数学アレルギーを何とか克服した中学3年生の6か月間の物語
今年の4月から1年間、海外の高校に留学する中学3年生の家庭教師を始めて6か月が過ぎました。
面接時(2023年9月初旬)に伝えていただいた現状と計画は
現在、中高一貫の女子校通っている。(学校のレベルは東大、京大、国立医学部が合わせて年に数名程度の合格者)特別進学クラスでなく、普通科で、成績は中位。数学の成績は全教科で一番悪い。英語力は英検2級合格済。
2024年4月より1年間海外の高校に留学予定。大学は理学部進学希望。(将来就きたい仕事がある)
という感じです。
数学が一番苦手な教科であるが、将来大学では理系の学部で学びたい。なのに、1年間の高校留学が決定している。
ちょっと、一般の人が聞けば違和感を覚えるかもしれませんが、私には違和感はまるでありません。海外留学している期間に彼女に合った勉強の仕方で学校の授業に合わせないで数学を教えることができるし、海外留学することで英語力が付けば、海外のテキストも含めて英語で数学を教えることもできるし、メリットしかありません。
参考のブログを良かったらご覧ください。
ということで、留学するまでのこの半年間が本当に大切だということです。
3月の学年末の数学のテストで結果を出す。という目標に向かって家庭教師が始まりました。
女子で数学が苦手な生徒の多くは、数学的な理屈っぽい表現が異常なほど苦手な人が多い。
数学の文章題などにこのような文があります。
A1個の重さは、B1個の重さの二倍よりも100g重い。
問題です。
Aの方が重いでしょうか?Bの方が重いでしょうか?
数学が苦手な人はこのような文章を理解しようとする時にパニックになってしまうわけです。つまり、数学が得意な人にはわからないと思いますが、Aという得体の知れないものが想像つかないために、文章が理解できないわけです。
このように文章を変えてみます。
すいか一個の重さは、りんご1個の重さの二倍よりも100g重い。
こうすれば、どちらの方が重いか理解できるわけです。これが数学だけが許される独特な問題なのです。そして、それが苦手な生徒が一定数いるわけです。
例えばこのような問題があるとします。
上記の式をmについて解いてほしいわけです。つまり、m=の式にしてほしいということです。
一つのやり方でたすきがけという方法があります。
このようなやり方です。
ただ、これを説明しても十分に理解してくれない人もいるわけです。そのような場合は、このような説明をしたら理解できた人もいました。
つまり、左の分母と右の分子をかけた答えと、左の分子と右の分母をかけた答えは同じ。のような説明では、混乱してしまう人もいるわけです。それよりも、このような感じにした方が理解してくれるわけです。
他にも、6x²−xy+12y²を因数分解する場合もたすきがけを学校で習いますが、たすき掛けはでは、混乱する生徒が多いのも事実です。私は、小学生や中学生にこのような場合の因数分解のやり方を教える場合はこのような教え方をします。
ですので、中学3年生でたすき掛けの因数分解を解くときに、私が教えた生徒は、初めて今までの教え方を学校で教えてくれないことを理解するわけです。
アメリカやイギリスの学校の教え方が良ければ、積極的に海外の教え方で理解してもらう。
ソー カー トォア
この意味わかりますか?
アメリカの高校生なら誰でも知っている言葉です。
これは三角比のidentitiesで、日本語の公式という言葉になります。(海外では日本語の公式はformulaとidentityに分けている)
これで覚えた方が理解しやすい人が多いので、ほとんど三角比の問題を教える場合は、日本の学校に通っている人でも、海外の英語のテキストを使います。ユニットサークルや関連性がわかりやすいわけです。
12月の定期テストの悪夢
2学期制の学校のために、12月が中間テストになります。数学の範囲に、図形の三角形の内心、外心、重心やチェバ、メネラウスの定理、方べきの定理がテスト範囲でした。
彼女は、今まで一度もテストで数学の証明問題の欄に鉛筆を迎え入れたことがない。そうです。
図形の問題は、証明問題がメインになりますが、とりあえず確実にわかる場所だけでも完璧にしてテストに臨んだ方がいいと思い、基礎的な問題を中心にやりました。
で、結果は
今までのテストよりちょっと良くなった程度でした。
ある程度想像した結果でしたが、私が思っている以上に定期テストの問題のレベルが高くて、驚きました。
今まで以上に頑張ったので、もう少し結果が欲しかったようでした。
で、彼女は寝込んでしまいました。
家庭教師をやる予定の数時間前に
急にやりたいことができたので、今日の勉強はキャンセルしていいですか?
