【利上げ・利下げって何?】日銀、金融政策を分かりやすく解説
最近、利上げによる株価暴落?!などと、金利と株価のニュースで混乱している国民が多いかと思います。
今日は、金利についての基礎があれば、ニュースやトレンドで動じることなく、今後の資産形成においてしっかりと計画できるようになります。
ですので、今日は一緒に金利について学んでいきましょう★
今日参考にした動画はこちら↓
ほんね銀行 地下第一支部さんの動画はとても勉強になるので、投資初心者の方におススメです。では、本題に入っていきましょう!
何故日銀が?物価と通貨の関係
そもそも中央銀行のミッションとは、物価の安定です。物価の安定=通貨の価値の安定。
どういうことかというと、今まではマヨネーズ1個100円だったのが物価が上がり、200円になった。これは、物価の上昇=インフレとも言えますし、通貨の価値の下落とも言えます。
もしこの物価上昇の流れが止まらなければ、通貨の価値はどんどん下落して、通貨の信用を失ってしまいます。
そこで日銀は通貨の安定のために働きます。お金の正式名所は日本銀行券ですからね。
ちなみに、なぜ国じゃなくて日本銀行なのかというと。独立性の観点です。各国の歴史的に見ても、中央銀行の金融政策には、国からの圧力がかかりやすいのです。
例えば、ハイパーインフレで有名なジンバブエでは、激しい物価上昇でも、公務員や兵士への給料の為に国が通貨の発行命令を出し続けていました。ただでさえお金が溢れているところに更にお金を刷っていけば通貨の価値は下落、物価上昇、と言った感じでハイパーインフレとなってしまいました。
こういった事を避けるために、中立的で専門的な立場の中央銀行に金融政策を任せようというのが世界的な流れです。
では、中央銀行の金融政策について詳しく解説していきます。
金利ちゃんの前ならえ 金融政策
1,イールドカーブとは
イールドカーブとは、金利ちゃんの前ならえ(小学校で、背の順に並んで前ならえしたやつ)の事。
金利ちゃんは、2年物、5年物、10年物とお金を貸し借りする期間があります。
その金利ちゃんたちに、期間順に小さい順に並び前ならえをしてもらいます。期間順に並んだ金利を折れ線グラフ化したものがイールドカーブと言います。
期間を身長とし、身長順に並んだときの体重のグラフの様なものです。
基本的に、身長が低いと体重が少ないのと同じように、金利は期間が短い方が少なくなります。
これは、貸し手側の気持ちになると分かりやすいですね。
1,2年後に返すから100万貸して
2,10年後に返すから100万貸して
と言われたら、インパクトが全く違いますよね。
期間が長い方が、利息は多く欲しい。ですので、期間が長いと金利は高く、期間が少ないと金利は低くなります。
ですので、イールドカーブ曲線は、通常右肩上がりになります。
2,金利と物価の関係
ここでは、なぜ金利が物価と関係するかおさらいしましょう。
住宅ローンがイメージしやすいので住宅ローンを使った例。
例えば、金利が上がると、マイホームの為のお金を借りるのはやめておこうとなるように、金利が上がると人々の投資行動、消費行動を減らすので、需要減→景気後退→物価抑制となります。
反対に、金利が下がると、需要増→景気拡大→物価上昇となります。
3,とある島国の怖い話
とある島国では、金利を下げたのに、景気が良くならず物価も上がらなったのです、そう、それが我が国日本。もっと詳しく見ていきましょう。
そもそも日銀は、どうやって金利を下げたのかという話になりますが、金利というのは、”今日から5%にしよう!”と軽々と変えれるものではなく、ちゃんとオペレーションが存在します。
ですので、このオペレーションをしっかり学んでいきましょう。
そもそも金融とは、
基本的に身長の低い金利ちゃん=短期金利のコントロールで行われます。ここで発生するオペレーション①は、日銀の場合、日銀の口座の預金金利を操作します。
日銀の口座とは、日銀当座預金、略して日銀当預と呼ばれていますが、私たち庶民が利用するのではなく、メガバンクなどの金融機関です。
皆さんが銀行に口座を開いているように、銀行も日銀に口座を開いています。
なぜ日銀に口座を開いているかというと、銀行はある程度皆さんの急なお金の引き出しに備えておかないといけないので、そのお金の置き場所や、他行との決済を行った時に使います。要は、私たちが銀行口座を使っているのと同じように、引き出したり支払いに使ったりしています。
その日銀当預の金利をいじるという方法で、金融政策の基本、短期金利の操作ををします。
ここで先ほどの島国、日本の話に戻りますが、リーマンショック以降、景気があまりにも悪いので、このオペレーション①が発動されました。人々がお金を借りて投資や消費がしやすいように、金利を下げる方向に変更しました。それも、ほぼ0に。ですが、それにもかかわらずデフレが早すぎて、全く景気が良くなりませんでした。
そこで発動されたのがオペレーション②。身長の高い金利ちゃん=長期金利への働きかけをしました。2010年くらいです。
この時行われたオペレーション②の具体的な内容は、長期金利の国債を買う事。そうする事で、長期金利が下がるようにしました。
ちなみに先ほどから言っているこの金利ちゃんとは、何の金利かというと、国がお金を借りたときに発生する金利、つまり国債の金利です。
ちなみに債権とは、お金を貸したときにもらえる借用証書みたいなもので、その国バージョン、要は国に貸した時にもらえる借用証書が国際です。
