マッキンゼーの女性リーダー育成プログラムに参加した感想
マッキンゼーの女性リーダー育成プログラムに参加した経緯
先日とても幸運なことにマッキンゼーの女性リーダー育成プログラムに選ばれ、参加させていただいた。
何千人のうちの200人の一人だったらしい。アジアパシフィックで開催されたものに参加した。履歴書とカバーレターとゲームみたいなテストを受け、参加資格を得たのだが、かなり多く思うことがあったのでせっかくなので書きたい。
先に言っておくと、(反感を買いそうだが)私はこういう「女性」イベントは好きではない。「働く女性!」「強い女性!」「キャリアウーマン!!!」みたいなノリがどうも好きではないのだ。
というか、女性の権利!!、女性エンパワーメント!、女性限定イベントなんてやってるのに、男性は「男性パワー―――!」なんてイベントないよね。というかやってたら「なんで女性は参加できないんだ」とか言われてしまいそうなこんな世の中が私には違和感だらけなのだ。
はっきり言ってしまうと、「私が女だから真剣に話を聞いてくれなかった!男性だと違うのに!!」なんて言っている人の話を聞くと、
「え、どんなしょぼいプレゼンしたの?」と思ってしまう。
まあ、そんなタイプなのだ。
だから、女性限定イベントなんて参加しないし、参加しても周りと意見が合わなさ過ぎて、もしも発言なんてするものなら、「あなたはフェミニストじゃないの?!」「反女性じゃん!!」なんて言われそうでびくびくしているのだ。
さて、ではなんで今回は参加したのか。。
まあ、正直に言おう。天下のマッキンゼーさまさま、女性であるというだけで、マッキンゼーの中の人と触れ合える機会があるのであれば参加させていただこう、、、というぶっちゃけピュアに下心だ。
ピュアに下心で参加したのだが、認めたくはないが本当に参加してよかったとイベントが終了して思っている。
※ちなみに、回し者でも何でもない。なんならいいイベントだったと認めるのはなんだか負けた気がして悔しいぐらいだ。
2つの気づき
というのも、このイベント、私にとっては大きく2点いいこと、気づきがあった。
1つ目は「あ、意外と自分ってできる人なのかもしれない、やっていけるかもしれない」
と思えたこと。
2つ目は「本当に男女平等な社会作るためにも世の中を引っ張っていくいろんなタイプの女性たちを知っておくのはいいこと」
と思ったことだ。
気づき①「あ、意外と自分ってできる人なのかもしれない、やっていけるかもしれない」 ~自分の可能性を知る~
1つ目に関しては、私は正直今この瞬間も自分にあまり自信がない。大学に入ったり、就職したり、会社で結構周りから良い評価をいただけたりして、毎回本当に驚いている。
え、私って役に立ってるの?え、賢いって言った?え、もしかして本当に将来マネージャーになれそう?、、、え、なんか倍率ものすごいイベント受かっちゃった、、?
