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箸を持つ方の手は?
しばしば、ふと右と左が分からなくなる。
例えば、誰かがペンを持って何かを書いていたり、スプーンや箸などで何かを食べているのを見ていると、ふと「この人は左利き?右利き?」と考えてしまったり、薬指に指輪をしている人を見て「結婚指輪は左だったよな。この人は?」だとか、野球選手がバッターボックスに立った時に「んっ、右打ち?左打ち?」となった時なんかは、対して困ることはないのだけれど、視力検査で「まず左目を隠して下さい」と言われた時など「あれっ、どっちだっけ?」となり、慌ててしまう。
そんな時には、頭の中で「箸を持つ方の手は?」と考えると、自然と右手が上がるので、ようやく「あっ、こっちが右だ」と理解できる。
こんな調子なので、子どもの頃学校などでよくやった手旗信号の「右上げて、右下げないで左上げて」なんて苦手でしょうがなかった。
車を運転する時に、これは非常に困ってしまう。
ナビが「次を右折です」と教えてくれても、すぐに理解できなくて車線変更のタイミングが遅れてしまうことがある。
車の免許をとりに行ったのは、27歳になってからだった。
周りの友人は、大体高校卒業したタイミングか、20歳前後で取得しているので、遅いほうだった。それでも、何とか一発で免許を取得できたのは運が良かった。自動車学校では、いい具合に気が張っていたので左右を間違えることはなかった。
運転をするようになってしばらくは、ナビなしの車を運転していたが、やはり右左折を間違えることは多かったが、県内なら何とか地理もわかっているので、何とかなった。
しかし、高速に乗るとこれが緊張の連続であった。東名高速や名神などは高速の降り口が左側にあるが、名古屋高速は右側にあったりするものだから混乱する。無事に降りられたところでホッと胸を撫で下ろしていると、今度は一般道への合流がある。目的地まで行くのに、どちらの車線に入ればいいのか?もうこの時は右左折という考え方は頭にない。手前の車線か?奥の車線か?そして、なかなか合流させてくれない車の列。困ったもんだ。
転職活動中に初めて行く会社のビルなどでは、「エレベーターを降りたら右の方向へ進んでもらって、突き当たりを左へ歩いていただくと受付があります」と説明されると、一旦立ち止まって左右を考える。「こっちか?」とちょっと不安になりながら歩いて行き、無事受付に辿り着ければホッとする。
ただ、帰りが問題だ。さっき来たのと逆へ進めば良いのだが、もう混乱している。「どっちから来たっけ?」
オフィスビルの中は、無機質に同じような扉が並んでいるだけだ。目印になるような行き先を示した案内板があるところもあるが、よほど大きな新しめのビルでない限りそんな案内板はない。とりあえず、おぼろげな記憶を逆回転させて歩き始めるのだが、「あっ、エレベーターは右です」と受付まで見送りに来てくれた面接官の人に言われ、恥ずかしい気持ちで反対へ歩いて行くのだ。
左右盲
病名ではないが、瞬時に左右の区別がつかないことを「左右盲」と言うらしい。空間認知能力の弱い人にこの傾向が見られるそうである。
今更関係ないが、パイロットや船の舵取りなんてなろうと思わないで良かったと思う。