スイーツな日々 in NY
今日は近年NYで人気のペストリーやスイーツを売っているフレンチベイカリー(カフェスペースも小さく併設)などにまつわる話を書いてみようと思う。
私が最初にNYに語学留学した時期、というのは、日本(東京)ではフレンチカフェブームがほぼ定着していたような状態だった記憶がある。
当時はまだOlive少女の時代の余波で、フランスやヨーロッパの庶民的で可愛い雑貨などを含むアンテイークインテリアなどが流行っていた頃だったので、銀のトレーを持った制服のウエイターの人たちが、籐の椅子のテラス席で飲み物をサーブするみたいなパリっぽいカフェスタイルよりも、海外の普段着なライフスタイルを意識した気取らないナチュラル系でオシャレな雰囲気のカフェの方が人気だった。
そして、その手のフレンチカフェ(もしくはヨーロッパ風のカフェやテイールームなど)の多くは、スイーツやペストリーなどが店内でも同時に売られていて、人気店は、それ以外にも雑貨のオリジナルアイテムなどの取り扱いなどもあった。
当時の代表的なお店で言うと、東京だと自由が丘に本店があったAfternoon Teaとか、かつて広尾にあったF.O.B Coopみたいなタイプのお店がそういったブームの火付け役だったのかもしれない。
*参考までに、今はなき広尾のF.O.B Coopの雑貨やインテリアを紹介したページをアタッチします。
そんなわけで、渡米前は、私もその手のオシャレ雑貨などを扱うフレンチカフェはお気に入りの生活アイテムの一つだったので、最初にNYに来た時は、美味しいスイーツがあるフレンチカフェや、アフタヌーンテイーが楽しめるようなテイールームの存在は、一体この街だとどこにあるんだろうかと結構街を彷徨って探してみたりもした。
しかし、どんなに街中を歩いても、そんなものはどこにもなかった。(汗)
ここではケーキを扱うメインのカフェは、アメリカナイズされたイタリアンカフェが中心で、そのケーキはというと、2回以上に分けて食べなければいけないぐらいの大きくて甘すぎる巨大なスイーツの塊で、デリなどで売られているのもその手のケーキだった。。
そして、コーヒーはまだしも、紅茶に至ってはどのお店でも、お湯だけが入った分厚いマグの横にテイーバッグが添えられて出てくる。(紅茶好きの人にとっては、これはそれなりに衝撃を受けると思う)
この感じは、イタリアンカフェだけでなく、アメリカンダイナーなどでも同じだった。つまり、甘すぎる巨大なケーキと大雑把な感じで出てくるコーヒーや紅茶というのがこの街でのカフェタイムのスタンダードだったのだ。
この状況は、当時日本のオシャレなカフェブームにハマってしまっていた私には、かなりショッキングだった。
*参考までに、かのオバマ氏も大好きだったというブルックリンのチーズケーキの老舗Junior'sのキャロットケーキとチーズケーキの合体したチーズケーキ。これを見てもらえたら、ボリューム感が伝わるかと思います。(要するに、普通の大き目のチーズケーキの上下をキャロットケーキで挟んでいるというサイズがスタンダードってことです。)
そして、その頃は、まだネットの情報も今のようには幅広く網羅されてはいなかったので、散々街を歩き回った結果、私は何とか奇跡的に一軒だけダウンタウンのSohoにあったフレンチカフェをやっとの思いで発見した。
だから、このお店を見つけた時は、さすがにOh My God!と慣れない英語で声を出して叫びたいいぐらいの気持ちになった。
お店に入ってすぐの陳列棚には、小ぶりで品のいいスイーツが綺麗に並べられていて、奥にはカフェもあったし、普通に美味しいカフェオーレも飲めた。
これこそ私が当時のNYで発見した唯一の普通のフレンチカフェだった。
そして、そのお店はコロナの後は場所を移動したものの、今ではNJにも二号店ができている。
こういう古いお店がコロナの影響で潰れないで残ってくれていることは、カフェ好きの私には本当にありがたいし嬉しい。
そして、現在に話を戻すと、もともと地価高騰の煽りを受けて、利益律の低いカフェは低迷モードだったにも関わらず、そこに上乗せするかのようにコロナの影響でいくつものカフェが潰れた。
その後は、その穴を埋めるかのように、シャッターが閉まってしまった場所に新しいお店ができ出したここ1年半ぐらいの間に、どう考えても激増したとも思えるのが、カフェを併設したフレンチベイカリーの存在だ。
先に書いたように、以前のNYでは、フレンチベイカリー付きのカフェやオシャレなテイールームを探すのは至難の技だった。
しかも、美味しいペストリーのあるパン屋さんを探すのもかなりむづかしく、ハッキリ言って、イタリアンデリのクロワッサンは、いつも湿った感じでやや形崩れしているのにサイズだけは大きく、とても日本人には美味しく食べられるような代物ではなかったし、スーパーで売られている食パンも、枚数は多いけど、正直かなり味気ないものだった。
その水準から考えると、今のNY市エリアのペストリーのレベルはものすごく上がっているし、そういったパン屋さんが入っているカフェは、いつもとても混み合っていて、週末は長蛇の列だったりもする。
先の記事内にも少し書いたコーヒーサードウエイブの店なども、ペストリー系にはかなりこだわっているように思える。
https://note.com/jasminflower/n/n71da947713ee
そんなわけで、この街でもアメリカ人の食に対する認識は随分と以前とは違うものになりつつある。
もう、昔ながらの粉っぽくてある意味懐かしい味のワンダーブレッドのようなパンは、みんなの興味を惹かなくなってしまった。
とはいえ、この60年代アメリカを思わせるWONDER Breadのキッチュなデザインは、私は今でも大好きだ。だから、最初にアメリカに来た時は、味はともかく、このデザインが好きという理由だけでこのパンを選んで買っていたりもした。
だから、こんな風にオシャレで美味しいフレンチベイカリーが増えつつある昨今のNYでも、もしかすると昭和を懐かしむ日本人のように、昔ながらのパンの味を今だにどこかで恋しいと思っている人たちもいるかもしれない。
てことで、今日の一曲は、古き良き60年代アメリカのNewbeatsというナッシュビル出身の3人組の可愛らしいヒット曲「Bread And Butter」をそんな人たちにも向けて送ります。