ええねん会議【毎週ショートショートnote《裏》】
とんでもない混雑ぶりだ。
議事は無数にあるが、とても審議どころではない。
決裁するはずの大国主など、最初から議事の進行を諦めている。
一言主が議事の進行に気を揉んでいる間にも、大国主は神々に酒を注いで回っている。一人に注げば、相手からも注がれる。だから、大国主は盛大に酔っぱらっている。
「大国主どの! 佐藤太郎と鈴木花子の縁を結んでよろしいか!」
神々の中で大騒ぎしている大国主に、議長の一言主は大声で呼びかけた。
「何を言っとる!」
大国主が声を上げると、周囲一帯しいんと静まり返った。
「いいに決まっている!
せーんぶ、一言主どのの原案のとおりでええねん! なあ、みんな!」
神々は一斉に、拳を突き上げて同意した。
それで、今年の神在月の会議は終わりだった。八百万の案件に、審議時間は八秒。あとは酒盛りである。
一言主にも盃が回ってきた。
一言主とて、嫌いではない。ぐいと飲み干した。
毎年こうだ。ずーっと、こうなのだ。
完
(本文438字)
ええねん……からの永年ッ!