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#Our song for you

注:この記事は2020年6月に執筆したものです。

 2020年5月29日、ある動画がアップロードされました。

 宝塚歌劇団を卒業(退団)した、元トップスター総勢19名による『青い星の上で』の歌唱動画です。

この記事の執筆時点(2020/06/08 14:11)で、796,551回の再生回数を記録しています。

以下、敬称略にて出演者を退団順に並べました。()内はトップ就任期間です。

壮一帆、愛加あゆ(2012年12月25日~2014年8月31日)

蘭乃はな(2010年5月31日~2014年11月16日)

凰稀かなめ(2012年7月2日~2015年2月15日)

柚希礼音、夢咲ねね(2009年4月27日~2015年5月10日)

龍真咲(2012年4月23日~2016年9月4日)

北翔海莉、妃海風(2015年5月11日~2016年11月20日)

花乃まりあ(2014年11月17日~2017年2月5日)

実咲凛音(2012年7月2日~2017年4月30日)

早霧せいな、咲妃みゆ(2014年9月1日~2017年7月23日)

朝夏まなと(2015年2月16日~2017年11月19日)

愛希れいか(2012年4月23日~2018年11月18日)

仙名彩世(2017年2月6日~2019年4月28日)

紅ゆずる、綺咲愛里(2016年11月21日〜2019年10月13日)

明日海りお(2014年5月12日~2019年11月24日)

 私が宝塚歌劇団を好きになったきっかけである「ちえねね」こと柚希・夢咲コンビの就任から、いちばん最近退団された明日海りおさんまでの10年間で、11組のトップコンビが生まれたんですね。11組のトップコンビの共演って、毎年恒例のタカラヅカスペシャル(タカスぺ)に負けないくらいの豪華さです。

 この動画は、柚希礼音さんが発起人となって呼びかけ、オンラインで打ち合わせをし、

いつも私たちのそばにいて支えてくださっている、舞台を楽しみに待っていてくださる方々に感謝と笑顔を、 歌を通して届けたい...(概要欄抜粋)

 そんな思いで作り上げられたものです。

 歌だけでなくパート割り、カット割りや振り付け(?)に細かな気配りを感じました。見ると、振り付けは大村俊介さん。宝塚歌劇団の作品の振り付けを担当されたこともあるダンサーさんです。

 恥ずかしながら、私は今回初めてこの曲を知りました。2001年星組公演『夢は世界を翔けめぐる』の楽曲なんですね。私が観たことのある2001年星組作品といえば『ベルサイユのばら2001』です。千琴ひめかさん(現・はいだしょうこさん)のエトワールが有名ですよね。


#君と僕らの間にはひとつの歌があるよ

 この動画は、アップロードされた日のうちにYouTubeの急上昇ランキングに入るほど注目されました。

 それは出演されている19名の皆様のことを敬愛するファン(私もです)だけでなく、「ニュースで取り上げられていたから観に来た」人が何人もいたから出た結果です。これをきっかけに、宝塚歌劇に興味を持ってくれたらうれしいですね。

YouTubeの急上昇ランクで#5まで上がってきています...すごい...(本文抜粋)

 千葉哲郎さんはこの企画で動画の構成と編集を担当されたそうです。

柚希さんを中心とした制作チームで、構成案を何度もやりとりして、それをビデオコンテに落とし込んで、それを見てまた順番を再構築して、出来上がったパズルのような構成を19名分それぞれの指示書に落とし込んで…と、とても大変でしたが、届いた映像を一つに合わせた時に鳥肌が立つほど感動しました…(本文抜粋)

 私たちは出来上がったものを見ることしかできませんが、この動画の裏側にたくさんの人の尽力があったことは確かです。コロナ禍の緊急事態宣言下で、「ファンに感謝と笑顔を届けたい」の気持ちだけでここまで動けるでしょうか。ちゃんとどこかから謝礼とか出演料とか出てるのかな...

 この動画の中では、相手役同士のカット、同期同士のカット、組ごとのカットが多用されています。中でも、相手役の方に手を伸ばしたり、一緒に手を合わせたり、ハートマークを作るシーンは、多くの宝塚ファンの涙腺を緩めたのではないでしょうか。

 動画の最後、4分12秒くらいから、カーテンコールのような映像が流れます。上と下の二段に分かれて、男役さんと娘役さんがそれぞれ手をつなぎ、お辞儀をします。当然別撮りなのでバラバラですが、心にくる演出でした。


ーまた会える日までー

 この新しい『青い星の上で』を聴き、みなさんは何を思いましたか。

 使い古された表現ではありますが、音楽には人と人をつなぐ力があります。柚希礼音さんをはじめとするこのプロジェクトは、それを何とか可視化しようと試みたように思えます。

 世界中で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が猛威を振るい、緊急事態宣言が発令され、経済状況も悪化。外出自粛、営業自粛。感染拡大防止のため、宝塚歌劇団も6月末までの公演中止を発表しました。

 深い言及は避けますが、コロナ禍のアメリカ・ミネソタでの事件や、それを発端とするデモ、そこに便乗した暴動や略奪によって壊滅的な状態になった街をニュースで見て、何とも悲しくむなしい気持ちになりました。

 長く薄暗い、湿気とガスが充満したトンネルをずっと歩かされているような、ゆるやかで強烈な不安。

 2020年ももう半ば。今年は今日までずっと、そんな鬱屈とした気持ちで過ごしていたような気がします。私個人としても、「悪いことって続くなあ」と嫌でも実感させられている状況です。

 緊急事態宣言が解除され、営業しているお店が増えました。職場によっては、急場凌ぎだったリモートワークをやめ、従来通りの通勤に戻ったところもあります。

 今、行こうと思えば、まだ閉まったままの東京宝塚劇場を眺めるためだけに日比谷へ向かうこともできます。営業再開した宝塚アン有楽町駅前店に買い物に行くこともできます。

 でもまだ、まだなんです。

 この動画には「#君と僕らの間にはひとつの歌があるよ」というハッシュタグがつけられています。動画のタイトルは「Our song for you -また会える日まで-『青い星の上で』」です。

  私たちの歌をあなたに贈ります。また会える日まで青い星の上で。

 この『青い星の上で』、同じ気持ちで、また今までのように会えるようになるまで、待ちましょう。私たちにはひとつの歌があります。


スキを深めるため観劇やグッズ購入に充て…えっ、いいんですか…ありがとうございます…