乾石村のシスカ

かんせきむらのしすか。世の中のあれこれについて考え、書き綴るフランス在住(2024年で…

乾石村のシスカ

かんせきむらのしすか。世の中のあれこれについて考え、書き綴るフランス在住(2024年で25周年)で1960年代生まれの女性。乾式石造物が多くある田舎の村に数年前から住んでいます。シスカの欧文つづりはCiska。

最近の記事

一夫多妻制はなぜダメなのか・番外編 ~フランスの一夫多妻世帯~

番外編として、フランスで違法に行われている一夫多妻婚について書きます。ドキュメンタリー動画付き。      「一夫多妻制はなぜダメなのか」シリーズは、わたしが予測していたより多くの方にお読みいただいている(少なくとも記事をチラ見だけでもしていただいている)ようです。この記事では、フランスにおける一夫多妻世帯について書きます。   「一夫多妻制はなぜダメなのか」(1)・(2)・(3)   フランスにおける重婚(ポリガミー)   本記事の内容は、これまでわたしがフランスのテレビ・

    • 多様性そのものに価値はない(3)

      多様性は、多文化共生の文脈では、好ましくない場合もあります。「多様性の時代なんだから、どんな違いも寛容に受け入れるべきだ」なんてボンヤリ考えず、「多様性を尊重する」と言うとき、本当は何を尊重するべきなのかを認識しておく必要があります。 企業のプロジェクト・チームは、多様な視点や考え方、経歴をもつメンバーがいると良い成果につながる可能性が高いといった研究結果があります。けれど―現実味に欠ける例ですが、議論のため―メンバーが言語的に多様で、それぞれ違う言語しか話せず、共通語がな

      • 一夫多妻制はなぜダメなのか (3)

        一夫多妻制は社会全体にとってもダメダメな制度です。社会が自由で民主主義的であり、前進し続ける、あるいは少なくとも後退しないためには、婚姻制度はモノガミー(一対一婚)以外に考えられません。     社会レベルの悪影響   「一夫多妻制はなぜダメなのか」の(1)・(2)で、この制度が女性と子どもだけでなく、男性にとってもダメだとわたしが考える理由を書きました。個人レベルでの悪影響は、そのまま社会全体への悪影響につながります。   社会レベルの悪影響に関して、一夫多妻制が合法な国・

        • 一夫多妻制はなぜダメなのか(2)

          一夫多妻制は男女平等、男女同権の法則に反し、女性にとってとくにダメダメな制度です。女性が苦しむとき、ほぼもれなく同時に苦しむのは子どもたちです。      一夫多妻制のもとに生まれてくる子どもは、一夫一妻制の場合より親、とくに父親から受ける関心、愛情が少なくなることは容易に想像できます。チンギスハンには子どもが100人ほどいたそうですが、子どもたちとの関係はどんなものだったのか・・・というか、関係があったのだろうか、と疑問に思いますよね。   親からの関心、愛情に関して、同じ

        一夫多妻制はなぜダメなのか・番外編 ~フランスの一夫多妻世帯~

          多様性そのものに価値はない(2)

          多様性にもいろいろあります。多様性の多様性です。でも今、特定の「多様性」だけが「多様性」になっていませんか?   このシリーズ(…になるかな?)「多様性そのものに価値はない」を書き始めたきっかけは、日本国外に住むわたしが、日本語空間(日本+ネット上の各種日本語サイト)で、「多様性」「ダイバーシティ」という言葉がひんぱんに使われるようになっていることに気づいたことです。そこに、「多様性を尊重するべき」「多様性の時代だ」と無批判に唱える傾向を感じました。いったい多様性をどのよう

          多様性そのものに価値はない(2)

          一夫多妻制はなぜダメなのか(1)

          「少子化対策として一夫多妻制にしたら?」 なんて考えてませんよね?   日本の少子化は悪化するばかりです。国立社会保障・人口問題研究所は、2023年の日本人の出生数は72.6万人、5.8%の減少率と推計しています。出生数の減少のおもな原因は、結婚する人が減っていることです。   一般的に日本人は結婚しなければ子どもをもうけないので、少子化問題を解決するには、結婚する人を増やすための対策も他の対策とともに必要だと言われています。男女の出会いや恋愛をうながすサポートです。そんな中

          一夫多妻制はなぜダメなのか(1)

          多様性そのものに価値はない(1)

          インターネットで「多様性」「ダイバーシティ」という日本語を見かけるようになって、すでに十数年経ちます。わたしは日本に住んでいないので、一般的な日本人の日常生活に、どれくらいこの言葉が定着しているのかはわかりません。仕事を通じてはある程度、日本とのつながりがあるので、いくつかの日本の企業や大学や自治体が「多様性」を好ましいものとして、あるいは尊重するべきものとして、目標のひとつとして掲げていることは知っています。 日本での「多様性」の推進は、多様な人の採用、受け入れ、活躍を目

          多様性そのものに価値はない(1)