生きていた男 (1958) 英

マイケル・アンダーソン監督

アンダーソン監督は
『80日間世界一周』を撮った監督さんですが
この作品はまったく違う趣きの サスペンス・ドラマ。

B級映画だと思って観てたら
まあ、とっても 面白かったんですよ。
騙されましたわ。

映画のおしまいに 知らないおじさんが出てきて
「映画の結末は決して口外しないで下さい」と 釘をさします。

この偉そうな人は誰かと思ったら サイレント映画で活躍した　
ダグラス・フェア・バンクスという 大スターの息子さんで
この映画のプロデューサーだそうです。

という訳で今回は ネタばれ無し。

　　　　　　　　　　〇

南アフリカで
ダイヤモンドの発掘・加工で富を築いた
大会社の社長が自殺し

その娘の キム・プレスコット (アン・バクスター)が
父親所有の スペインの別荘にやって来た。

キムにはウォードという 兄がいたが
その兄も一年前、
運転していた車ごと 崖から落ちて死亡した。

今は親しくしている近縁者といえば
この近くに住む 叔父だけである。

ある夜 突然、屋敷に
見知らぬ男 (リチャード・トッド)が現れ
キムに親しげに話しかけ 自分は兄のウォードだと言う。

勿論、そんなはずはない。

兄の遺体は キム自身が確認したのだし
何より、この男は自分の兄ではない。

しかし警察に通報し やって来た警察署長が
男の運転免許証、パスポートを改めると
確かにウォード・プレスコット 本人のものであり
兄の腕にあった タトゥまである。

男は、キムは身のまわりで
あまりに衝撃的なことが続いたので
精神が錯乱しているのだと言い

事実は、自分の車を奪ったヒッチハイカーが
崖から転落したのだと言う。

「そんなはずはないわ！」

キムは自分の部屋に
兄の写真が飾ってあることを思い出すが
警察官が 写真を持ってくると
なんと写真立ての中の写真は この男である。

やがて翌日には 得体のしれない女と男が
家政婦や下男として 屋敷に入り込んで来た。
この男たちは いつたい何が目的なのだろう。
キムは恐怖に怯えたが

数日後、
警察署長がキムの叔父を 連れて来ることになった。

キムは 叔父は昔から兄と仲が良かったし
これで男の嘘が 暴かれると期待するが
しかし、叔父までもが
「ウォードじゃないか、元気だったか！」と 抱き合う始末。

「嘘、嘘、どうなっているの・・」

あるとき男は キムにダイヤモンドの行方を尋ねた。

実はキムの父親は 生前、会社から
1000万ドル相当のダイヤモンドを 自分のものにしたが
死後、その行方が判らなくなっていた。

ここで男たちの目的が
ダイヤモンドであることを 知ったキムだったが
彼らに責められ
自分がモロッコの銀行に 預けたことを告白した。

男らは 預金引き出しの書類と
自分たちが作成した キムの遺言状にサインをさせ
溺死させようと キムを海岸に引きずって行く・・・

と、ここまでに しておきますね。
あのおじさんに 叱られそうだし・・・

この映画ね、ほんとに面白いですよ。
今みんなが想像している結末は 見事に全員ハズレですわ。