英語が得意になれば、自然と数学は苦手になる。理屈っぽい説明が数学アレルギーを生むことにコロロが痛みます。私の教えている対策法が参考になってくれれば。。。
英語は得意で学校の成績もいい。一方数学の成績は下降の一途をたどっている。もし、数学が克服できれば、理系の学部で学びいろんな研究をしたい。
数学が苦手になるポイントは英語が得意な生徒の場合躓く場所はだいたい同じです。。
方程式や因数分解はそれほど問題ないが不等式になるとボロボロになる。
証明問題のような論理的な説明を考えると頭がおかしくなる
グラフや図形の感覚がごちゃついてしまう。
実際にあった具体例を出して、どのように克服してきたか説明します。
まず、問題はこのような問題です。
A 90 L tank full of water begins to leak at a rate of 1.5 litres per hour. If V litres is the volume of water in the tank after t hours, complete the following.
A Write a rule for V in terms of t.
B Sketch a graph for 0 ⩽ t ⩽ 60, labelling the endpoints.
C Use your rule to find:
i the volume of water after 5 hours
ii the time taken to completely empty the tank.
訳すとこのようになります。
90リットルのタンク一杯にある水が、一時間当たり、1.5リットル漏れ始めました。t時間後のタンクの水の体積をVとして以下の問題を解いてください。
Vをtを使った方程式で表してください。
グラフを描いてください。tの範囲は0から60までです。
5時間後のタンクの体積はどのくらいですか。
タンクが空になるのは何時間後ですか。
ですので、生徒に、
アリス(仮名)、水が90リットルあるので、縦軸のグラフは1マス5リットルくらいにするといいよ。
と、伝えました。
そうしたら、このようなグラフを写真で送ってくれました。
90リットルは1マス5リットルにしたのですが、60時間は1マス1時間のままでやってしまいました。描いている途中でおかしいと気づかないのか?と思いますが。。。
英語できる女子がこのようなグラフを描いたり、変わった図形を描くことは見慣れているので、私はあまり驚きません。グラフの正常な描き方は、何度も描くことで覚えるのですが、その時に、ある程度数値を予測してグラフを描くことを教えます。
つまり、見やすいグラフを描くことも大切ですが、それは、その次の見やすさだけでなく、解きやすさを考えておくことはさらに大切だということです。
方程式や不等式を見たら、すぐにグラフを思い浮かべるように伝えています。これは、高校生の数学から必要なpredictionの能力を付けるためです。つまり先を見越して、問題を解いていくという手法です。
図形の場合は、非常にわかりやすい傾向が出ます。
このように、2つ以上のグラフが一緒に出てくるとパニックになる生徒が非常に多いわけです。
このグラフの三角形のグラフの面積を求めるような問題でも、頭の中が一つの図形に集中できないのでパニックになるわけです。
問題によっていろいろなパターンがありますが、一般的には新しいグラフを描いて、ストレスを無くす方法が最適で、この場合は台形にして、台形の面積を出して、求める三角形以外の三角形を引いて答えを出すのがいいと思います。
これも、将来の高校数学を見越した場合は、図形をどのような向きで描けば解きやすくなるのかなども考慮に入れて問題を解く。これも、predictionになるわけです。
実際にあった例で、青チャートのベクトルの問題です。
平行六面体ABCD-EFGHにおいて、辺AB,ADを2:1に内分する点をそれぞれP,Qとして、平行四辺形EFGHの対角線EGを1:2に内分する点をRとするとき、平行六面体の対角線AGは⊿PQRの重心Kを通ることを証明せよ。
このような問題の場合は、いかにわかりやすい立体図形を描くことができるのかが、問題を解くうえでも大切になります。
で、生徒はこのような図形を描きました。
よくわからないですね。
これは、問題を読むときに、ただ、文章を追いながら図形を描くとこのようになってしまい、問題を思い浮かべて描けば、下のような図形になるわけです。
実際はこのように描くのがいいわけで、特にベクトルなどでは常にグラフを描かせて、問題を解くために最適な図形を描くためにどのような点をポイントにして描くかを徹底させるわけです。
日本では、欧米の中学校、高校で、当たり前に使っている数学ソフトや、三角関数などの計算ができるソフトを使うことをしない。
図形やグラフの場合は、GEOGEBRAなどの数学ソフトを積極的に使って学ぶのも本当に大切で、どうして日本では、このような数学ソフトを使わないのか不思議で仕方がありません。
証明問題は、ポイントを押さえながら、全体を把握することの大切さを教えながら、伸ばしていく。
問題は
If x is odd, then x² is odd.
