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「通訳」を探す派遣会社、企業担当者へ


1、 給料の問題について

はっきり言って、給料が安すぎます。

1995年ごろ、私は派遣会社で時給5000円のフルタイムで3ヶ月働くことができました(竹中平蔵時代以前の理想的な時代)。

しかし、近年では派遣業界の質が変わり、日本語を話せると自負する外国人や、通訳技術を学んだことのない日本人が「通訳できます」と業界に入り、通訳のレベルが大きく下がってしまいました。つまり、誰でも彼でも派遣社員になってしまうことができるので、派遣社員そのものの質が落ちてしまいました。

2、 通訳募集企業・派遣会社へのお願い

通訳を募集する派遣会社や企業の皆さんへお願いがあります。経験豊富なプロの通訳と、初心者レベルの通訳を同じ基準で採用するのではなく、適正な基準を設けて給料の幅を決めてほしいのです。

■理想の募集条件

プロの通訳に求める条件として、以下を考慮すべきです。

  • 英検・仏検・西検1級の有無

  • TOEIC900点以上、DELF・DELE C1以上の有無

  • 全国通訳案内士資格の有無

  • 日本語能力を測る試験(日本人向けの日本語テスト)

この条件を満たす通訳には、以下の給与水準を適用してほしいです。

  • 時給: 3500〜4500円

  • 日給: 35000〜45000円

3、 なぜこの条件が必要なのか?

外国語の能力は、公的な試験で測ることができます。しかし、日本語については「日本人なら誰でもできる」と思われがちですが、それは誤解です。

通訳に求められるのは、日本語と外国語を双方向で自然に操れる能力です。そのため、企業は面接時に語学試験の問題を使って日本語能力をチェックし、その結果に基づいて給料を決めるべきです。

例えば、高校の現代文のテストや漢字テストを利用してもよいでしょう。重要なのは、スマホやPCなしで適切な言葉を使えるかどうかです。オンラインでもできますよ。

4、 通訳の質の低下について

日本を代表する大手企業の通訳には、カタカナ英語しか話せない日本人や、適切な翻訳ができない外国人がいることがあります。ネイティブスピーカーは多少のミスを許容してくれるため、実際には正しく話せていなくても通じてしまうのです。

結果として「いないよりマシ」な通訳もどきが大手企業の現場に入り、通訳の地位が下がる一方になっています。

5、 実際にあった問題事例

あるネイティブスピーカー(日本語能力試験1級取得者と自称)が、日本の大企業で通訳をしていました。私が追加で参加した際、彼の翻訳には以下の問題がありました。

  • 外国語が日本語の内容に合っていない

  • 日本語が不自然だが、企業側は「まあいいか」で済ませている

その後、彼は技能実習生とうまくやれず解雇されました。退職時に彼は「Google翻訳を使い、見直しもしていなかった」と発言しました。

このような状況を許容する企業は、通訳の価値を理解していません。通訳の対価が軽視されるのであれば、私はそのような企業では働きません

6、 きちんとした通訳を募集するために

企業は、以下の手順で通訳の能力を判断し、適切な給与を設定すべきです。

  1. 資格の確認(通訳案内士資格、語学試験の結果)

  2. 面接時のテスト実施(オンライン可)

  3. 結果に応じた給与設定

また、経験の浅い通訳には時給1500円程度を設定し、資格保持者や実力のある通訳には時給3000円以上を支払うべきです。募集要項には「時給1500〜3500円、資格と面接テストにより決定」と明記すればよいでしょう。

7、 通訳の環境整備も重要

福岡、広島、大阪、愛知、群馬、栃木などでの通訳募集が多いですが、宿舎の有無が応募を左右します

例えば、トヨタ自動車の豊田市にはオアシスというゲスト宿舎があり、多くの通訳が無料で利用できます(実際は会社が負担)。しかし、宿舎を用意しない愛知県の派遣会社が募集しても、資格を持った通訳は応募さえしません

宿舎を用意せず「通訳が集まらない」と嘆く企業は、状況を理解していないのです。

8、 最後に

  • 通訳の給料は適切に設定されるべき

  • 経験の浅い通訳とプロを同じ基準で扱うのは誤り

  • 企業は資格とテストで通訳の能力を判断するべき

  • 宿舎を用意することで、通訳の応募を増やせる

企業側が適正な評価を行わなければ、通訳の地位は下がる一方です。現場の質を守るためにも、しっかりとした採用基準と待遇の改善が求められます。

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