日本と欧米のファッション感覚の違い その2
女性のファッションはその国の男女関係の文化的背景そのもの
さて、前回に引き続き、ファッションをテーマにした話題の続きなんだけど、今回は女性のファッションについて。
前回の記事はこちら。
まず、ファッションはそれぞれの国の文化を表す部分がすごく大きいっていうのは私が常日頃から体感してるところだ。
だから、そうやって見ていくと、様々な文化的な背景や歴史なんかも見えてきて、その国の状況や男女の価値観なんかもわかって来る事も少なくない。
日本人の女性のファッションは「かわいい」ことがスタンダード
で、女性のファッションに関して言えば、日本とアメリカの決定的な違いは、やはり「かわいい」という部分に対する取り扱いの違いだ。
これは、歴史的文化的な背景や、女性に対して一般にみんなが望んでいるイメージとも通じているものがあると思うんだけど、日本ではとにかく一般的にはこの「かわいい」が求められる傾向が強いような気がする。
要約すると、「女らしい」の概念の中の多くの割合が、この「かわいい」要素が占めているんじゃないかな。
だから、自ずと女子たちが選択する洋服も、この「かわいい」または、「可愛く見られたい」と言う水準で選ばれたりすることも少なくない。(そのせいか、日本の洋服も大体身長158センチ前後ぐらいのどちらかと言うとやや小柄な女子を標準に作られているものが多いような気がする。)
日本人女子の「ふんわり」ファッション
そして多くの日本人が考える「かわいい」っていうのは、恐らく欧米人とはややズレていて、あくまでも純粋で清楚な女の子らしさをどこかしら追求しているみたいなのが根底に流れている価値観のように思える。(つまり根幹が大和撫子みたいな。)
だから、その「かわいい」の感覚と同時に存在するのが「ふんわり」した着こなしなんじゃないかと思う。
私の個人的な印象で言うと、日本人女性は結構「ふんわり」した印象の着こなしが好きな人が多いのではないかと言う気がしている。
「ふんわり」していて「やわらかく」て「かわいい」感じ、みたいなのが好きな人が男女共に全体的には多いように感じる。
着こなしの雰囲気も、細部にはこだわるけど、どちらかというと色数は少なくて地味目、だから全体で見ると結構コンサバな場合も多い。
そう言うのが多くの日本人が考える”フェミニンな要素”ってことになる。
欧米で女性のファッションに求められるのは”下品じゃないセクシーさ”
それに比べて欧米諸国は、まず、女性のファッションに求める女らしさって、「エレガント」+「セクシー」なんだよね。
つまり、”下品じゃないセクシーさ” 、これが欧米の原点じゃないかな。
例えて言うならば、これは完全な成功例だけど、トランプ大統領夫人のメラニアさんなんかの着こなしは、素敵な大人の女性の代表として、みんなに常に一目置かれているように感じる。
そう言う意味では、「かわいい」よりも「大人の女性」というイメージに魅力を感じる男性が少なくないように思う。(近年の日本のアニメブームどっぷりのZ世代とかは、もしかしてもう少し違って来てるかもしれないけど。)
だから、欧米の「かわいい」は、どちらかと言うと「大人の女性」であることをまずはクリアした後に、そこから漏れ出てくる意外性みたいな要素になるんじゃないかな。
普段は思い切りカジュアルにドレスダウンする「大人の女性」たち
そして、彼らは何と言っても「大人の女性」のお遊び”には寛容だ。
少し派手めでボーイッシュな女性のアメリカンカジュアルがいくつになっても流行っているのは、そんな要因の一つだと思う。(実際にアメリカンカジュアルの人気店に来ている人たちは、見るからに50代から60代以上にしか見えないという人たちも結構いたりする)
もちろん、こういう背景はアメリカやイギリスとかだとロックカルチャーとかとも関係してるのかもしれないけど、ジーンズはやっぱりアメリカ人にとっては定番アイテムだ。
ちなみに、ジーンズを専門的に売っているカジュアル系のお店に行くと、必ず「Boy Friend」というシリーズのややゆったりとしたデニムのジーンズのシリーズがある。
これは、日本だともしかしてGAPなんかでも見ることがあるかもしれないけど、要するにBoy Friendの服を借りて着てみました、みたいなコンセプトで、ややゆるい感じの、まるで男の子が履くような中性的なボトムのラインが特徴的で、履き心地の良さもあってか意外に定番の人気がある。
カジュアルとドレスアップのオンオフの切り替えが極端なアメリカ
そして、普段はそういうカジュアルな出で立ちの女性たちが、いざって言う時に思い切りエレガントセクシーにドレスアップして変身する、って言うのがアメリカのある意味でのスタンダードのような気がする。
だから、普段は完全にアメカジでヨレヨレのTシャツと破れたショートパンツを履いてるみたいな高校生の子たちが、ハイスクールのプロム(卒業パーテイー)になると、いきなり男子はタキシードや大人スーツ、女子は胸元が開いたロングドレスと派手なアクセサリーで、お互いにエスコートしたりされたりで大人っぷりを見せつけてくれたりする。
そこら辺は、高校性は3年間地味な制服一択カルチャーの日本からはとても想像できないだろう。
と、話が少し脱線してしまったけど、要するに欧米では女性のファッションは、オンオフがすごくはっきりしているってことなんだと思う。
だから、日本みたいに普段から目一杯小綺麗にして、清楚な感じにオシャレして決め込んでいる、と言う風潮はここにはない。
女性のカジュアルファッションにオープンな欧米男性
そして、一番良い点は、男性たちが、女性がカジュアルにドレスダウンしている事に対して、全くマイナスなイメージを持っていないところだ。
だから、どんなに男の子みたいな格好をしていても、そこは別腹で、ちゃんと女性として見てくれるし、取り扱ってくれる。
そして時により、その男の子みたいな思い切りドレスダウンなカジュアルコーデを褒めてもらえたりすることさえある。(余談だけど、以前たまたま寒いから漁師のおじさんたちが普通に着ているような、どうみてもおっさんテイストなフィッシャーマンズコートみたいなのを着て、分厚い帽子にマフラーぐるぐる巻きでスニーカーで歩いていただけなのに、そんな出で立ちでナンパされた事すらあるぐらい。笑笑。)
そこらへんは、決定的に日本とは違うところだと思う。
外見の「女子力」に厳し過ぎる日本
やっぱり日本は「女子力」って言葉が生まれるぐらいに、女性の外見やファッション、メイクなんかに対する批判の目が同性異性問わずとても厳しい。
そうなると、表面的な女性らしさを常にちゃんと作っていなければ、男性からも女性として扱われにくくなったり、恋愛の対象からも最初から外されてしまったりするような事も少なくない気がする。(だから、好き嫌いよりも、男性受けするファッションをする事が、多くの女子たちにとって一番大事な目標みたいになってしまっているのかもしれないけど。。)
でも、それは世界的に見るとある意味とても閉鎖的で特殊な状況だと思う。
その意味では、周りが要求する外見の「女子力」の為に、毎日ものすごくエネルギーや時間を割かなければいけなくなってしまっている多くの日本人女子も、価値観が違う他の国の様子を見れば、自分が本当に好きなオシャレって何だったんだろう、もっと言えば、自分が本当に好きだったライフスタイルってどんなだったんだろうってもう一度考え直すキッカケには少なくともなるかもしれない。
ちなみに、私の過去記事で、日本人の外見至上主義について書いたのがあるので、良かったらそれも参考にしてみて。