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音響雑記#003 円盤クルクルのすゝめ

仕事が終わり帰宅すると、まずはオーディオラックに向かい、そっと真空管に火を灯す。それからゆっくりと2階にあるクローゼットに向かい、スーツを脱いでリラックスウェアに着替える。

着替えが終わり1階のリビングに戻ってきた頃には真空管も暖まっているので、ゆったりと室内楽をかけ始める。そして静かな音楽に満たされた空間の中で家族とのんびり食卓を囲む。
食後は、妻が洗い物をしてくれている間に、編成の大きな曲に変え、アルバム1つ程の間ソファーで音の流れの中に身を任せる。
そうこうしているうちに妻の家事も終わり、協奏曲にかけ変えたら、コーヒーを飲みながら家族団らんの時を過ごす。

我が家では、こんな風にオーディオの奏でる音楽が生活の中に溶け込んだ日々を送っているため、最近はその利便性からめっきり円盤再生をする機会も減り、専らファイル再生に偏っていました。

ですが先日書斎に並んだSACD達を見ていて、ふと、久し振りに聴いてみるかぁと思い再生を始めた瞬間・・・

『心地いいっ!楽器がリアルに響き奏者の感情が近いっ!』

ファイル再生メインになってからは忘れてしまっていた感覚でした。
確かに抜けの良さや透明感はファイル再生の方が優って聴こえます。ですが、何故か円盤再生のほうが音に芯があり、残響も美しく響いて聴こえるのです。

アナログディスクならまだしも、SACDは所詮はデジタルデータを記録しているメディアであり、デジタルデータをわざわざ回転させながらピックアップ経由で読み出すより、はじめからデジタルデータそのものを読み込むファイル再生の方が理論的には正確であり、つまりはより高忠実な再生がなされ、よりリアルに感じられるはず、と頭では思っているにも関わらずです。

ファイル再生の抜けの良さや透明感。円盤再生の芯のある出音や残響の美しさ。

これらの違いは決して優劣が付けられるものでは無いと思いますが、音楽に対してストイックに対峙するのではなく、生活の一部として溶け込ませたいのであれば、円盤クルクルもまた、選択肢としてはいいものなのかもしれません。

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