演奏所感#004 パーヴォ・ヤルヴィ&パリ管のシベ4
今回ご紹介するのは、北欧出身の指揮者パーヴォ・ヤルヴィがフランスの名門であるパリ管の音楽監督に就いていた時に創り上げたシベリウスの交響曲全集より、第4番です。
シベリウスは幻の第8番とその構成から交響曲と俗称される事があるクレルヴォを除き、その生涯にて7つの交響曲を遺しています。
そのうち第4番は、腫瘍を患った経験から自身の死というものを意識することになって以降初の交響曲である為か、第3番までとは大きく趣が異なっているように感じます。
第1楽章
特に第1楽章は独奏チェロの描く世界観が印象的で、
を想起させます。
これまで聴いてきた数多の演奏では、その情景の中には常に恐怖や息苦しさといった内に向かう負の感情が内在しているように感じられたのですが、パーヴォ・ヤルヴィとパリ管のこの演奏では、不思議とそれらが意識の上にのぼってくることがありません。
第3楽章
第3楽章では木管と弦の関係が何かの起こりを予感させる。
第4楽章
そして迎える第4楽章、ようやく迎えた朝日なのか、漆黒の世界に一縷の光が顔を覗かせる。しかしそれもやはり幻だったのかもしれない。
標題音楽ではないはずなのに、目を閉じるとそんな情景が眼前にはっきりと浮かんできます。ふと新婚旅行の北欧クルーズで甲板から見た景色を思い出しました。
もしかしたら浮かんでくる情景は、聴く者の心に拠るのかもしれません。
興味を持たれた方は是非一度、シベ4を聴きながらそっと目を閉じてみてください。
皆さんにはどんな情景が見えるのでしょう?