野間真さんインタビュー#14 ~『Super Happy World』『“KI.RE.I”』『Love Song』~
『Super Happy World』『“KI.RE.I”』は、あおいちゃんの素材を活かす形で
――99年2月の『Super Happy World』でまた少しイメージが変わりました。
「そこでまた、音楽系スタッフが違うところに移ったのですね」
――ああ、なるほど。
「森下純菜とかかわりのあったMOOVeレコードは離れて、ダイキサウンドというところですね。『Super Happy World』『あいのきせき』は品番が1番(DHC-1)で、新しく立ち上げたレコード会社なんですね。
これは、もともとKレコードにいた藤本さんというおじさんがフリーになっていて、その頃デビューを控えていた徳永愛という女の子でかかわりを持つようになって、それで、あおいちゃんもやってみようか、という話になったんです。その藤本さんの絡んでいる音楽スタッフが三井ゆきこさんであり、レコーディングスタジオもいいところを紹介してくれて曲を作ろうよという話になった」
――ほうほう。
「それで藤本さんの主導で、あおいちゃんを活かしたような曲を作りましょう、と言ってできたのが『Super Happy World』『あいのきせき』です。それと、その次の『“KI.RE.I”』『瑠璃色ビーズ』ですね」
「三井ゆきこさんと久保田邦夫さん――藤本さんの仕切りで作られたこのメンバーの曲は、綺麗な曲なんですよ、とにかく。このときの路線は、あおいちゃんの素材を活かした形で作られている感じで、ライブでもしっかり歌えるいい曲が多い。大山(文彦)さんは『瑠璃色ビーズ』が好きだったという話は聞いたことがある…」
――大山さんは『“KI.RE.I”』が好きだったかと…
「『“KI.RE.I”』か、はいはい。三井ゆきこさん・久保田邦夫さんの作品…
これには面白い話があってね、この久保田さんというアレンジャーの人は、僕の小学校の同級生だったんです(笑)」
――そうでしたか(笑)
「スタジオで会って、それこそ40年ぶりぐらいで再会して、あれ?何ですか、ええ?何やってるんですか、って、お互い何やっているんですかっていう話で…」
――はあはあ(笑)
「そういうことがあったんです。なんでそういうことがあるのかと思いましたけど」
『Love Song』——そして活動休止
「いつ僕が、あおいちゃん辞めるって聞いたのかはよく憶えていないんだけど、この三井ゆきこ・久保田邦夫ライン――藤本さんのもとでやっている頃に、徳永愛が出ているんですね。たしか99年にデビューしているんだよな、『Heatful♡Candy』で。まあ、ちょっと手広くやりすぎたかもしれないけれど…
あおいちゃんもここまでやったんだったら、という思いはあったんじゃないかなという気はしました。そんなに、えいえいとしがみつくタイプではないので…」
――え、それは野間さんが?それとも…
「あおいちゃんが」
――しがみつくタイプではない??
「そう思います。あおいちゃんはあっさり引くタイプだと思いますよ」
――徳永愛さんのデビューシングル『Heatful♡Candy』が出たのが99年3月…
「だから、ほぼ同じ時期なんですよね。まあ、そろそろ後進に道を譲ろうかな、ぐらいのことは思っていたかもしれないですね」
――CD品番をみると、DHC-1が『Super Happy World』、DHC-2が『Heatful♡Candy』なんですね。
「うん。そこで2人、同じところでお世話になったんですね。藤本さんが2人を事実上手掛けて、それに乗っかったという感じで」
――後進に道を譲る??