xが奇数であれば、x²も奇数である。
こんなのは、xに3と7を代入して、それぞれ、x²が9と49になるから、奇数だから問題ないでしょう。
と、気持ちは痛いほどわかります。ただ、数学の場合は、指定されたすべてに数に当てはまる証明をしなければならないので、その点も含めて生徒に伝えていくわけです。
証明はこのようになります。
Proof. Suppose x is odd.
Then x=2a+1 for some a Z, by definition of an odd number.
Thus x²= (2a+1)²=4a²+4a+1=2(2a²+2a)+1
So x²=2b+1 where b is the integer b=2a²+2a
Thus x²=2b+1 for an integer b.
Therefore x² is odd, by definition of an odd number.
ポイントになるところ、つまり徹底して教えるところは、
Suppose x is odd.
まず、xは奇数であるとします。
この表現は本当に大切です。
Then x=2a+1 for some a ∈ Z, by definition of an odd number.
この、x=2a+1 for some a ∈ Z,は、どうして読むかわからなかったり、文章の書き方も慣れる必要があります。 a is an element of Z. (aは整数)Zは整数として海外ではよくつかわれます。By definition of は ~の定義のような形で使います。
Thus x²= (2a+1)²=4a²+4a+1=2(2a²+2a)+1
ポイントは、common factorを2にすることで、2の倍数+1という式を作るので、必ず4で割れようが2にすることの大切さを伝えることが重要です。
So x²=2b+1 where b is the integer b=2a²+2a
そのうえで、かっこの中をさらに別の代数にして問題をわかりやすくする。
Thus x²=2b+1 for an integer b.
Therefore x² is odd, by definition of an odd number.
そして、仕上げます。
証明に関しては、問題を解くことも大事ですが、すべての条件に当てはまるために、どのような説明が不可欠かを伝えることが本当に大切です。
証明問題は文章がどうしても非常に堅くなります。
ですので、常にその堅さではなく、すべての状況で当てはまるために不可欠な説明は何であるのかを考えて証明問題を解くことも大切です。
ついでにおまけですが、日本の数学では最近行列を学ばなくなりましたが、海外ではほとんどの国が高校生で学びます。
実はこの行列、完全に海外の女子留学生の頭を悩ませています。
問題は解けるのですが、この意味不明な法則を目の当たりにして、頭が混乱する生徒が続出しています。
つまり、問題自体は、それほど難しい問題ではないのですが、好きになれない。つまり、わかりやすく言えば、工学部を志望する女子生徒は、理学部を志望する女子生徒の3分の1程度になる。という統計をわかりやすく証明している典型的な単元です。
このような掛け算も簡単な2x2などから始めて、急がないで解かせるのが本当に大切です。海外留学生にこの行列の問題を苦手にしないで入試に臨めるように理解させるが私の役割だと言っても言い過ぎではないような気がします。
簡単にいくつかの例を挙げて説明しましたが、
英語を習得する上で、すでに文法という、理屈の塊のようなテキストを敬遠して、日常生活の中で英語力を付けた生徒にとっては数学がすべて理屈の上に成り立っている教科だというのが英語が苦手になる原因の一つだと思います。
ただ、中学時代は苦労しますが、英語を学ぶ上で文章どっかり力を付けた生徒にとっては説明さえ理解できれば数学は十分に克服できることも、今教えている生徒や過去の生徒でも証明されています。
つまり日本の数学の数学道のようなものはどうしても合わない生徒は続出します。
x < 0 これってx小なり0と日本では読むそうですが、
小なりって何?
less than でいいでしょう。または、平仮名の く でいいでしょう?
こんな分けのわからない日本語で教えるから、理屈っぽい人しか数学で生き残れなくなるような気がします。
数学ができるようになれば視野が広がります。将来就きたい職業の選択肢も広がります。
現在文系の学部を志望している人の中で、数学ができないから文系しか選択肢がない。という生徒は多いと思います。
そのような人に数学が苦手なだけで夢を変えてもらいたくはない。
と、強く思います。