ブラックリスト
ぼくは、アスペルガー症候群(= 自閉スペクトラム症 ASD)と診断されているが、ADHD(注意欠如・多動症)の特性の一つである「衝動性」も顕著に見られる。また、境界性パーソナリティ障害においても「衝動的な行動」がその症状の一つに挙げられている。
「衝動的な行動」の中でも、ぼくの場合はお金の使い方においてこの現象が顕著に見られる。
例えば、欲しいレコードやCDがあれば、ついつい買い過ぎてしまう。日用品や衣類・PC周りの機器・部品など「これは必要なものだ」と思い込んで必要以上に買い溜めたり、少しばかり高価な物でも買ってしまう。また、自分の収入に見合わない高価な物(車であったり、PCであったり)をローンを組んで購入してしまう。
そのように、収入のほとんどを使ってしまい、貯金をするということができないのだ。あればあっただけ使ってしまう。そして、後のことを考えず、ローンで買い物をしてしまう。
そのように、次から次へと「物」が増えていくし、貯金はなくローンの残債だけが膨れ上がっていくこととなる。
そうなると、当然のように返済していくことに窮してくると、持っているものを少し売っては返済に充てると言う形で、いったんその場は収まるのだが、そのようなことを繰り返していくうちに、徐々に自分の首をじわりじわりと締めていく。
ある時、とうとうその日がやって来てしまった。
どうしても返済に充てるお金が足りなくなってしまう。
そこで、法テラスへ相談することにした。
そして法テラスから紹介された、近所の弁護士事務所へ赴き、債務整理の手続きを開始することとなった。
債務整理の手続きが始まると、いったん金融会社などからの督促は止まることとなる。しかし、返済を全て免除されるかどうかは、裁判所の判断によるため、裁判で認められるには1年以上の期間が費やされることとなった。
それから毎月、弁護士事務所へ通うこととなる。借り入れしている金融機関と残額をそれぞれ明確にし、現時点での所有物や保険などの評価額を調べ、20万以上の価値があるものは売却・解約して、弁済に充てなくてはならない。ぼくの場合は、車と生命保険を解約した。そして、毎月の収入と支出を細かく記していかなくてはならない。
とりあえず、裁判所からは自己破産手続きの開始の申立てが認められた。
ここからは、自己破産が相当であると認めてもらうための証拠を揃える必要がある。それには、返済を免除されたのち、自己の収入に見合った生活へと、どのように改めるかなどを示さねばならない。
この時点では、発達障害の診断は受けていなかったので、主治医にこのような状況になるのは、発達障害があるのではないかとの疑問を打ち明けたところ、臨床心理士のカウンセリングを受けることで、発達障害(アスペルガー症候群)があるものと認められ、その診断書も裁判所へ提出した。
そして約1年経って、自己破産が認められた。
それから数年が経ち、現在でも、衝動性を抑えるための処方薬も服用しているが、部屋にはAmazonの段ボールが溜まり、物は増え続けているが、貯金はできていない。
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