【サステイナブルツーリズム】長期目線で考えるこれからの観光戦略(持続可能な観光)
これからの時代さらに求められるサステイナブルツーリズムについて解説していきます。
サステイナブルツーリズムに関しては観光業界の中でも馴染みがないという方も多いと思いますが、今後最も重要なトピックになってきています。
サステイナブルツーリズムとは?
観光地の本来の姿を持続的に保つことができるように観光地の開発やサービスのあり方を見定め旅行の設定を行うこと
つまり、本来の魅力を持続されるように観光の誘致を設定をしていくことです。
なぜサステイナブルツーリズムが言われ始めたのか?
ここ10年間で世界のインバウンドが急増しました。コロナ以前は国際観光客が増えたことによっていろんな観光地に人が殺到しました。良かった面もありましたが、副作用として悪い影響も出ました。
観光公害(オーバーツーリズム)として例えば、
・今までよりも騒音がうるさい
・ゴミを捨てる人が増えた
・山などでトイレの数が足りない
・観光地で民泊業者が原因で家賃が上がる
・地価高騰が地域住民の生活を苦しくする
そんな中、サステイナブルツーリズムと言われるようになりました。地域の観光の魅力を残して環境の破壊などを無くしていこう。「長期的目線」での観光作りから生まれた言葉です。世界的にもオーバーツーリズム対策を言われるようになりました。コロナの影響で観光が止まり、観光公害やサステイナブルツーリズムで見れば良い影響も出ています。
ベネチアの水が透明に、新型コロナによる外出禁止で水路に魚集まる
世界トップクラス観光地ということは逆にオーバーツーリズムによる悩みも多い。観光が止まって観光地の環境が良くなってきています。地域住民の生活がしやすくなり、これまでどれだけ地域の生活や環境を壊してきたのかということを、観光業者としては考えなければなりません。
世界のサステイナブルツーリズム事例〜「マス・ツーリズムからの脱却」を宣言したオーストリア・ウィーンの戦略〜
「観光客の経済戦略2025」という先手を打っています。同戦略のモットーは、「シェイピング・ウィーン」です。これは観光客が地域住民の重荷として認識されるような都市にならないために、どうすべきかを定義したものです。ウィーンの市長を務めるMichael Ludwig氏は「ウィーンは観光のためになにができるか」ではなく「観光客はウィーンのためになにができるか」を問いかけています。
ウィーンの観光局は以下の6項目を抽出し、対外的にアピールしています。
・ウィーンのGDPに対する観光の貢献を40億ユーロから60億ユーロに増やす
・宿泊から得られる収益を9億ユーロから15億ユーロに上げる
・ビジターの満足度では10人中9人のゲストがウィーンを勧めるという現在の高レベルをキープする
・観光に対する姿勢は10人中9人の住民が観光を肯定的に見ているという圧倒的な前向き姿勢をキープする
・オーストリアのエコラベルを取得できる観光サプライヤーの数を112から224に倍増させる
・列車利用の訪問者(21%)と自動車利用の訪問者(26%)の割合を逆転させる
これらの目標を達成するために、ウィーンは、「ベルリンで開催される主要な国際交流イベントITBに参加しない一方で、小規模な専門見本市には参加する」「長距離便を中心に宣伝し、オーストリア航空などのレガシーキャリアとのみ協力し、LCC(格安航空会社)との提携はしない」などの方針を打ちだしています。
参考文献:「観光再生」サステイナブルな地域をつくる28のキーワード 村山慶輔[著]
さいごに...
今後の観光は「量より質」への流れが加速していくと考えられます。これまでの観光はクオンティティーツーリズム=量の観光を追い求めてきましたが、これからはクオリティーツーリズム=質の観光が求められる流れに大きく動いています。どんな人にどのくらい来てもらいたいか?具体的に事前にターゲットを設定することが重要です。誰でもいいか呼ぼうという観光誘致のスタイルはもう古く、「しっかりと現地に合うような現地のことを理解してくれるような質の高い観光客の人達を誘致」が主流になります。
つまり、人数ではなく質を求め現地にお金を落としてくれるなどをしっかりターゲットしていくことが大切になってきます。これからサステイナブルツーリズムというのが今後コロナが落ち着いた後もかなり重要なキーワードになっていきます。ぜひ観光業界の方はサステイナブルツーリズムというところを意識して今後の観光というものを作ってみてください。
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