レカネマブ、正直どうなの?
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ついに承認されてしまいそうだ。まあ、時間の問題だったのだが。
この薬に関しては、以前にも少し触れたので引用しておく。
まあ、いくら私ごときが懸念を表明したところで、使う医者は使うのだろうし、希望する患者は希望するのだろう。仕方ない。それにしても高い・・
薬本体も高額だし、アミロイドPETがセットになることを考えると、さらに高額になる。高額医療制度でカバーすると大変なことになりそうだなぁ、とは思う。いや、高額でも有効性が高ければ許容すべきだろうが、私にはこれに高い有効性があるとは到底思えない。
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一応、根拠となっている第Ⅲ相試験はNEJMに掲載されている。
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2212948
アブストラクト和訳👇
この治験の主要評価項目はClinical Demantia Rating(CDR)という評価法である。結果は上記👆の通り。確かに経時的に差が開いているように見える。
これに関しては、4つ文句を垂れておく。
① まず、仮にこの結果が有効性を示しているとしても、レカネマブ群とプラセボ群のわずかな差が18か月以降も維持されることは、「期待」と「(楽観的な)想定」でしかない。つまり、長期的な「効果」は誰にも分らない。2年、3年と使ってみないと分からない。だから、2週に1回行う投与の「ゴール」は想定されていない。
もちろん、長期的投与による負の影響など、だれも知らない。
② 「QOL(生活の質)改善」ではなく、あくまでも「認知機能改善」をターゲットとした治験の主要評価項目として、そもそもCDRが適しているのか、という根本的な疑問がある。QOLを改善させるものが「認知機能改善」だけではないのは言うまでもないことだ。
③ その点を置いておいても、治験期間中の18か月の効果は正直大したことはない、と思う。CDRスコアの合計点(CDR-SB score)の18か月後の増加がレカネマブ群1.21点に対してプラセボ群1.66点、わずか0.45点の差、である。下にCDRの日本語版を提示しておく。果たしてこの差を、「有効」と考えていいのだろうか?費用の面はもちろん、「2週間に1回の静脈内点滴を継続する」という身体的・精神的負担に見合った効果と考えていいのだろうか?
上記の朝日の記事の中で、治験に協力した医師が👇のように言っていたらしい。このCDR変化のわずかな差と、この医師の印象は一致するように思う。
④ そもそも軽度認知障害(MCI)を評価したいのなら、MCI評価ツールとして最もスタンダードなMoCAによる評価を行わないのはどうしてなんだろう???不思議だ。
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二次評価項目は以下の4項目。
ADAS-Cogはアルツハイマー病に特化した認知機能評価法として広く使用されている。私としては、これが最も重要な結果なのでは、と思うのだが??
最大90点(点数が高いほど認知機能低下)で、18か月後にプラセボ群5.58点増加に対して、レカネマブ群4.14点増加と、レカネマブ群の方が1.44点増加が抑制された、とのこと。CDR-SBの結果と同様の感想しか出てこない。
しかもこれ、何だか15か月目ごろから、わずかに認められた「有効性」が頭落ちになっているように見えるのだが、気のせいだろうか?
ちなみに、今まで上げた各検査法については下記のページにうまく整理されており、CDRは5番目、ADAS-Cogは7番目、MoCAは8番目に説明がある。
あとの2つの評価法👆は使ったことがないのでわからない。でも、評価法としては適している、という論文はあったので一応貼っておく。
レカネマブ投与でアミロイドβが減るのはそもそもの大前提なので、この結果は当たり前だろう👇
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以上、繰り返しになるが、この薬剤の「効果」に関しては「費用の面はもちろん、『2週間に1回の静脈内点滴を継続する』という身体的・精神的負担に見合った効果と考えていいのだろうか?」と言う疑問しか出てこない。
そして、この薬剤の最も懸念される副作用として、脳浮腫・脳出血がある。しかも、無視できない頻度で発生している。発生可能性を投与前に予測するために有用な検査があるのだが、我が国ではその検査体制が整っていない。
この辺りについては改めてまとめたい。
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