走りながら拾って考えてみた
起床したときには、裸。
マリリン・モンローは、何を着て寝るのですか?と問われ、シャネルの5番と色っぽく答えたが、吾は男子、香水は今まで一度たりとも体に振りかけたことはない。したがって、布団を剥いで芳香が立ち上ることはなく、むさい体臭に吾ながら顔をしかめる。
さて、これから出掛ける、身支度をせねば。
服を着てリュックを背負って玄関に。靴を履いてドアを開ける。旅費の入った財布を忘れずに。歩いて行こうか、それとも天気がいいし自転車で爽快に飛ばそうか?車で遠出するのもよし!
おっと、行先をまだ決めてなかった。いや、決められていないのだ。
どこへ行くのか、そこまでいったい何時間掛かるのか、分からない。
まてよ、着くまでに何日も掛かるかも知れない。ひなびた道程で宿がなかったらどうする?テントにシュラフも用意して野宿に備えるべきだな。ふぅ、荷物が増える。
そうだ、誰か連れはいたか?…いや、いない。一人だ。
どっちに向かうのか、どこに辿り着くのか、分からないまま旅立つ。
そう考えているのね、吾は「死ぬ」ことを。
人生を折り返した還暦+3歳。
今、この瞬間に死んだとしても、悔いはない。戦争と飢餓のない日本に生まれただけで8割方、幸福である。大病もせず健康に生きながらえ、したいコトもできているので、思い残すことはない。死ぬのは悲しくはあるけれど。
では、「死」を恐れているか?
「死」が現世を離れて別世界(ただし誰も知らない世界)への旅立ちと考えれば、恐れはない。
恐ろしいのは、「死」ではなく、死に至るまで苦しむこと。
旅には、それなりの身支度と資金が要る。
霊体?幽体?となっての旅立ちにどのような支度と資金が要るのか、分からないので、現世での旅になぞらえて用意してみよう。
服と靴、荷物を整えて、移動、食事、宿泊に費やす資金を貯めておかなければならない。
1グラムを1円としよう。
拾い集めたゴミを計量してお金に換算できるとすれば、やり甲斐も出てくる。なに!?ゴミ回収業でも始めるつもり?葬儀費用の貯金か?
いや、違いますよ。始めるのは、「プロギング」です。
スウェーデン発祥の社会貢献活動。
ジョギングしながら道端のゴミ拾い。スウェーデン語「plocka upp(拾う)」と英語「jogging(走る)」を合わせた造語のプロギング(plogging)。
還暦になってからの事始め第4弾にプロギング。
60歳からはジョギングを日課にしてマラソンにも挑戦している。月100kmをノルマに信州スカイパークをジョギングだ。どうせ走るならプロギングをしてみよう。
モチベーション上げるために集めたゴミがお金になると想定した。
拝聴している YouTube「三木大雲チャンネル」で和尚が宣うには、ゴミ拾いで徳が積めるのだと。ひたすら掃除を続けて悟りを開いた偉いお坊さまもいらっしゃる!
徳を積んでいると、死んでもいいことがあるらしい。地獄ではなく、天国に行けるとか?ふむ、分からないけど、信じてみよう。
今日からスタートしたプロギング。
スカイパークで走りながら拾い集めたゴミは、205g。205円の稼ぎになりました。これで何が買えるかな、100均のパンツか靴下ぐらいなら買えそうだ(笑)はは、旅支度完了にはまだほど遠い。これからうんと稼がないと(プロギングしないと)いけねぇや。
残りの人生でどのくらい貯まるか。徳が積めるか。
身支度に数万円、諸経費に云十万円、何年走ればいいのさ、天国行のキップを手にするまでには。
風雪に耐えうる服装・装備にはお金がかかる。歩くのが辛ければ、自転車ぐらいは買いたい。車だったら楽チン。さらに遠く海を渡りたいのであれば、船賃や飛行機代も稼がなければならないな。
なんてコトを考えながら、プロギングすると楽しいかも。