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飾窓の女 (1944) 米

フリッツ・ラング監督

私はまったく 知らない映画を観るとき
推理もの以外はほとんどの場合 あらすじをざっと読んで
面白そうだな、と確認してから観ます。

ちょっと変わっているのかも 知れないけれど
だって観終わってから つまらなかったな、なんて
思うのが嫌なの。

でもこの映画は
サスペンスの巨匠・フリッツ・ラング監督の作品ということで
まっさらな状態で観ましたが それで大正解。

3回観ていますが 初めて観たときは
この結末に え、ええーっ!と驚きました。

1年くらい間をあけて観た 2回目も、3回目も
やっぱり凄い結末だと 感動しました。

しかしこの映画は
オチをばらすどころか、匂わせても
面白さは一気に すべて消滅する、それほどの作品。

ネタばらしのジャスミン (←私よ)でも
今回は拷問にかけられても 口を割りませんぜ。

          〇
ある日
犯罪学者の助教授・ウォンリー (エドワード・G・ロビンソン)は
妻と二人の子供を ヴァカンス旅行に送り出し

独り身の自由にほっとして
いつもの倶楽部へ 出かけて行く。

この倶楽部は ある程度の地位の人達だけの
会員制の上品な 俱楽部である。

倶楽部に入る前に ウォンリーは
必ず隣りの画廊の 飾り窓の絵を眺めるのが習慣だった。
その絵は 美しい女性の肖像である。

さて、倶楽部では 古くからの友人
検事・フランクと 医学博士のマイケルと一緒になり
お喋りと お酒を愉しみますが

少々深酒をしてしまったウォンリーは
二人を先に帰し ひとり俱楽部に残った。

しばらくして
その帰路、またまた 飾り窓の肖像画に見とれていると
ウォンリーの前に その絵の美女が現れ
一緒に飲みにいかない、と誘ってきた。

えっ、と驚いていると 美女はアリスと名乗った。

ふたりは近くのバーで 軽く飲んだあと
アリスのアパートに行き
共通の趣味である 絵画を見てくつろいだ。

勿論、ウォンリーには はじめから下心なんてない。

しかしそこに突然、彼女に恋心を抱く男が現れ
いきなり格闘となり
首を絞められ 殺されかけたウォンリーは
咄嗟にアリスから 手渡されたハサミで男を殺害してしまう。

勿論、正当防衛であるが 誰が信じてくれるだろう。

こつこつと築き上げて来た
現在の地位も家庭も 一挙に崩れ去るだろう。

怯えたふたりは 相談した結果
ウォンリーは 人目のつかぬ遠い森に 遺体を破棄して
証拠を隠滅してしまおうと 計画するが

こういうことに慣れてない? ウォンリーの雑な行動に
やがてすぐに 遺体は発見されてしまう。

すると驚いたことに 遺体の男の正体は
実は、経済界の大物・クロード・マザードであり
事件はニュースで大々的に取り上げられ 大騒ぎになる。

しかもその捜査の担当は 友人の検事・フランクであり
彼は、犯罪学の専門家である ウォンリーに助言を求め

協力者として 遺体遺棄現場の森へ 
現場検証に同行させられてしまう。

何も知らないフランクから 意見を求められ
つい、犯人しか知りえないようなことを
口走りそうになったり・・・
ほぼ、ノイローゼになりかけてる ウォンリー。

そのうえ、この事件の真相をすべて知っているという
殺されたマザードの ボディガードをしていた男から
ウォンリーとアリスは 5000ドルを要求され

ウォンリーは 自分に処方された劇薬を使い
男を毒殺する計画を思いつき アリスに実行させるが失敗。
男は更なる口止め料を要求してきた。

もう終わりだ!
絶望したウォンリーは 劇薬を過剰に摂取し
意識は次第に 遠のいていった・・・

          〇

フランスの映画雑誌では 本作品が
『マルタの鷹』『ローラ殺人事件』などと並んで
その分野の作品として紹介されたのが
犯罪映画を意味する「フィルム・ノワール」の
語のはじまりとされているそうです。

また、
幻想的とも言えるミステリーで
ミステリー映画の最高ランクと位置付けられています。

とにかく
これ、やられちゃったら、もう、誰にもマネ出来ない!











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