夢の中の話
全てが溶けて、形をなくしている。これとあれの境目もわからない。
これって何?あれって何?全てが溶けた世界。
僕は誰だろう。僕って何だろう。
闇で包まれているような、靄がかかっているような
前が見えないという感覚さえ溶けてしまった世界。
僕は自分自身の実態も掴めない、けれど確かに此処にいる。
君の元へ行かなきゃという思いに駆られる。
君が何処にいるのか、この先会えるのかはわからない。
この世界が何なのかもわからない。自分自身が何者なのかもわからない。それでも僕は行かなきゃと思う。
君のもとへ行かなきゃ、想いを伝えなきゃ。言葉が加えられた。
想いって何?
疑問を持つとその元の言葉まで溶けて形を失っていった。
想いって何?君って誰?君って何?僕って…。
その瞬間たしかに僕の世界に光が差して、たちまち僕の世界を支配した。
眩しさからなのかわからないけれど、僕の意識はそこで完全に溶けてなくなってしまった。
次に気が付いた時、僕の目の前に広がる世界はやはり白だった。
だけど僕はそれが何かを認識する事が出来た。
それは真っ白な天井だ。僕は眠っていたらしい。
何かひどくうなされる夢を見ていたらしい。寂しい様な、切ないような。
はたまた優しかったような夢。ただそれが何かを思い出すことはできない。
カーテンを開いて窓を開けるといい天気で気持ち良かった。
僕は生きていくよ。不意に心に浮かんだ言葉。
誰に伝えたかったんだろう。
心の表面を小さな針で刺されたようにチクリと傷んだ感じがした。
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