#1「日本国」は既に耐久年数間近

筆者 清水口健斗

 このタイトルの意味するところとしては戦後76年続いてきた日本国憲法下における民主制国家である我らの日本国の統治システム、すなわち国のあり方が劣化して時代の変化に十分に対応することが出来なくなっているのではないかということです。この統治システムの劣化はもはや小手先の改革で食い止めることは不可能であり、日本国という枠組みをすっかり捨て去って名実ともに全く新しい体制を構築しなければならないというのが僕の基本的な考えであります。

なお筆者はこの主張を定量的に裏付けるために必要な経済学や統計学、社会学等の学問を大学等の教育機関で修めていないため素人の付け焼刃的な理論にはなってしまいますが、その中でもできるだけ体系だった説明を行うよう努力しますのでどうかご容赦ください。また小説に少しでも賛同いただいた方、お考えが違っていても一向に構わないのでコメントやTwitterのDM等で是非この国の未来のために筆者に力をお貸し下さい。無学な筆者一人では何も為せませんが全国の英知を結集すれば為せぬことはないはずです。特に文系の専門教育を受けたお方や政治家、役人の経験のあるお方、どうかお願いです。今は筆者の拙い文章しか手段がありませんが経験と教養のある貴方がこの運動に加わって下さればその何万倍もの影響力を持てるはずです。危機に瀕している日本社会を救いたいという気持ちは同じはずです。どうかよろしくお願いします。

本題に入ります。僕の考えをより具体的に説明すると、社会全体の高齢化の進展に伴う政治経済のリーダー層の高齢化により価値観、産業の新陳代謝が停滞するとともに、急激な人口減少や20年以上に渡るデフレ経済等の影響によって今まで幅広く受け入れられていた、適切な投資を行えばその利益は何倍にもなって戻ってくるという「経済成長に伴う進歩の物語」が疑問視されるようになって世間全体が保守化しあらゆる分野での現状維持を望むようになり少子高齢化、脱工業社会への転換に必要な変革を怠るようになってズルズルと現状維持の幻想にしがみつき、とうとう国家としての責任を果たして国民の生活を守ることが出来ないところにまで来てしまったということです。

上述のストーリーは今までも「ゆでガエル理論」として新書やネット記事などで盛んに喧伝されて政府などもこれ以上の地盤沈下を食い止めるために随分と手を打ってきましたが残念ながら今回のコロナ禍でそれらは抜本的な改革には程遠いことが証明されてしまいました。一番わかりやすい事例は社会全体、特に行政のデジタル化の遅れです。メディアでもたくさん取り上げられましたからみなさん既にご存じではあるとは思いますが2000年代から多額の予算をつぎ込んできたのにもかかわらず日本のデジタル行政は職員や利用者の負担を軽減するという文脈においては全く役に立っておらず、危機下において迅速な対応を行って国民の生活を守るという国家の最も重要な役割も危ぶまれていることは誰の目にも明らかです。これはよく言われるように省庁や自治体でシステムがバラバラでデジタル化の本領である共有化が全く発揮できていない事やどの手続きも押印を必要とするために申請がオンラインと紙の二度手間になっている事もありますが、行政にデジタルの専門知識を持った人材が殆どいない事や役所とITベンダーの癒着関係により本来であればとても売り物にできない出来のシステムが納品されているというもっと根深く厄介な原因も存在しております。このようにデジタル化の遅れはここ十数年の日本社会の抜本的な改革の怠りの象徴とも言えます。

さて、日本の統治システムの劣化に話を戻すと、デジタル化以外にも様々な症状が無視できないものとして表面化しています。これからその問題を列挙してその解決が体制の内側、つまり現在の日本国体制を維持したままでは極めて困難であるという理由も付け加えてご紹介します。

一つ目は出生率の向上目標です。現在のところ家族政策に割く予算は増えているものの未だ十分ではなく子育て負担を軽減する制度設計についても不完全であり出生率は人口置換水準に遥かに及びません。これは主に政策設計を行う側に若手や女性が極めて少なく当事者意識が低いことと、高齢化率の上昇により選挙対策として高齢者福祉を重視する傾向にあるというのが構造的な原因であります。現在の保守的で高齢化、硬直化した政権下では女性の登用に長い時間がかかることと、シルバー民主主義の抜本的な是正には高齢者からの大きな反発が予想されることからこれを体制内から変えることは極めて難しく、また急激な人口減の中そのための時間も残されていないと筆者は考えております。体制を改めれば過度に保守的な政権の問題は解消が見込めますし、改革の潮流に乗って一気にシルバー民主主義の是正を進めることが期待できます。

二つ目の政治の乱れや権力による市民の権利に対する干渉もまた深刻な問題でして、これは国民の政治不信により権力の監視がなおざりになりつつあるということと将来への不安により権威主義的な考えに同調する人が増えているという原因があります。これもまた野党が弱小で当分の政権交代が望めない現在の状況においては体制内からの解決は不可能でしょう。逆に新体制を樹立すれば権力の付け入る隙を我々自ら立法などで埋めることが出来ますし、将来不安から権威に逃避する人々も今までのしがらみがないぶん、物質、精神的な援助により効果的に救うことが出来るはずです。

三つ目の自動車に代わる新規産業の育成が進んでいないことも問題です。菅首相が新しく目標に掲げたように今後の世界はグリーンとデジタルが飯のタネになることが見込まれていますが我が国はかつてこの分野でリードしていたにも関わらず、直近十数年の間に変革を極度に嫌ったことのツケが回って世界に大きく後れを取ってしまいました。これは政治行政のみの問題ではなく、企業経営者や一般市民の間でも現状維持ムードが蔓延して新規事業の開拓を怠ったことが原因であります。これまで政府も停滞感の払しょくを試みて様々な手を打ちましたが政治不信に陥って久しい世論には空しく届かずにいます。この解決は今まで述べてきた問題の中で最も困難であります。なぜなら事業開拓の環境を整えて出資者や起業家のバックアップを行うだけでなく政治不信を払しょくして政府の信頼を取り戻したうえで再び社会の隅々にまで「経済成長に伴う発展の物語」を布教しなければならないからです。一度信頼を失った人が再び信頼を回復し、その話を誰もが信じるようになるまでにどれほどの労力が必要かを少しでも想像されればその前途多難さはご理解いただけると思います。そのためにも今までの日本国とは全く違う体制を樹立して心機一転取り組むことが何としても必要不可欠なのであります。

今回は初回として筆者なりの日本社会の現状分析についてそのあらましを述べさせていただきました。次回からは現在の日本社会の幕末期との比較や筆者が「日本国」に代わって新たに樹立することを考えている体制「日本連邦」について述べさせていただきます。お読みいただきありがとうございました。


 

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