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野間真さんインタビュー#11 ~アルバム『dear my friend.』~ 

「眠くなったらすぐ寝よう」©水野あおい

「96年は、アルバムはどうなっています? 95年に『天使のおひるね』を出して、『フリル通りのくますけ』はいつでしたっけ」
――96年3月です。
「『楽園~パラダイス~』『夢見るハート』の前か」
――前ですね、直前です。
「何が入っています?」
――(アルバム収録曲の一覧表をお見せする)
「ああ、完全にこれはもう、いわゆるベストで、センチュリーがお金が欲しくてしょうがないものだな。だから、ここでちょっとしたミニ・ストーリーを入れて、くますけとの… まあなんかよくわからないトーク。これは僕はストーリーの作成にはかかわってますけど。そのレコーディングはやったなあ」
――ほう。
「ははっ(笑)とぼけた感じで… "牛"の次に"くま"ですからね(笑)」
――ああっ、そうか(笑)
「そういうちょっとした、ふまふました感じを出しているってのはありますね」
――くますけっていうのは、本人が気に入っているくま…
「くますけは、なんかお泊り会とかにも連れてきたりしていましたからね」
――ああそうですか(笑)ちょっと足のくっつきが変な…
「そうそう(笑) なんだかもう、そんな感じで…」

2ndアルバム『Aoi Special Edition ~フリル通りのくますけ~』1996年3月21日リリース
裏ジャケット

――このアルバムは、曲とストーリーのナレーションがあって、最後の「おやすみ」のあと、こそっと「もう一度聴いてね」って入るじゃないですか。
「はいはい」
――あれで、うっかりもう一度聴いちゃうんですよね。
「ああ、そういうことか。寝れないじゃないですか、へへへっ(笑)」
――そういうちょっとした仕掛けを入れるのも、野間さんらしいなと。
「まあ、そうかもしれないですね。
 そうそう。すぐ寝ちゃう、だから、もふもふの牛とくまですけれど、どっちもけっきょく寝てるんですよね。ホントにまあ、おやすみか、おひるねか、よくわからないですけれど… 寝てるんですよ」
――ああ、"おひるね" と "おやすみ" ですからね。
「オリジナルグッズで、マグカップ作ったときは、あおいちゃんが自分に見立てたイラストの横に「眠くなったらすぐ寝よう」っていう標語を付けた(笑) ですから「よく寝ちゃう」「眠くなっちゃう」っていうキャラクターが一つの… まあ実際はどうかは別として、そういうちょっとのんびりしたコンセプトというのはありましたね、うん」
――本人の雰囲気にも合ってますね。
「合っているんでしょうね」

3rdアルバム『dear my friend.』の完成度

3rdアルバム『dear my friend.』1996年11月21日リリース

――『がんばれ My Friend』を出した翌月に、アルバムで『dear my friend.』が出ています。
「あ、出しているか。そこは(センチュリーレコードは)元気がまだあったんですね」
――そうですね、これは新たなオリジナルソングが多いです。
「そのアルバムのラインアップはどうなっていますか?」
――(アルバム収録曲の表をお見せする)
「はいはい。たぶん僕が詞を書いているのがいくつかあるんですけど… これはね、元気があったんでしょうね、センチュリーさんが。元気があって、ヤギハシさんがけっこう絡んでいて。それで『硝子の天使』がマイナーコードの曲でちょっと珍しい。1曲作ってみようって言ってマイナーな曲を入れたのと…」
――なるほど。
「あとね、カンペ―さんが、この曲はちょっとどうかなー、って言って出してきた曲が大当たりで。『ホントの幸せ』っていう曲で、先にメロディだけ来て、これはやりましょう、と言って僕が詞を付けて…」
――ほう。
「この曲の詞が、完成度という意味ではいちばん高いかなっていう気がします」
――ああ、なるほど。
「アレンジも秀逸だし、盛り上げるツボが随所にちりばめられていて、この曲でライブの完成度が高くなる。今でもいいところで使うと思うんですよ、この『ホントの幸せ』って。歌ってないかなあ」
――今も、ライブの最後に持ってきますね。
「やっぱりそうですよね」
――みんなへの感謝も込めて、という感じで歌ってますね。
「はいはい。この曲はね、財産ですよ、うん。この曲があるとないとではぜんぜん違う…」
――ええ、この曲はいつも大切そうに歌っていますね。昨年8月の復活ライブ、11月のお誕生日ライブのどちらも歌っていて…
「ああ、やっぱりそうなんだな」
――本人にとっても大切な歌なんでしょうね。
「うん。この曲は、客席との一体感が凄まじいですよ。この曲の完成度といったら… まあ自分で詞を書いていてね、完成度なんて言っておこがましいんだけど。すごく歌詞がはまっているんですよね」

3rdアルバム『dear my friend.』裏ジャケット

『ホントの幸せ』は誰かカバーしないかなあ

――はい。
「これで、もしかしたらゆかりんが、歌詞を書いた人に発注しようと思ったかもしれないですね。ちょっとその辺はゆかりんの心境はわからないけど。この曲をライブに来て見せられると、ああ、この曲はすっと入ってくるな、という感じはありますね」
――うんうん。
「誰かカバーしないかなあ」
――そうですよね、田村ゆかりさんにカバーしてもらってもいいですよね。
「ははっ(笑)、そういうことね(笑)。このとき『ホントの幸せ』ができたので、たぶんこの年のお誕生日のライブでは『ホントの幸せ』で一つになったのではないかという気がしますね。それが96年の暮れか、はい」
――たしかに完成度はすごく高いですね。
「この曲をよくもらえたなあと、ホント偶然で。カンペ―さんがどこかでボツになったから出すのをやめようかと思っていたんだけれども、いちおう出してみようかって言って、出してみたって風におっしゃっていたので。ホントに瓢箪から駒って感じでしたね」
――このアルバムは全体でみても完成度が高いです。
「そうだと思いますね」
――『かなわぬ思い』のバラードで始まり、『硝子の天使』で少し衝撃を与えて、『恋のじゅもん』でまた雰囲気を変えて、最後に『ホントの幸せ』…
「そうですよね、そうそう。自分がどの曲を書いたのかはぜんぜん記憶がないけれど、『硝子の天使』と『ホントの幸せ』は書いている、この2曲は書いています。それで96年が暮れて、4年目に入るんだな…」

次回は、1997年のシングル『夏の恋人』です。


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