で、この国債や債券は、たくさん買われると金利が下がるという関係になります。10年国債が買われて価格が上がると、金利が下がるわけです。
ここでは詳しい説明は省きますが、要は債権は価格が上がると金利は下がるのです。
では金利ちゃんに話は戻りますが、日銀は、背の高い金利ちゃん=長期国債をたくさん買い、価格を上げて、金利が下がる政策をしました。
ただ、それでもまだまだ景気が上向かなかったので、今度はもう一度オペレーション①を発動します。今度は0ではなく、マイナス0.1。そう、これがマイナス金利。
ここで打撃を受けるのが、日銀当預を使っている銀行たち。普通は預けていれば利子が乗るのに、逆にマイナスになっていくわけです。
そしてこのマイナス金利が発動された2016年に、更にオペレーション②も発動されました。長期金利である10年物の金利の目標が示され、更なる長期国債の買い入れが行われました。ちなみにその目標というのが10年物金利を0%に。つまり、イールドカーブ全体としては、短期の方は-0.1%、長期は0%で推移していくようにしたのです。
お金の量を増やせ!金融政策
1,量的緩和の金融政策とは
先ほどのイールドカーブを操作するのを質的緩和としたら、今から話すのは量的緩和。ここで取られるオペレーションは、色んな資産を買う事。
どんな資産かというと、株の詰め合わせのETF、不動産の詰め合わせのJ-REITなど。ETFだと、TOPIX連動型などで、要は日銀が日本株や不動産を買っているという事。
ETFだったら年間約12兆円、J-REITだったら年間約1800億円くらいの残高増加ベースを上限に、必要に応じて買い入れていきます。
2022年、アメリカでは逆に資産を売りました。要は、量的引き締め。具体的には、国債や政府担保証券などを民間の金融機関向けに発行して、その対価として中央銀行がお金を受け取る事で、世の中に出回る通貨の量を減らしたという訳です。
急激なインフレに対して、金利の上昇と世の中の通貨量を減らすという、量的引き締めの2つの手段で対応しようとしたわけです。
では、2022年12月20日に行われた金融政策では、事実上の利上げと呼ばれたりしていました。
2,住宅ローンへの影響
1つ目の政策、イールドカーブコントロール(金利ちゃんの背の順からの前ならえ)は、短期金利マイナス0.1で変わらず、
長期金利を0%から許容する変動幅を±0.25%から±0.5%に拡大しました。
これによってマーケットはどう変わるのかというと、
住宅ローンの変動金利は短期金利を参考に決定され、固定金利は10年などの長期金利を参考に決定されると言われています。この時変更されたのは10年物、なので固定金利の方が上がりやすいのです。
ただ、住宅ローン金利は銀行によって独自に決まるので、一概に言えた事では無いですが、長期も短期も急にドカンと上がる事は考えにくいと思います。
3,為替への影響
為替については、他の国と比較してみてみましょう。例えばアメリカは日本よりも物価上昇が激しかったので、物価上昇=通貨の価値下落を抑えるため、早い段階で利上げ懸念が出ていました。
例えば100万円持っていた場合、円預金だと0%、ドル預金だと金利2%が乗って、利息を2万円貰えるなら、そりゃみんな円を売ってドルを買いたくなるわけです。
そうすると円の需要が低くなるので、円安ドル高になるのです。
ですが今は、アメリカのFRBでは金利を下げるのでは?と噂されていたり、7月31日には日銀の0.25%の利上げが発表されたりと、円とドルの金利差が縮小する可能性もあります。
4,株への影響
株については、金利が上昇すると基本的に下がります。その下げ幅はグロース株の方が大きいです。それを3つのポイントから見ていきましょう。
1,金利と株
株にとって金利上昇はマイナス。債権でそれなりの利回りを得られるなら、リスクを取って株を買う必要が無いからです。
しかしそんな中でも2022年上昇したのが銀行株、保険株。なぜなら銀行や保険は長期国債で運用する事が多いから。
その長期国債の利回りは、今までの超低金利からやや上がる事で、銀行、保険は収益を上げやすくなるという事が背景にあります。
逆に金利上昇でダメージがでかいのは、不動産や、借り入れが多くて財務体質が悪い企業。
2,為替と株
まず、今まで円安で悪影響を受けていたところが円高で業績が回復する可能性も視野に入って、株が変われたりします。例えば、小売りや食品など。
100均などは、円安の影響で材料の値段が上がっていたけど、価格は100円のままなので利益が減っていた。それが円高になる事で材料が安く手に入り、これが解消されるのです。ニトリやセリアなどの、低価格が強みになっている企業は、利上げの時に注目すべきです。
3,需要と株
いまは金利が上昇しているので、景気が良いと定義できます。でもこれが景気が悪いとなるとどうなるかというと、需要が減り、多くの企業の業績が悪化する事になります。なので、通常株価が下落する局面になります。
そういう時は、景気後退にあまり影響を受けない、生活必需品やインフラなどの株がいいでしょう。逆に、半導体、自動車などは景気動向の影響を受けてしまう景気敏感株なので、株保有時は注意が必要です。
長くなりましたが、金利の基礎まとめは以上です!
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。★
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