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「Dは知らないがXはできる」DXに心臓を捧げるJAPEXのリーダーの思い。堤建城さんインタビュー

JASPER note編集部の高瀬です。

JASPERに関わる人のルーツや考え方に迫る「Bricolageの先駆者たち。」というインタビュー企画をスタートします。

初回のゲストは石油資源開発株式会社(JAPEX)経営企画部副部長の堤 建城(つつみ たてき)さん。JAPEXのDX推進を統括している頼れるリーダーです。

そんな堤さんですが、DXをリードしながらも「どう考えても自分は適任者では無い・・・」というジレンマに苛まれていたとか。

そんな堤さんはDXに対してどんな気持ちでどのように向きあっているのでしょうか?今回は堤さんの本音と覚悟をじっくりお伺いしました。

石油資源開発株式会社 堤建城さんのプロフィール


DXをやりたいという志は持っていた


オンラインでのインタビュー風景<堤建城さん>

ーーDX推進を担当することになった経緯を教えてください。

最初にDXを意識したのは出向の経験です。米国企業に3年間出向し、最先端のDXに触れショックを受けるとともにささやかな志を持ちました。

帰国後、経営企画部に所属し、経営計画を策定する中でDXが気候変動と同じくらい重要な課題であると認識しました。

JAPEXでは非常にアナログな仕事をやっていて、社内システムも古く、みんなが苦労していることは明らかでしたが、人も経営資源もデジタルには配分されていませんでした。

そこで、DXを全社のムーブメントにしたく、自分なりに必死に勉強をしてDX基本方針を策定しました。具体的なDX施策を考える前段階の、何がJAPEXに足りていないかを明らかにしたものです。この資料を使って、DXをやるべきであると会社を説得しました。

それからDXに関する具体的な取組みを進めていく段階で、だれがDX推進チームのトップになるべきかは長い間周りと相談しました。

デジタルを知らない自分は適任では無いと思っていましたね。ただやっぱり、会社のことを知っている人でなければいけないと説得され、半分しぶしぶ引き受けました。

しばらくは「どう考えても自分は適任ではない・・・」というジレンマに苛まれながら仕事をしていました。


外の世界に触れたことでDXのイメージが変わった

ーー現在は「自分は適任者では無い」というジレンマとどのように向き合っているのですか?

最近、心境の変化があり半分は適任者かもと思うようになりました。

当初、自分が適任者では無いと思っていたのはデジタルを知らなかったからです。大学時代に現在のITパスポートにあたる資格をとっていたり、今の会社に入ってから先物価格の予想に挑戦したりしていたこともありますがデジタルについては門外漢だと思っています。

新聞記事を読むと、外国から専門家を呼びDX担当に据える企業の話が目につき、DXはデジタルの専門家が進めるものというイメージが先行していました。

しかし、外の世界に触れたことでそのイメージが変わったんです。DXのコンサルティングを受けたことはもちろん、JASPERのMeetup※¹を通して外部企業との情報交換をしたことが大きかったです。

エネルギー業界を中心に様々な企業とDX推進について情報交換をしたのですが、その過程で他社から上層部への具体的な提言や広範な関与について驚く声が上がりました。

私からすると彼らのほうがデータ分析のようにテクニカルなことをやっていてキラキラして見えていたのですが、経営課題を捉え、会社全体を巻き込んで変革していくということに対しては私たちも負けていないと思えたんです。

この経験を経て、デジタルは経営課題を解決するための手法の一つで、重要なことは「経営課題をどれくらい理解しているか」だということが肌感として分かりました。

JAPEXの経営課題を最も理解しているのは私なので、その意味で半分は適任者だと思えるようになりました。

※¹JASPER Meetupについてはこちらの記事をご覧ください
参考:JASPER Meetup#1〜EX異業種交流〜開催報告


DXという言葉を忘れろ

ーー昨年末には「心臓を捧げる※²」という発言もありましたね。どういう意図でしょうか?

先ほど話した通り、私は半分はDX推進の適任者ですが、もう半分は適任者では無いです。経営課題を見つける部分と走り出し、いわゆる火をつけるのは得意ですが、実際のシステムの構築に関しては適任者ではない。

システム構築が始まる前に経営課題を出し切るため尽力しています。そういう意図での発言です。

※²「心臓を捧げる」とは漫画「進撃の巨人」に登場する、心臓(命)を捧げる覚悟で困難に挑む決意を表す言葉です。


ーー実際にどんな動きに繋がっていますか?

現在、外部の支援が無い中でDXを始めようとしているプロジェクトがあります。課題を見つけ、対処の必要性を議論している途中です。

個別最適の課題解決ではなく、視野を広げて全体最適を実現できるよう推進しています。


ーーその中で見えてきたDXを推進するためのコツなどはありますか?

会社の利益を一番に考えるということですね。社員には個別の課題を解決したとしても、会社全体の利益に繋がらないと駄目だと理解してもらえるように心がけています。

私はDは知らないですが、Xはできます。デジタルの技術は分からないと割り切って、経営課題を明確にし共通認識を持たせることが私の考えるDX推進のコツですね。


ーー最後に、堤さんのように「自分は適任者では無い」と思っているDX推進担当の方々に向けてアドバイスをお願いします。

DXなんて言葉を一回忘れろと言いたいです。DXはあくまで経営改革です。まず何が課題かを考えること、社長になったつもりでどうすれば会社が良くなるかを考えることが大事だと思います。


さいごに


オンラインでのインタビュー風景<堤建城さん&フューチャーアーキテクト株式会社 高瀬陸さん(右上)&同社 髙部雄史さん(下)>

いかがでしたでしょうか。「自分は適任者では無いというジレンマ」をかかえながら、「DXに心臓を捧げている」堤さんはどんな思いでDXを進めているのかを知りたいという気持ちでお願いした取材でした。

私は「Dは知らないが、Xはできる」という言葉が非常に強く印象に残りました。DXを推進する立場の方々をエンパワーメントしてくれるお話だったと思います。

当日は、このほかにも外の世界に触れたことで、堤さん自身だけでなくチームも変わったというお話もいただきました。こちらについては別の記事で紹介したいと思いますのでお楽しみに!

以上、JASPER note編集部高瀬がお届けしました。


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本記事執筆|フューチャーアーキテクト株式会社 高瀬陸