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格闘技における、ミクロかマクロかの話
総合格闘技(MMA)をやっていると、「どっちが正解なのか??」と悩むことが多々ある。
その1つが、「ミクロかマクロかの話」である。
その例として、タックルの入り方について話そう。
タックルには大まかに分けて3種類ある。
「ダブルレッグ(両足タックル)」「シングルレッグ(片足タックル)」「胴タックル」
セオリーとしては、相四つではダブルレッグ、ケンカ四つのときはシングルレッグに入るのが基本。
胴タックルは、相四つのときの方が入りやすいが、インかアウトを取って一気に距離を詰めれば、ボディロックできる……ということになっています。
このことを踏まえると、タックルに入るときは、互いの構えの関係性を考えながら、相手の前足に気を配る必要があるということ。
その他にも、相手のガードの高さや腰の落ち具合、フットワークや蹴りの得手不得手など、気にすることはたくさんある。
プロレベルの強い人、とりわけ「格闘技IQが高い」と言われる人は、もっと細かいことを当然のように考えながら戦っている。
しかし、このやり方にはメリットもあればデメリットもある。
そして、合う合わないも関係している。
ミクロなことを考えすぎて、アタックできなくなっては元も子もない。
まあ、何も考えずに突っ込んで大事故レベルのダメージを負うよりはマシ、という考え方もあるにはあるが。
そこでマクロな視点を持つとどうなるか??
なんか良くわからないけど組めたり組まれたりする経験はないだろうか?
そういうとき、足の位置とか考えていなくてもイケるときはイケる。
「ヘタウマ」とか「へたつよ」という言葉があるが、説明のつかない勢いが、理論を凌駕することが往々にしてあることも事実。
最終的に、タックルは勇気と根性だったりする。
迎撃されて失敗に終わることもあるが、殴られながらも組んじゃえばこっちのものっていう感じもあるし。
かと言って、リスク度外視で突っ込んで大ケガすることを潔しとは思えないし。
緻密か大胆か、ミクロかマクロか。
答えなどそうそう簡単に見つかるわけがない。
そうしてミクロとマクロを行ったり来たりして、格闘家は日夜試行錯誤を繰り返すハメになるのである……。