というように、本当に正直、自分にそれほど期待していないし、どちらかというと期待できていないのかもしれない。
自分が意図せずどんどん前に、上に進んでいくのに、自分の気持ちはついていけないのだ。
なんでなのか、その理由はマッキンゼーでの気づき2つ目の後に話したい。
気づき②「本当に男女平等な社会作るためにも世の中を引っ張っていくいろんなタイプの女性たちを知っておくのはいいこと」 ~激おこ女性陣と自分~
2つ目の気づきだが、
「本当に男女平等な社会作るためにも世の中を引っ張っていくいろんなタイプの女性たちを知っておくのはいいこと」だ。
どういうことかというと、今回参加したイベント、正直自分の予想していたような女性の権利!!!働く女性イェイ!、とテンション高めで激おこのお姉さま方がたくさんいらっしゃった。
ただ、マッキンゼー側は違った。とても印象的だったのは、ほとんどすべての社員の方々が、「これは女性向けのイベントで、女性のリーダーシップのためのイベントではあるものの、男性でも女性でもリーダーシップもその他いろいろ同じことよ」と繰り返し言っていたことだ。
パートタイムで働く制度は女性の産後明けの方などが少しずつ働けるように始まったものかもしれないけど、男性でも女性でも、結婚していようといまいと、子供がいようといまいと、その制度は使える。
女性と男性の間で働く上で格差があったから始まった制度かもしれないが、女性のためだけのものではない。
大切なのは、女性の権利!LGBTQの権利、など個々の人種、性別にそれぞれ権利を保証していくことではない。
そうではなくて、誰もがそれぞれの価値観、生き方、信条のもと、働き方を選べる職場であること、母親だから、LGBTQだから、、、とその枠で差別されない職場、社会を作ることが大切なのだと。
だから、私たちは女性のリーダーシップが今は「現状として」まだ男性よりも発揮されていない状況があるから、その問題に取り組んでいると。
私は正直いい意味で驚いた。こんなことをいう女性イベントなんて初めてだった。
女性を強くするのが目的ではない。たまたま女性が社会で活躍しにくい世の中になってしまっているから、女性のイベントがあるだけで、たどり着きたいゴールは「女性最高!!!」ではなく、「平等な社会」、「誰もが欲したものを同じ条件で得られる社会」なのだ。
まあ盛り上がりすぎるのもよくない。
とにかく、マッキンゼーはやっぱり違うな、と思ったのもつかの間。イベントに参加した女性たちは激おこであった。
例を挙げるときりがないが、その中の一つを上げる。
様々なディスカッションの中で、「女性だから」何か不利益を被ったことはあるか、という話が出た際のことだ。
一人の女性がアソシエイト(自分(女性))とシニア・アソシエイト(男性)でクライアントの前でプレゼンをしたことがあったのこと。
彼女曰く、自分とシニアアソシエイト、それぞれがプレゼンをした後にフィードバックをもらったそうなのだが、「私には建設的なコメントをもらえたように感じなかった。彼(シニアアソシエイト)の方はいろいろ言ってもらえてた。」と。彼女曰く、「私が女性だからなめられていた」と。
私がどう思ったかはまずまず、置いといて、激おこの女性たちの反応だ。
ZOOMのチャット欄は大荒れ。
「ひどい」「なんなのじじいたち」「やっぱり女性だとそう見られたりするよね。。」などなど。
...私は唖然とした。
なぜなら、皆、この状況を冷静に見ていないからだ。
いや、冷静になろう。
まず、この話をした彼女はアソシエイト、男性はシニアアソシエイトだ。
コンサルレベルが彼女のほうが一つ下なのである。
次に、普通に「コメントするほどの価値のあるプレゼンじゃなかったんじゃない...?」
いや、なんで女性だから、、、ってそこからつながるの??
と本当に申し訳ないがただただあきれてしまった。
確かに、もしかしたら女性だからっていうことがまじめに男性クライアントの方々が話を聞いてフィードバックをくれなかった理由の一因ではあるかもしれない。
確かにバイアスはあるだろう。
ただ、そのあるであろうバイアスにすべての責任を擦り付けても問題って解決しなくない?
私たちがやりたいのって怒ることだっけ???
