撮像談議#001 モノクロフィルムから想う
渇きや硬さなどといった樹木の本質を観測するために写真を撮影する場合、通常であれば情報量の多いカラーフィルムを選択することの方が、理解に容易である。
問題提起
しかしながら、実際には明度という情報のみしか保持しないモノクロフィルムでこそ本質は浮き彫りになり、カラーフィルムでは色相及び彩度という情報が本質を隠してしまうように思える。
仮説定義
そこで一つの仮説を定義した。人が何かを認識する場はスカラー集合ではなくベクトル空間である、と。つまり人はスカラー量の和に基づき知覚しているのではなく、無意識に本質的な要素と与えられた各種情報の内積を観測しているという仮説である。
結論導出
本仮説に基づくと、樹木の本質(乾きや硬さ)は、明度と平行に近く、色相及び彩度と直交に近い関係をもっており、結果として明度と色相、明度と彩度は互いに直交の関係にあるという結論が論理的に導出できる。
ただの思考ゲームではあるのだが、こんなアプローチによる分析を試みてみるのも、案外面白いものなのかもしれない。