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世界一しょぼいタイムスリップ【毎週ショートショートnote】
俺は死んだ。
極楽に行くか、転生するか。いずれか選べと閻魔大王が言う。
もし、転生した場合はこんな人生を送ることになる。
その、ダイジェスト版を見せられた。
いや、待て。
これは、今の俺ではないか。生まれ変わる場合も、今の人生を繰り返すということなのか?
「そうだぞ。」
閻魔大王は言った。
「転生など、やったところでだ。他の人生など生きられぬ。
結局、元に戻って同じことの繰り返しだ。だから、転生を選ぶ者など億分の一だ。」
「転生しない場合、どうなるのですか? 生まれるはずだった、俺は。」
「別の精子が受精して、別の者が生まれる。その数だけ平行世界も生まれるのだが、まあ、貴様の気にすることではないわ。
極楽に行くか、元に戻るかだ。簡単であろう。はよう決めい。」
「……たわけが。
ふん。嫌いではないがな。たわけぞ。貴様は。」
完
(本文361字)
実際、「たわけ」もそこそこ居そうな気はする。