と思うのだ。
まあ他にもいろいろ思うことはあるのだが、2つ目の気づきに戻る。
「本当に男女平等な社会作るためにも世の中を引っ張っていくいろんなタイプの女性たちを知っておくのはいいこと」だ。
ということだが、このイベントに参加していた女性たちは何千人もの応募者の中から選ばれたリーダーたちなのである。
そのリーダーたちが感情のコントロールが効かず、状況を冷静に見られていないのである。
私の気づきは、「こういう女性の割合がリーダーたちの中には高いということを知れたこと」そして「怒ることが正義だとただただ思い込んでいる人たちが思った以上に多くいるということ」だ。
私は初めてきちんと女性をとりまく状況を直視した。予想以上に激おこな女性陣が集結していた。だからこそ、なおさら参加してよかったと思い、私はこういうイベントにもっと積極的に参加しなくてはと思ったのだ。
女性の「ロールモデル」と自信
というのも、気づきの1つ目に最後にまた戻る。
「あ、意外と自分ってできる人なのかもしれない、やっていけるかもしれない」だ。
私は自分がやっていける、成功して世界中で好きに働ける、なんて思ったこともなかったし、そんな自分を想像したこともなかった。
というより、想像できなかったのだ。
ここでやはりもしかしたら自分が「女性」であるということがこのことに関連しているのかもしれないと認めざるを得ない。
というのも、私の周りには専業主婦ばかり、働いていても「あ、一応働いてます。かえってご飯作らなきゃ」と、あまりキャリアを男性と何も変わらず築いている人たちが少なかったのである。
だから(それだけではもちろんないが)なんとなく、自分がキャリア面で普通に成功して、なんなら男性よりもめちゃめちゃ稼ぐことになるとは夢にも思えなかったのだ。
男性には当たり前にいる「ロールモデル」がどうしても女性にはまだまだ少ないのが現状なのだ。
だから、確かに私は自分の可能性を知ることなんてできなかったのである。
私がこのイベントでマッキンゼーで当たり前のようにばりばり働く社員の女性の方々を見て、あ、自分にもできるかもと思えたように、私も誰かに自分の可能性を知るきっかけを与えられるかの知れない。
そう思ったのだ。
だから、今後も女性のロールモデルが当たり前に存在して、男性も女性もビジネスで誰も意識しなくなるまでは私はこういった女性イベントに参加したいと思ったのだ。
ゴールってなんだっけ?「平等な社会」を目指して
それと、最後に私がじゃあこういうイベントで果たせる役割とは何かを考えた。
私は激おこタイプの人間ではない。というのもいちいち失礼な言動や、ちょっと気になることを言われたぐらいで反応すると疲れてしまうからだ。
例えば、よくあるシナリオが下記だ。
20人ぐらいのミーティング、司会、ファシリテートは私。(20代女性下っ端だけど、英語みんなわからん+私の上司が最高な方なのでプレゼン等任せてくれる)で、第一回目等、ZOOMでカメラをオンにする。
はい、女性はもちろん私一人。
なー-んてのはいつものこと。
おじさんたちが少し動揺しているのが画面越しでもわかる。
ただ、別にだからなにかあるわけではない。確かに「大丈夫かこの小娘??」なんて思っている方もいるかもしれない。
ただ、そんなのでむっとしてもミーティングは終わらないのだ。
まあ、結論から言おう。
1回目のミーティングが終えると、2回目以降、誰も私が若いこと、女性であることなんて覚えていない。
「今日もよろしくお願いします」「頼みます」といわれるだけだ。
人は慣れていないものに対してはどうしても反応してしまう。その反応にいちいち反応していると相手は「あ、あの面倒な女の子だ、また反女性とか言われる、、、」と
「女性」ではなく「ビジネスパーソン」として見てほしいのに、自ら「私は女性です!!!意識しろ!」とアピールしに行っているようなもんだ。
ただ、それじゃ世の中は変わらない。バイアスは残り続けるという方たちがいよう。
私も同意だ。だからミーティングを何回か重ね、信頼を得たころで、「そういえばあのときこんなことおっしゃってましたけど~まずいでですよ、あれは。」「男女変わらないじゃないですか、現に」なんてさらっと一言いう。
それだけで十分なのである。
少なくとも私にはそれが一番効果的で長い目で見て女性も男性も関係ない平等な社会の形成につながると思うのだ。
話を戻そう。私の女性イベントでの役割は、激おこ族以外の存在を知ってもらうこと。同じ、「平等な社会」の形成というゴールを持つ仲間であるが、違うアプローチの人もいることを知ってもらうこと。
私が激おこ族の存在を知れたように、いろんなタイプの人たちがお互いのことを知り、お互いに理解しあおうとし、対話をする。その対話からゴールへの最適なルートを一緒に見つけ、たどっていければいいのだと私は思う。
長くなったが、本当に素敵なイベントに参加させてくださったマッキンゼーには感謝しかない。
下心で参加してしまったが、本当に多くのことに気が付き、学ばせていただいた。
ありがとうございました。