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だろう温泉【毎週ショートショートnote《裏》】
「これが、くろう温泉。それが、ひろう温泉。あれが、かろう温泉です。
どれも、疲れによく効きます。非常に疲れていらっしゃるときは、かろう温泉が良いかと存じます。」
「こっちは、とろう温泉です。
なんだか無駄な仕事をしてしまったとき、気持ちまで癒してくれる温泉です。」
「これは変わりダネです。るろう温泉です。
すべてが嫌になって、旅立ちたくなった気持ちを癒してくれる効能があります。」
有給が取れたのは久しぶりだ。
私は珍しい温泉宿に泊まって楽しんでいた。とても疲れていたのだが、また明日から頑張ろうという気持ちが沸いてきた。
るろう温泉の脇に、蓋をされた温泉があった。
私はこの温泉宿がすっかり気に入っていた。せっかくだから、すべての湯に入りたい。それで、蓋を開けて入ってみたのである。
「ああっ! お客さん! それは、だろう温泉です!
『曖昧』を許せなくなって、『データは?』とか、『それってあなたの感想ですよね?』とか、ちょっと嫌なやつになってしまう温泉なんです!
さあ、はやくこっちの、である温泉へ入ってください!
……いや、『エビデンスあるの?』とか言ってる場合じゃなくて!」
完
(本文489字)
氷河期ネタですけど、『らんま1/2』って、最後は元に戻れたんですかね?
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……癒されますな!