SM嬢の自粛前と自粛後~性生活が180°変わりました!(Ⅳ)
【Ⅳ、SM好きは物持ち!?】
勤めていたSMクラブが緊急事態宣言に伴い存続の危機に陥ってから、4月に入り彼との入籍、引っ越しが数日の間に決まりました。
彼と同棲していた賃貸マンションは前の月に次の更新料を支払っていましたが、そちらも払い戻しと解約、私が所有している車を置いていた駐車場も手続きをし、ひと月後に退去することになりました。
接客の仕事ができない今、時間だけはたっぷりあります。
ぽっかりと空いた、空虚で胸が張り裂けそうな時間。
ひと月の間、引っ越し作業に没頭しました。
再婚同士で荷物の量が多い為、業者は頼まずに片付けながら自家用車での荷運びです。
引っ越し先までは片道20分程。荷物が入りきれないことを予想し国道沿いのコンテナルームを借りました。更には前妻が出ていったままの4LDKに新たに住めるように掃除や片付けをしなければならないこともあり、退去までの時間はあっという間でした。
それでもやはり、一人で作業をしている時にふと、一筋の涙がこぼれ落ちてくるのです。多くの御主人様と重ねてきたご調教の記憶、今後SMができなくなることへの不安。
渦巻く哀しみを掻き消すかのように毎日を過ごしました。
賃貸マンションの片付けが落ち着いてきた段階で、クラブの事務所に私物を取りに行きました。
ドアを開けた瞬間に立ち上がる埃や、大量のゴミ袋を目にした時の胸の苦しさは今でも忘れません。
ところどころヤニ焼けしている壁、年季の入ったロッカーや電話機は、女の子を大切にしてきた歴史を再確認させ、
処分の為に廊下に移動している数えきれない程のコスチュームや靴は、お客様と築き上げてきた老舗店の信頼を感じさせました。
鍵を空ける為に事務所に来てくれた店長は、連日の多忙さからやつれてはいるものの、既に次へのステップへ前進しているように表情が晴れやかでした。
荷物をまとめるには数時間を要し、車に運び終える頃にはリアガラスの視界を遮る程の量がありました。
その内3個は、ご調教の回数を連想させるかのように傷の入ったキャリーバッグ。
店長と互いに明日へのエールを交わしながら、数年間の想い出が詰まった事務所を後にしました。
茉莉伽
(続きは、次に掲載される『SM嬢の自粛前と自粛後~性生活が180℃変わりました!(Ⅴ)』の記事をご覧ください。)
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