だいたいニャー【毎週ショートショートnote《裏》】
野球部の顧問、つまり監督が病気になった。しばらく出て来られないらしい。
部員だけで活動することになって、俺たち野球部員は喜んだ。
監督の指導は厳しかったから。幸い、監督は入院すれば治るというし。
グラウンドを散歩道にしている猫を臨時顧問に任命した。人なつこい猫だが、話しかけてもだいたいニャーとしか返ってこない。
練習はすぐに行き詰まった。監督がいるときと比べ、エラー、悪送球、落球が爆発的に増えた。
「全然ダメだ。やっぱり、監督がいないと……。」
「そうじゃない。俺はわかった。これはチャンスなんだ。」
そう言い始めたショートの目は、宝物を見つけた少年の目だった。
「俺たちは野球を『やらされていた』んだ。
そうじゃない。俺たちが野球を『やる』んだ。俺たちが、自分たちで強くなるんだ。
どうやったらミスが減る? 案を出せ。俺たちでやるんだ。」
皆、次々に前向きな案を出した。
臨時顧問の元で、野球部はひとつ強くなった。
完
(本文408字)
自分達でやろうっていう集団は強いぜ。