野間真さんインタビュー#12 ~8thシングル『夏の恋人』~
「明けて97年はどうなっています?」
――97年初のシングルは『夏の恋人』ですね。
「かなり空いているんだな、そこは」
――そうですね、9カ月ぐらい空いてますね。『夏の恋人』は、レコード会社がセンチュリーからバンダイミュージックに移籍って書いてありますね。
「これは、実質はセンチュリーなんですけどあまりにもお金がなく、たぶんセンチュリーの方が引き受けてくれるところを探したんだと思います。実際、(『恋のはじまり』のときにも)8月に出ていますけれども、当初は7月発売の予定でキャンペーンも組んだのに、現物がなくてキャンペーンを引換券で乗り切ったことがありました」
――ああ、なるほど。
「現物がないんです。そういう大変悲しい事態が発生して、でまあ、こういうことがあったので、もうセンチュリーとはちょっと苦しいかなって思ったんじゃないかな。でも、その後にちょっと復活するのか、はいはい。復活はするけど、ちょっとヨレている感じになってきているんですよね」
――センチュリーが……
「取り巻く状況がね… とくにレコード会社周りがあまりよろしくない状況ということですね。『夏の恋人』はこちらで原盤制作を、いわゆる沢田さん作詞・作曲で〇〇万円前後を払っているにもかかわらず盤ができてこなくて、これはダメだっていう感じではあった」
――ああ。
「もう、お金がないないっていう感じでありましたからね(笑)」
――こちらで原盤制作費〇〇万円を払っているのにプレスができない…
「できなかったんでしょうね、そういうことでしょうね」
――そうとうヨレてますね。
「そうなんですよね。まあただ、夏に出すっていうのは決まっていたので…」
――これも曲としては、かなりいい曲ですね。
「『夏の恋人』ね、どういう曲でしたっけ」
――それではyoutubeで(と一緒に聴きながら)
「気持ちいい曲ですね。歌うまいね!やっぱり。これ生ですよね」
――生です、キャンペーン会場での歌です。
「いやあ、ありがとうございます。素晴らしい!(あおいさんの歌唱を褒めたたえる…)」
――はい(笑)
「これはね、もうコンセプトははっきりしていて、夏の曲、それもこういうステップを踏む感じが似合うような曲で、もともとのネタは河合奈保子の『夏のヒロイン』です」
――ああ。
「これはもう、かなり似てる…」
――このAメロのところの(サンバっぽい)雰囲気も似ているし…
「そう、曲の入りもサビの感じもけっこう似ている」
――数日前に予習で聴いたとき、これは『夏のヒロイン』だろうなって気はしました。
「そうですね、これはいちばん原案に近い感じで… この感じは夏に受けそうなテンポ感ですよね、わかります。河合奈保子の『夏のヒロイン』は良かったよな」
――あれは名曲ですね。河合奈保子さんの場合、『けんかをやめて』が取り上げられがちなんですが『夏のヒロイン』も…
「『スマイル・フォー・ミー』もいいし、『夏のヒロイン』もいいし、夏の曲でいい曲があるんですよね」
――はいはい。『夏のヒロイン』は底抜けに明るい夏って感じの曲で、『夏の恋人』も(『夏のヒロイン』に)似てはいますが、沢田聖子さんならではのおしゃれ感があって味わいのあるいい曲ですよね。
「これが夏か。やっぱりレコード会社の問題とかもあって苦しいかなっていうのはありましたが、なんとか頑張ってましたね」
次回もまだまだ話が続きます。お楽しみに。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?