餅臼を敷き詰めた舞台、そこは神が降臨し、村を代表する場。
江戸時代、農村舞台の建てられた場所のほとんどが、社寺の境内か、その隣接地という宗教的な場所に限られていた。それは、神仏へ奉納する芸能を演じる場所としての舞台が、本来持っていた宗教的な性格を示していると考えられている。
農村歌舞伎舞台を仮設する一つの形式として、床下に臼(うす)を敷く舞台がある。重い臼をわざわざ持ち出し、使用後は疵をつけないように大急ぎで返却することを、単なる便宜のために行っているとは思えない。日本各地のどこでもに見られることから、臼という民具の持つ民俗性が由来していると思われる。
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