最後は人間性
毎日クオモ氏の会見を見ていて思うのは、彼は常にヒューマニティーということを軸にして物を言っているところは変わらないと言うことだ。人間とは何か、本来はどうあるべきかというスタンスをなにがあっても守りたいという彼の哲学は一貫している。
今朝の会見でクオモ氏は、窮地に陥った時、人は普段のパーソナリテイーが崩壊してしまいがちになるものだという話をした。そういう時には人間の本質が分かる。今のNYでは、みんなが強くあらねばと言う気持ちと、感情的な弱さとの間で揺れ動いているに違いないと。そして、会見の最初にある手紙を読み上げた。
それは、カンザス州の70代の農夫の男性からの手紙だった。彼は同じく70代の奥さんがいる。彼女は糖尿病や生活習慣病があり、心配ではあるけれども、自分たちは運良く家族4人分を含むの5つのN95マスクを手に入れることができた。そして、今の所、農家の仕事以外に特別な用事はない。なので、この5つのマスクのうちの一つをNYのヘルスワーカーの為に使って欲しいと言う手紙を書いて、クオモの所にN95のマスクと共に送ってきたというのだ。
この話には思わず泣いてしまった。田舎で慎ましやかに暮らしているアメリカの70代の農夫の人が、NYのヘルスワーカーがマスクが足りなくて苦しんでいるニュースを見て心を痛め、5つしかないマスクのうちの家族の分を引いて残った最後の一つをわざわざクオモ氏のところに送ってきてくれたのだとクオモ氏はみんなに力説し、世の中にはこんなにも美しい心を持った人間もいるのだと、N95のマスクを大切そうに見せながら説明した。だからみんなもこれを教訓にして頑張って欲しいと。
クオモ氏のこういったニュヨーカーへのメッセージの届け方は、やはり、ヒューマニテイを大切にするカソリックのイタリアンアメリカンの宗教心を感じさせる。
そして、こういうきれいな心を持った人たちの存在こそが、今のアメリカのみならず、世界を助けていくはずだと心の底で思った人は少なくないだろう。今回の出来事で、お金を多く稼いだ人が勝ち組と考えられる時代から、心が豊かな人が幸せになれる時代への移行が始まる未来はそんなに遠くないはずだと今はただ願いたい。
すべての戦うヘルスワーカーへ、今日はこの曲を送ります。