科学の「信頼神話」は崩壊寸前かもしれない
👇の記事で紹介されていた調査結果が興味深かった。
Nature曰く、
とのこと。
なるほど、大がかりな調査だ。年齢、性別、人種などの偏りはない、と言っているが、詳細はわからない。
1
まず、新しい科学技術に関する情報を得る際に誰を信用するか、について。
「someone like me」が高いのが素晴らしい。これは日本では高くなさそうだ。この項目における国ごとの集計が見たかった。
「科学者」は今のところ信用されているようだ。「企業の技術的専門家」は「技術者」と言い換えることができるか、こちらも信用されているようだ。両者は要するに「専門家」である。確かに変なのが悪目立ちするだけで、信用に足る人物も少なくないことは間違いない。
「科学ジャーナリズム」は当然ながら信用されていない。
「政府」はさらに信用されていない。
まあ、このメンツの中なら、「専門家」か「自分」を信じるのが最も賢明だとは思う。
しかし、「専門家」と「科学ジャーナリズム」を別々と考えていいのかは疑問だ。なぜなら、両者は共闘し、メディアキャンペーンを仕掛けることがあるからだ。その時、両者は共存共栄関係となる👇
2
新たな科学技術を受け入れられるかどうか、について。
AI、遺伝子治療(当然、mRNA医薬も含まれる)、遺伝子組み換え食品が受け入れがたい、つまり信用できない、と感じる人の方が多い。
次に、新しい科学技術を適切に管理できているのか、について
AI、遺伝子治療(当然、mRNA医薬も含まれる)、遺伝子組み換え食品に対する規制が不十分であると考える人の方が多い。信用されているはずのグリーンエネルギーにおいても、規制が不十分と考えている人が少なくないのが興味深い。
そして、全体としては、新しい科学技術に対する規制が不十分と考えている人は、十分と考えている人の2倍近くであった。
・・・まあね、そりゃそうだよね、としか思えない。
国ごとの結果が以下だ。
日本人が大好きな欧米において、新たな科学技術に対する警戒感が強いのがわかる。この点は真似していいと思うのだが?
3
科学における政治の影響をどう考えるか、について
「科学が政治化している」と考える→53%
「政府と研究資金配分機関が科学のあり方に対して影響力を持ち過ぎている」と考える→59%
この辺りは、政府が企業よりはるかに強い国と、企業が政府と同じぐらい強い国によって事情が違うだろう。
前者であるChinaは両方の質問で1位なのに比して、後者であるU.S.は「科学が政治化している」にのみ上位に入っている。U.S.においては、お金の出所が政府ではなく、企業だからなのだろう。だから、後者のような国は、「科学が企業化している」に言い換えてもいいように思う。
4
常識も文化も異なる国々において、
・新たな科学技術に対して警戒する姿勢
・科学ジャーナリズムに対する不信
・科学が(政府や企業などの)外側からの影響を受けやすくなっていることへの懸念
に関しては普遍性がある、ということだ。
科学の「信頼神話」は、実はかなり危機的な状態にあるのかもしれない。
これが崩壊すると、いよいよ「科学の終わり」だな。
私は至極当然の結果だと思う。
なんでこんなに信用されてないのか、胸に手を当てて考えてみるがいい。
君たちが調子に乗り過ぎた結果だよ、特にここ4年の間にな!!
ちなみに、この「信頼神話」崩壊の危機への対応について、Natureは次のように言っている(もっとも、Natureは「科学」が信頼を失っているのではなく、信頼を失っているのは「政府」である、ということにしたいようだが)。
ああ、なんか👇の、経済学者である大竹文雄氏と医療系専門家の意見の隔たりを思い出したわ・・・
まあ、専門家だけに任していたらいかん、という点はNatureに同意する。
補
ところで・・・・「科学の政治化」をいうなら、Natureもかなり「政治化」しているように思う。
👇の記事など、かなり露骨な民主党への偏向を感じてしまった。
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