「感覚的にはね」
――この路線でずっと続けようと思えば続けられたんじゃないか、とも思ったんですが。
「はい……」
――『Love Song』もかなりいい曲でしたし、『Blue Bird』も……
「めちゃくちゃいいですよね… まあ、時代の流れもあるかもしれませんけどね、もう徹底的に冬(の時代)でしたから。その中で本人も、ずいぶんやったよ、っていう思いはあったかもしれないですね」
――98~99年で言うと、ハロプロとかそういう別の流れも出てきた…
「出てきたころですよね、うん。フェアリー・テールも入れれば93年からやっているわけで、94年にソロデビューして95・96・97・98年ですよね。丸5年やって、6年目にこの三井ゆきこ・久保田邦夫という藤本さん仕切りのものに移った。6年目ですからね」
――うーん…
「6年間アイドルとして活動するのはけっこう長い」
――うーん(納得していない)
「むしろ続けている人はアイドルではなくなっている気がするし…」
――ああ、そうか。アイドルをずっと続けていたいと本人が思っているならば、自分はそろそろ身を引いた方がいいと。ミュージシャンやアーチストのようなほかの路線として活動していきたいと思うなら別ですが…
「そうですよね」
――たしかに『がんばれ My friend』や『夏の恋人』、アルバム『dear my friend.』の『ホントの幸せ』で、いったん完成しきった感じはありましたね。
「そういうことなんですね」
――三井ゆきこ・久保田邦夫路線で、また新たな世界ができそうだと思ったんですが…
「ま、戻ったんだけどね、戻ったんだけれど、もうちょっとエネルギーが残っていなかったのかなあ、という気はしますよ」
――ああ、なるほど。
「どうしてもツインテールのあおいちゃんというイメージがね… むりやり変えても、っていうのもあったんだよな」
――まあそうですよね。
「ただ、おっしゃるように、まだ続けられたんじゃないかな、っていうのはありますよ。あります、あります。もったいないなあ、という意見はとうぜんあるでしょう」
――少し路線を大人めに。年齢イメージもそれなりにあげて、その路線で行ける可能性もあったかなと。
「うん、それを活かさない手はない、っていう感じはしますよね」
――だけれども、本人としてもそれを選ばなかったと。
「誰か強い力でやってくれる人がいたらね、事務所移籍でもいいし、プロデュースを任せるっていうこともぜんぜんよかったんだけれども。ただ、本人の中で… そう、やり尽くした感はあったんだと思いますよ。そう思います」
――このときは、野間さんは森下純菜さんと徳永愛さんをやっていて……
「そう、あまりあおいちゃんと話すことはしていないような感じで。もともとそんな深い話はしていないんだけれども。その時はどうだったかねぇ」
――いま考えると、アイドルを3人、プレアイドルも何人か所属して、同時並行でよくやっていましたよね。
「そう、ちょっと考えられないよね、いま思えば。
だから、あおいちゃんで言えば、あおいちゃんもったいないなあとか、その頃にあおいちゃんのことで関わっていた人たちが今いるわけですよ。そういう人たちがみんなあおいちゃんのもとに集まるっていうのは、やっぱり彼らからすれば、まだまだ行けた、っていう思いがあったんじゃないでしょうか」
――そうかもしれません。
「みんな思っているだろうなあ(引退させた)野間さんひどい奴って…」
――いえいえ、そんな風に思っている人は誰もいませんって(笑)復活を喜んで、それならばサポートして盛り上げていこうと。
「そうですよね」
――それから新曲も出ることになって……
「もう間違いのない人たちが付いてますからね。今のあおいちゃんには、かつてを知っている人たちが付いていますから、おそらくストレスなくやっているんじゃないかと思います」
――そうですね。
「20年の充電期間もあったからね。それは(モチベーションとしても)すごく良かったんじゃないかと思いますね」
――11月23日のコンサートに向けて、(本人も)いま、かなり盛り上がっているようです。
「うんうん」
――Twitter(X)なんかをみると、カラオケで3時間も歌っていますとか(2024年9月中旬時点。その後、4時間、5~6時間と最長記録を伸ばしているようです…)
「な・ん・て・ことだ。なんか覚醒したかな」
――覚醒したみたいですね。
「やっぱり歌うことが好きだからね。丸6年間やっていたわけですから」
――はいはい。
「それに、お客さんを盛り上げる曲を持っているというのも強いんですよね、財産としてね。そういうことで言うと、ホントにやってて良かったなという感じですね」
――曲もこれだけシングルを出していますし。
「曲を持っているし。その中でも『Love Song』は当たりの曲ですよ」
――『Love Song』はホントにいい曲ですね。
「最後の引退をモチーフとした曲で。これもね、詞はよくできた。最後にカンペ―さんが仕切ってくれてできたんですね。カンペーさんも最後のライブに来てくれたはずです」
次回は、「Final Live "Love Songs For…"」の話です。