米農家での修行3ヶ月目の高ぶり~2013年8月編~
3ヶ月目の高ぶり
32枚の田んぼ、とにかくいろんな場所に田んぼがあったな。師匠が色々な方から遊休農地を借りてやっていました。年をとってできなくなった人や病気でできなくなったとかそれぞれ事情があります。
畑や田んぼ、それぞれの家庭にドラマみたいなものがあるんだなと3ヶ月目あたりから細かいことがわかってきました。
ある地主さんが脳梗塞で倒れて、できなくなってしまった田んぼを師匠が借りて米を育てている場所がありました。もう一度元気になって育てて欲しいという師匠の思いがあり、地主さんに一度動けるようになったときに見に来てもらいました。目があまり見えなくなっていたようですが、田んぼの前に来たときは感動して涙を流されていました。
僕はこのころまだ
「遊休農地がなんで増えるんだ、持ち主がしっかりやらないと」という考えがありました。しかし、師匠と地主さんを見ているとそんな考えは一瞬で消え去りました。そして、自分も目頭が熱くなって涙をこらえていました。
やりたくてもやれない事情がある、受け継いでいきたいけど受け継げない事情がある。好きではないけど仕方なくやってる人もいる。
人を育む大事な米つくりがこんな状況であってたまるか!
状況は悪い、だからこそやらないといけない。自分の中になぜか高ぶる思いがこみ上げて、その後の農作業に対する気持ちは今までと違う心の在り方で向き合いやっていけるようになりました。
師匠と草ボーボーの道の草を刈って、軽トラが上がれるようにしました。
私が借りた畑はとうもろこしを植えてみました。かなり遅い時期に植えてしまいました。
師匠一家のお米で作ったどぶろくです。地元の方が作ってくれました。めちゃくちゃ美味しかったです。
あとがき
農地の利用権設定とか組合とか水利権とか農地にまつわること、またその地域の事情とか今まで見えていなかったことが現れてきた月だったと思います。農業で生きていくための素地みたいなものをここから少しずつ学べていけたと思います。作業や栽培だけでなく、農にまつわる人情も学ばさせていただけたように思います。