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クオモ州知事はロックスターよ!Rosie Perez in Brooklyn

ブルックリンで行われた今日のクオモ氏の会見では、コメデイアンであり男優のクリスロックと女優のロージー・ペレスが呼ばれ、二人ともがマスク姿で登場し、会見中にマスクとソーシャルデイスタンスの重要性を訴えた。

この二人が登場したのには、もちろん理由がある。やはり、感染率が高いと言われている貧困層エリアも存在するブラックヒスパニックエリアへの呼びかけが目的だ。

今回、マスクやソーシャルデイスタンスのルール違反によって、多くの黒人やヒスパニックの逮捕が続いたことで、一部黒人層のデモや人種差別を訴える反乱の気配が出始めたので、やはりさすがにこのままではマズイと思ったのか、デブラシオ市長も強制逮捕ではなく、警察からの要請、及び、マスクのない人にはマスクを渡す、というマイルドな形を中心とした警告に方針を変えた。

確かにブラックヒスパニックの貧困層と言われるエリアでは、やはり、まだまだ無自覚の人も多いのは想像可能だ。ダウンタウンの普通の住宅エリアでさえ、マスクをしないで堂々と音楽をかけながら鼻歌を歌っていたり、公園で、Shit Government!などと言いながらぶつぶつ言っている人たちはやはり残念なことに黒人の人たちだったりする。

そもそも普段から貧困問題や、貧困の原因ともなり得る差別問題で抑圧されたりすることもある人種の人たちにとっては、この後に及んで目に見えないウイルス問題でそんなわけのわからない決まりごとでさらなる抑圧を受ける筋合いはない、と言った感覚なのかもしれない。

反対に、黒人の人たちの中でも、自分たちはルールを守っているという事を整然と訴えているグループもいるので、この辺りの問題は非常に微妙だ。

でも、今回この二人がクオモ氏の会見にやって来たのは、やはり、ブラックヒスパニックルーツである二人が本気でクオモ氏を支持し、訴えている姿を同じくブラックヒスパニックの人たちにも見せることで、みんなに少しでもこのウイルスと戦うための人種を越えた理解を求める気持ちからだと思う。

会見の中では、クリスロックのジョークにクオモ氏が本気で笑っていたり、かなり和やかな一シーンもあった。

そして、ブルックリン出身のロージーペレスは、”あなたはロックスターよ!とクオモ氏に言ってエールを送った。

ヒスパニックのブルックリンガールのロージーが、イタリアンアメリカンの知事に”ロックスター”の褒め言葉のエールを送る。なんてNYなんだろうと思った。

ロージーを女優として最初に発掘したのは、同じくブルックリン育ちの鬼才フィルムメーカーのスパイクリーだ。スパイクリーの初期代表作である1989年に発表された「Do The Right Thing」に出てくるチャキチャキのブルックリンっ子のロージーの新鮮な魅力溢れる演技は今でも頭に焼きついて忘れられない。(個人的には大好きなジムジャームッシュの映画に出ているのも気に入っている)

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この映画は、人種の問題っていうのがちょっとした火種から大きくなるんだってこと、多人種の入り混じる街では、みんなが心の底で感じながらも表には出せない他の人種に対するいろいろな気持ちや思惑がある日突然爆発してしまうこともある、っていうのをスパイクリー独自の人間ドラマを織り交ぜたテイストで仕上げた名作で、最初にこの映画をみた時には、本当に色々と考えさせられた。

そんなブルックリンを代表するアイコンスターとも言えるロージーが、今日はみんなの為に、みんなの命を守る為に本気でマスクをしよう、お店の人だってそれで安心できるんだよ、って本気で訴える姿はかなり感動的だった。

会見の最後に、握手やハグができない二人は、クオモ知事を中心にマスク姿で肘と肘を軽くぶつけて”Thank You!"の挨拶をしあっていた。いかにもニューヨーカーな素敵な光景だ。

そんなわけで、今日の会見が少しでもブラックヒスパニックエリアの人たちだけでなく、全ての人種の人々の心に響き、彼らの行動がより良い方向に変わっていくことを願ってやまない。








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