野間真さんインタビュー#13 ~『ピンクのたんぽぽ』『秋風の午睡(シエスタ)』~
『ピンクのたんぽぽ』からは少し違うラインで
――そのあと、97年10月にアニメ「企業戦士YAMAZAKI」イメージソングの『Ring a Ding~倫子のテーマ~』が出てます。カップリングが『狼なんか怖くない』なんですね。
「大阪だったかで、声優の学校をしているおじさんが、主題歌やってくれないかと来たんだけどね。たしかポリドールでその昔、乙女隊というパート1から6まである3人組のCDをひたすら出していたおじさんがいたんです。どういうつながりだったのかなあ、その人から1曲主題歌を歌って欲しいというのが来て、やってみましょうか、と言って出した。
もう1曲をどうするのかという話で、カバーで行くかと言って『狼なんか怖くない』で。これは、私はとくに主導はしていないんですね。石野真子の『狼なんか怖くない』なんて不思議な感じでしたけれども… まあ1曲、臨時発売みたいなイメージでしたよね」
――では、『狼なんか怖くない』を選んだのは野間さんではなかった?
「そうですね、僕じゃなかったと思いますね。この曲が、あおいちゃんが歌うのにふさわしいかと言われると… 誰でも知っている曲だから1曲カバーで入れておきましょうか、というノリだった気がしますね」
――たしかに意外ではありましたね。松田聖子メドレーを歌うイメージはありますが、石野真子までは戻らないかなと。本人としても、そこまでは戻らないんじゃないかと。
「そうですよね」
――そして、98年1月に『ピンクのたんぽぽ』『ホワイトバレンタイン』が出ました。
「そこからMOOVeレコードかな、いや違うな… そうか、『夏の恋人』からセンチュリーレコードを離れて、MOOVeレコードになってますね。で、この『Ring a Ding~倫子のテーマ~』から菊地(和久)さんが全面的に引き取った。つまり、森下純菜が2年目の夏ぐらいで、MOOVeレコードとのつながりが深くなって、あおいちゃんもやりましょう、と言ってもらって…」
――ああ、なるほど。
「そのMOOVeレコードの菊地さんのところでやることになった。菊地さんはもともとバントをやっていた方なので、ちょっとロック色が強いんですね。森下純菜のキレのいい感じには合ってましたけど、あおいちゃんにはどうかな… いまひとつマッチしていなかった気がします…」
――そうですか。
「ファンの人はついてきてくれていたけれど、昔からの水野あおいファンは、ちょっとあれ?と思ったかもしれないですね」
――たしかに曲のイメージは、少し変わったように聴こえますね。
「そうですね。『ピンクのたんぽぽ』から後ろは、ちょっと違うラインですね。次の『秋風の午睡(シエスタ)』『せつない片想い』(1998年9月5日リリース)も、MOOVeレコードのスタッフが曲を作ってますから。詞は僕が継続して書いてはいましたが…」
――今までの水野あおいさんのイメージとは少し違うものになった。ではあるんですが、ちょっと大人っぽくなった感じがするんですが。
「そうですね。ある意味、アイドルというよりもアーチストっぽい感じの作りになっているので」
――私なんかが当時のファンの思いや熱量などを知らずに、単純に曲を順番に聴いていくと、徐々に大人の雰囲気になってきたなあと。
「それは合ってます。合ってますね。それはたしかにある」
――個人的には、『ホワイトバレンタイン』や『秋風の午睡(シエスタ)』もかなりいい曲だと思うんです。こういうしっとりとした曲も歌いこなすんだなと。それで、この時期ぐらいから髪型もツインテ―ルにしないで、わりあいショートにしたりしていて…
「はいはい、そうですね。もうけっきょく、そういう『天使のU・B・U・G』時代のアイドルからは脱皮していくような感じでやっていたんですね。まあ、本人の中ではそんなに変わったつもりはないんでしょうけれど」
――なるほどなるほど。
「少しフリフリというテイストからは離れていったかもしれないですね」
次回は、1999~2000年のシングルの話です。
※シングルCD『秋風の午睡(シエスタ)』『せつない片想い』、アルバム『Sweet Sweet Sweetie』(1998年4月21日リリース)は、現在希少盤で入手困難によりジャケット写真を載せられませんでした。あいすみません。