結婚1年目のお祝いは紙婚式と言うらしい
今日で、結婚して丸1年を迎えた。
数カ月前に、夫が、
「金婚式とか銀婚式とかの結婚記念日の名前ってどのくらい種類あるんだろう?」
と言い出し、スマホで調べていた。
見せてもらったら、めっちゃあった。
よくこんなに名前をつけたな、というくらいめっちゃあった。
沢山ありすぎたので覚えきれなかったが、結婚1年目のお祝いは「紙婚式」ということだけ覚えた。
迎えた今日。
夫は仕事。
私は夕方から短時間だけバイト。
お祝いのディナーは祝日の明日に予定していたから、今日はいつも通りの日だった。
私は欲望の赴くままに一日中よく眠り、のそっと起き出してバイトに行き、20時過ぎに帰宅した。
帰宅したら、夫が夕飯を作っていた。
いつも通りの光景。
「晩ごはんありがとう!」
といいながらリビングのこたつに向かった私。
綺麗に片付いたこたつの上には、包装紙で包まれた箱と、夫から私に宛てた手紙が乗っていた。
「え、なになに、うそ!?どうしよう!」
と大騒ぎする私。
「結婚記念日のお祝いだよ」と言い、料理をしながらそれを優しく見守る夫。
優しく包装紙を開くと綺麗な木の箱が出てきた。
さらにそれを開けると、扇子とそれを入れる渋いピンク色のケースが入っていた。
扇子を開いてみた。紙の部分はケースと同じ渋いピンク。要に近い木の部分には小さな花の絵があしらわれている。品があって、とても可愛い。
「紙婚式だから、紙製品がいいなと思って。あおいちゃん、着物着るからそのときに使ってほしいなって。」
夫が嬉しそうに笑う。
なんと素敵なプレゼントなんだろう。
何も用意していなかった(というか用意するという考えすらなかった)自分を恥じつつも、嬉しさで胸がいっぱいになった。
手紙には、この1年の感謝が綴られていた。
いやいや、家事いっぱいやってもらって、家計も支えてもらって、感謝するのは私の方なのに。
すごくすごく、嬉しかった。
私はなんて愛されているんだろう。
ニコニコしながら私の隣にいて、支えてくれるパートナーがいることが嬉しくて、有り難くてたまらない。
結婚1年目のお祝いが紙婚式だということを、私は一生忘れないだろう。
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