まで
火葬が終わって、息子にまつわる手続きや儀式が済んでしまい、これからどうやって生き続けるか、が問題になりました。
産後1か月までの精神状態、絶望を少しでも和らげるためにしたこと、などについて書いていこうと思います。
川面がきれいで、飛び込みそうになった
毎朝、目を覚ますと死産が現実であることに絶望しました。毎朝、「私は死産した」「むなしい」という声が頭に響いてくる感じがしました。絶望から朝が始まるのはつらかったし、この状態がいつまで続くのかが見通せず、とても怖かった。なにもかも、不安でした。
もともとは、ニュースを見たり本を読んだりして考えることが好きだったけど、元日に能登地震が起こったこともあって痛ましいニュースばかり。共感して悲しみに引きずりこまれるのがつらく、そもそも文字や情報が頭に入ってこなくて、何も見たり読んだりできなくなりました。
自分の健康、身体への自信がめちゃくちゃになりました。これまで自分は大きな病気もせず風邪すらほとんどひかず、健康体だと信じてきたのに、お腹の中で子供を死なせてしまった。スーパーで出会う子供連れのお母さんがみんな自分より優れていると感じるようになり、しまいには動物番組で出産している牛にすら劣等感を抱くようになりました。この強烈な劣等感は、死産から1年たった今でも、時折顔をのぞかせます。
数ヶ月前後して妊娠した友だち2人とは距離を置きました。2人が入っているライングループに事情を話して、「今後2人は育児の話をしたいだろうから、私はいったん外れる。またいつか戻ってきたい」というメッセージを残し、退室しました。とても心優しく、努力家で、尊敬していた2人。年に1回1泊旅行するほど仲良かったのに・・いまはとても話す気になれませんでした。子どもだけでなく、友だちまで失うのか、と本当に落ち込みました。
家の近くに川が流れているのですが、川縁を散歩しているとき、水面がキラキラと輝いていて、「きれいだな~」と引き寄せられ、飛び込みそうになりました。夫をこれ以上悲しませたくないから、自死は絶対選ばないと決意しているのに、ふとした瞬間に、ふらふらっとなってしまうのです。自分が首をつっている場面を想像すると、なんとなく心が落ち着く、妙な癖がこのころありました。
体験記やブログを読み漁る
この絶望状態はいつまで続くのか?今後、自分の人生はどうなってしまうのか?
不安を解消するために、私は既に出版されている体験記集や、ネット上にあるブログをむさぼるように読み、ヒントを探しました。誰かに道標になってほしかった。
死産後に読んだ本は、「誕生死」(三省堂/流産・死産・新生児死で子をなくした親の会)、「産声のない天使たち」(朝日新聞出版/深澤友紀)などです。ブログは、この方のブログがすごく丁寧にグリーフについて書かれてあり、参考になりました。
https://plaza.rakuten.co.jp/miso1213/backnumber/201206/
同じ経験をした人と話したくなった
しばらく経つと、文字だけの体験では足りなくなり、実際に話してみたくなりました。そこで、20年以上の歴史がある自助グループ、「ポコズママの会」のホームページを訪ねました。月に一回、近くで赤ちゃんとお別れした人で集まってお話会をしてるといいます。直前まで迷いに迷いました。この頃はとにかく夫以外の人と話すのが怖くて、たまらなかったのです。でも、それにも増して、このひどく残酷な経験を誰かを共有したくなったのです。
お話会の内容は、他言が禁じられているため、触れません。会の運営は素晴らしく配慮が行き届いていて、安心して話すことができました。同じような経験をした方と時間を過ごし、一緒に泣いたことは、自分にとってものすごく救いになりました。
このお話会への参加をきっかけに、少しだけ絶望の淵から這いずり上がり始めました。