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海外翻訳会社の評判を確認できるレビューサイト3選

円安が続く中、海外の翻訳会社との取引を増やしている方は多いと思います。たとえワード単価1桁代のスターターレートだったとしても、米ドルやユーロ、ポンドの0.08を今の為替で日本円に変えれば12円以上になるわけで、日本の会社と8円で取引するよりもずいぶん助かりますからね。

ただ、海外の会社と取引を始める際に困るのが、相手がどんな会社なのかよく分からないところ。万一報酬の受け取りなどでトラブルが発生しても、その国まで取り立てに行くわけにも行かないので、実際に取引を始める前にできる限り評判を確認しておきたいところです。

そこで今日は、海外の翻訳会社の評判を確認できるレビューサイトを3つご紹介したいと思います。

Proz.com Blue Board


海外翻訳会社の評判を確認するなら、ProzのBlue Boardは外せませんよね。

すでに利用していらっしゃる方が多いと思いますが、Proz.comは翻訳会社とフリーランス翻訳者のためのポータルサイトです。Prozに翻訳者としてプロフィールを登録しておけば、掲載されている仕事に応募したり、翻訳会社から「うちに登録しませんか?」とお声がかかったりします。

Blue Boardは、このProzで提供されている機能で、翻訳会社から仕事を受注した翻訳者のフィードバックを集めたデータベースです。

Prozへのアカウント登録には有料版と無料版がありますが、無料アカウントでBlue Boardを表示すると下記のように点数だけが表示されます。有料アカウントの場合、個々のコメント内容のほか、レビューを書き込んだ人のプロフィールも確認できます。


Blue Boardのおすすめポイント

翻訳会社のレビューサイトとしては、知る限りで最も規模が大きく、ここで検索すれば何らかの情報が得られる場合が多いです(新しい会社や小さな会社だと、載っていない場合もあります)。Blue Boardで4点代後半の評価があれば、少なくとも料金は支払ってくれそうだという安心感が得られます。

また、Proz.comに登録しているフリーランス翻訳者が実名でレビューしているので、一般のレビューサイトに比較すると、無責任なコメントは少ないと言えるでしょう。正当な理由もなく低評価を付ければ自分の評判にも関わるわけですから、低評価が付いている場合「本当にもめ事があったんだな」と判断できます。

Blue Boardを利用する際の注意点

Blue Boardの点数は、「ちゃんと翻訳料金の支払いをしてくれるか」という1点に大きく左右されます。たとえば、他の面で少々難のある会社だったとしても、支払いさえキッチリ期日内にされていれば高評価になる傾向があります。

でも「きちんと支払いを受け取れるか?」というのは海外の会社と取引する上で最も気になるポイントなので、頼りになるサイトであることに変わりはありません。

Trustpilot

2007年にデンマークで設立された、オンラインビジネスのレビューサイトです。Googleレビューや食べログ、ホットペッパービューティーでは、実店舗のあるサービスに対する評価を確認できますが、それのオンラインサービス版といった感じで、翻訳に限らずさまざまな分野のサービスに対する消費者レビューをカテゴリーや企業名から検索できます。


Trustpilotのおすすめポイント

ProzのBlue Boardが翻訳者からのレビューだけなのに対して、Trustpilotではサービス利用者(エンドクライアント)からの評価も確認できます。クライアントが「この翻訳会社に頼んで良かった。翻訳の質が高かった」と評価している会社なら、自分も翻訳者として登録してみたいと思いますよね。

Trustpilotを利用する際の注意点

レビュー数の多い会社と少ない会社の差が大きい点に注意が必要です。翻訳会社自体がこのサイトでのレビューを増やしたいと考えて、積極的にクライアントや翻訳者にレビューを依頼している場合、レビュー数が多い傾向にあるようです。一方で、有名な翻訳会社であっても、必ずしもレビューが載っているとは限りません。また、企業がTrustpilotフリーミアムサービスを使用している場合、否定的なレビューを削除できるらしく、どこまでレビュー内容を信用できるかという懸念もあります。

また、他のレビューサイトと同様に、レビューは玉石混交です。たとえば、その会社の翻訳サービスを利用したクライアントからの意見、その会社の登録翻訳者からの意見、その会社が提供するCATツールに対する意見、まったく関係ない別サービスに対する意見を誤って投稿したと思われるレビューなどが混じっている可能性があります。

とは言え、Amazonにも食べログにもサクラはいるし、誤爆もあるので(配送に対する文句を商品レビューとして書き込むとか)、「レビューサイトってそんなものよね」と心得て使うぶんに問題なさそうです。Blue Boardを補う目的で利用すれば、違った角度からの見解が聞けるかもしれません。

Glassdoor

https://www.glassdoor.com/Community/index.htm


中の人(社員)が会社を評価する口コミサイトです。アメリカのカリフォルニア発ですが、2018年にリクルートに買収されました。翻訳会社に限らず、世界中さまざまな企業の評価や報酬を確認できるため、英語圏で働く人たちは転職の際に必ずチェックするそうです。

会社名で検索すると、以下のように点数が表示されます。コメントを投稿したことがない場合、これ以上先には進めません。以前に(あるいは現職で)働いた経験のある会社のレビューを投稿すると、個々のコメント内容を確認できるようになります。


Glassdoorのおすすめポイント

実際に私が今まで取引した会社を検索してみたところ、フリーランス翻訳者として会社に抱いた印象と、中の人が評価する数値には、ある程度の相関関係があるようでした。

社員が毎日ツライ思いをして働いているような会社では、外注業者に対する要求もキツくなりがちです。あまり思いやりのある待遇は期待できないでしょう。

そういう意味で、その会社に登録するかどうかを検討する際に、社員のレビューは参考になりそうです。

Glassdoorを利用する際の注意点

中には赤裸々で感情的なレビューがあったりもするので、そこらへんは割り引いて読んだほうがいいかなと思います。匿名レビューサイトの宿命でしょうか。

また、レビューの言語はさまざまなので、自分の知らない言語で書かれたレビューは翻訳して読む必要があります。

まとめ

今日は、海外翻訳会社の評判を確認できるレビューサイトを3つご紹介しました。基本的にはProzのBlue Boardを中心に利用して、TrustpilotとGlassdoorで補完すると良いかなと思います。


今回ご紹介したサービスの一部は、ランサムはなさんの運営する「やさしい翻訳塾」のメンバーから教えていただきました。
やさしい翻訳塾は、本気で翻訳者を目指す「翻訳者の卵」やプロとして稼働中の翻訳者が集まり、はなさんを中心にしてお互いに学び合ったり励まし合ったりできる翻訳学習コミュニティーです。私も5、6期に参加させていただき、修了した今もDiscordでメンバーとやりとりしたり有志で勉強会を開催したりで、ずっとお世話になっています。
翻訳塾では、翻訳技術の勉強だけではなく、実際に仕事をしていく上で役に立つ情報もたくさん飛び交っているので、ご興味のある方はぜひ、はなさんのホームページYoutubeをチェックしてみてくださいね。


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