中学高校留学 海外の学校の授業についていくための学習サポートが必要だと言い切れる理由
まず、ある生徒が受けた海外の学校の化学の授業のノートをご覧ください。
アルカリ金属(1族)の勉強です。
ここでは、最低限ですが、
Na(ナトリウム)とK(カリウム)は英語ではない
ということは覚えてください。
ナトリウムはsodiumであって、カリウムはpotassiumです。
で、写真の一部にこのような説明が書かれています。
In metallic bonding the valence electrons are free to wave from atom to atom, forming what is known as a sea of electrons. These electrons are referred to delocalized.
海外の学校に留学するということは、中学生でも高校生でも、当然このような授業を受けるということです。
metallic bonding 金属結合
valence electron 価電子
delocalized 非局在化
この辺りは、中学生や高校生でも単語を知らない人もいると思います。
一応参考までに訳すと
金属結合では、価電子は原子間を自由に移動し、いわゆる電子の海を形成します。これらの電子は非局在化と呼ばれる。
電子が非局在化すると物質は安定する。ということです。
理解できなくて当たり前です。だから勉強するわけで、難しすぎるからあきらめて勉強するのをやめる。ではなく、将来の夢を現実にするために、超えなくてはいけないハードルであって、それは、中学受験や高校受験、英検の試験、学校の定期テストと同じことだと思います。
ただ、多くの高校留学をしている日本人の留学生は、このような勉強をサポート無しに頑張っているのが現状です。
中学受験を塾も行かないで、自力で勉強するようなものです。中国やインドなどの留学生はイギリスでもオーストラリアでもアメリカでも留学すれば、母国語でも英語でも対応できるようなシステムが整っているわけで、数学や理科に関しては、英語が出来たらどうにかなる。というレベルではなく、学んだ知識を使って、応用問題を効率的に解くことが求められているわけで、そのあたりのサポートはしっかりと準備して留学を考える必要があると思います。
現在、海外の学校に留学している生徒の中で一人、これから留学する予定の生徒の中で一人は、1年間の海外留学を予定しています。
そのような生徒の場合は、海外の授業とは別に留学後の日本の授業に対応するための対応も合わせて行わなければなりません。積み重ね教科の数学が当然メインになりますが、そのあたりを対応していかなければ、帰国後の理経教科の授業、特に数学にはついていけなくなってしまいます。
女子校などでは、学校のカリキュラムの中で、1年の海外留学が含まれている学校もあります。(円安で廃止された学校もあるようです。)その中で、保護者会でも大きな問題になっているのは、1年海外留学をするのに、卒業生の進学実績が期待しているものとは程遠い結果になっている。ことです。
現在、慶応のSFCや早稲田のSILS、上智のFLAなどは、最低英検1級レベルまたは進学校の英語以外の教科も高い生徒でなければ合格できないレベルとなっていて、なんの対策もしないで、1年留学をしても合格できるレベルの生徒は少ないということです。
私の近所でも、KIDS DUO やKIDS UP の送迎車を良く見かけます。5年後10年後の大学受験の状況を想像すると少し怖くなります。さらに英語力のハードルが上がるのは間違いないと思いますし、数学のレベルもそれに合わせて上がっていくということは容易に予想できます。
日本の数学の学び方と英語圏の学び方の違いを明確にして教える大切さ
今度は数学の授業のノートの一部です
英語の難しさは、日本語だと一つの単語で済ませられることが、英語だといくつもの意味に分けて理解しなければならないことです。
例としては、たぶん という単語がわかりやすく理解してくれると思います。
maybeやprobablyやperhapsやpossiblyやlikelyはみんなたぶんとかおそらくという意味ですよね。それをたぶんの確率によって単語を使い分けなければならないわけです。
今回の写真の場合は
Identity variables
Determine gradient.
Determine intercept.
Write equation.
となっていますが、
この中で、identityとgradientに関していつも生徒に伝えていることを書きますね。
両方とも公式。となります。
すごくわかりやすく説明すると
Formulaは三角形の面積の公式(面積=1/2 底辺×高さ)
A=1/2 b h ( area = 1/2 base x height)
Identityは a²−b²=(a-b)(a+b)
Formulaは日本語でも説明がつきます。一方、identityは日本語では説明できない式になります。
ですので、三平方の定理 a²+b²=c²はidentityのように見えて、formulaというと思います。というのは、斜辺の2乗は他の2辺の2乗の和と等しい。と言えるので。
また、2x+3=7 はidentityではなくて、方程式になります。方程式はequationと言います。
このあたりは多少混同しても問題ないと思います。問題を理解する上では理解が必要ですが、実際に問題を解く段階では関係なくなるからです。
傾きを表すslopeとgradientの違いは?
ややこしくなるのは、数学の問題でslopeを使ったり、gradientを使ったりと、いったいどっちなんですか?と感じる人は多いと思います。
面倒な解説では、slope or gradientとどっちでもいいよ。という説明の場合もあります。他にも、slopeは丘など実際のものに使って、gradientは数学などで使うとか、gradientはベクトルのように方向性があって、slopeはscalarとか、書いてあります。
結論としては
正直どうでもいいです。将来数学の学者になる人だけわかればいいです。問題を解く中でこれも大きな問題にはなりません。
こういうところが日本人にとっての英語の本当の難しいところです。
わからなかったらわかる人に聞けばいいわけです。
実際に生徒には、このように伝えています。そしてわからないことは、本当につまらないことでもいいので、聞くように伝えていますし、私としては、生徒が遠慮なく聞きやすい環境を作っていくことが大切だと思っています。
簡単な説明になってしまったのですが、これから海外留学を考えている家庭は、学習サポートも含めて高校留学を考えてほしいと思います。
将来の選択肢を減らさないためにも本当に大事なことだと多くの生徒と接してきて強く感じることです。