のようなメッセージが3回ほど連続で続きました。
忍耐の時期でした。
3月学年末テストにすべてをかける
3月の学年末テストは難関の二次不等式の範囲がa≦x≦a+1や方程式がax²−(a+1)x−a-3=0のようにx²の係数で範囲がさらに複雑になるような問題など、毎年多くの脱落者を出すことで有名なところです。中間テストの図形の問題など比べるレベルではないくらいの難関です。
青チャート赤チャートで勝負に出る
彼女の現在の数学のレベルを遥かに超えるレベルの高い問題を、究極にわかりやすく説明して、前回のように、難しいから外すようなこともしないで、青チャートの問題も赤チャートの問題もすべて消化して、学校の授業を復習の時間にして、今までのように学校の授業が分からなくて授業を無駄にすることもなく対応しました。
話を聞くと、予想したように、方程式の最大、最小の授業が始まると、多くの生徒の授業が全く理解できない。という声が今までにないくらい多かったようです。
他の生徒が、全く授業が理解できない。という話が多かった中で、本人は授業についていくことが出来ていたので、結果で報われてほしいと願うだけです。
ただ、完璧ではなかったし、まだ十分に時間が欲しかったけれども最低限の準備は出来たという満足感もありましたが、やはり学校も前回のように生徒のレベルに合わせるのではなく、高いレベルの問題を出題してくるのだろうと思うのでどのような結果になるかが本当に私自身も不安でした。
前日ににテスト終わったらメール送るように伝えておきました。
で、テスト当日メール届きました。
ホッとした気持ちもありましたが、正直そこまで点数が取れるとは思ってなかったし、半分くらい取れれば十分と感じていました。彼女が簡単と言っていたのは、学校も難しい範囲なので、意識的に簡単な問題を出したんだな。と感じていました。
テスト結果を渡す前に、テストの解答例が生徒に届いたので見せてもらったら、、、
ガチガチに高いレベルの問題でした。
正直、彼女の通っている学校でしたら平均点は30点いかないレベルだと思いました。
ですので、50点前後を覚悟しました。
しかし、
80点はいかなかったが70点台でホッとしました。
テストは残念ながら80点は超えませんでしたが、これは部分点を相当引かれたのが原因でした。今まで証明問題など解いたことがなく、答えだけを書いて途中式が十分でない箇所が多かったので、これは仕方ないと思います。
実際にメールで送ってくれた内容と点数が一致しました。
平均点などの詳細は出ませんでしたが、、、
8割以上が赤点で追試だったようです。ですので、赤点を取った生徒は全員講堂に呼び出されたのですが、クラスで数名だけが教室に残ることになって、その中に自分が入って、残った数名も勉強できるだろうなという生徒だったので、ちょっと嬉しかったようです。
これから1年間は数学の勉強は海外の学校の授業と日本の数学の授業を並行して行うことに。
先週から三角比の勉強を始めました。中間テスト、期末テストというモチベーションがない中でどれだけやれるか楽しみです。また、今までは、難しい問題が出ると黙ってしまって沈黙もあったのですが、そのようなことがなくなったのが成長を感じました。
今回のテストの結果に満足できなかった。
これが、今のモチベーションになっているようです。確かに学年でも上位の成績が取れたし、満足感もあると思いますが、それ以上に、このテストなら満点を取ってもおかしくなかったし、取れたと思う。と言ってくれたことです。
テスト前に、彼女のお母さんから
最近数学しか娘はやってませんが大丈夫でしょうか?
というメールが届きました。
ただこれくらいやらなければ、クラス下位の数学の成績が、学年上位の成績を取ることはなかったと思います。
少し心配事もあります。
数学に自信を持ちすぎて、理科が視野にまだ十分に入っていないことです。
狙っている大学が高いので、これからもハードな期間が続くと思います。ただ、この6か月の数学の集中授業で、頑張ってやれば、超苦手だった数学でも結果を残すことができる。ということが実感できたことは大きかったです。
1年の海外生活は、本当に受験勉強に大きく影響してもおかしくないとは思いますが、ポジティブに考えれば、学校の授業に影響されずに重点分野を集中的に勉強できる。ということにも捉えられます。
日本に1年後に帰国した時に、授業についていけるのではなく、成績でもぶっちぎれるようにしたい。と、新たな目標が出来ました。
これからの成長が期待できる6か月間でその中に自分が関われたことがとてもうれしく思います。