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2024年もAWS re:Invent金融セッションの注目テーマはレジリエンス! MUFGの戦略子会社のアーキテクトが注目する金融セッション5選

三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下MUFG)の戦略子会社であるJapan Digital Design(以下JDD)でSolution Architectをしている木美です。

AWS re:Invent 2024(毎年米国・ラスベガスで開催されるAWS最大のグローバルカンファレンス)にご参加予定のみなさま、渡航の準備は順調でしょうか?
セッション予約もぼちぼち始まるのではないかと思います(AWS re:Invent 2023では10月中旬に予約開始でした)
本記事では、金融業界におけるクラウド活用に心血を注いでいる私の目線からAWS re:Invent 2024の注目の金融セッションをご紹介したいと思います。セッション予約の際のご参考になれば幸いです。

セッションカタログは以下で公開されています。こちらの内容をベースに注目セッションをご紹介します。セッションカタログベースでの解説になりますので当日のセッション内容とは相違がある可能性がありますがご了承ください。https://registration.awsevents.com/flow/awsevents/reinvent24/public/page/catalog


AWS re:Invent 2023のおさらいと2024の注目テーマ

AWS re:Invent 2023で注目を集めていたテーマは何だったかと問われれば「Generative AI」と多くの方が 答えるかと思います。そんな中、金融セッションに限ってみれば「レジリエンス」が注目テーマだったと以下記事で自説を述べました。

今回、AWS re:Invent 2024のセッションカタログをながめた個人的な感想は

今年も金融セッションの注目テーマは"レジリエンス(Resilience)"だ!

です。

もちろん、金融セッションにもGenerative AI関連の面白そうなセッションは多数あります。一方で、Capital One、Fidelity Investments、Stripe、Vanguardという名だたる世界の金融機関がレジリエンスに関連したセッションを予定しています。今年も引き続き「レジリエンスが注目テーマ」と勝手に主張し、関連セッションをご紹介したいと思います(どうせGenerative AI関連セッションはAWSさんや他の方が紹介するだろうという天の邪鬼な面もあり…)

注目セッション5選を紹介

ARC334 | Building resilient applications on AWS with Capital One

まずはCapital Oneです。Capital OneはAWS re:Invent 2023でもレジリエンスに関する全般的な取り組みを紹介していました。
AWS re:Invent 2023 - Capital One: Achieving resiliency to run mission-critical applications (FSI314)

今年もAWSにおけるレジリエンスのベストプラクティスについて触れつつ、設計のトレードオフやユースケースに合わせた意思決定方法まで解説してくれるようです。昨年もCell-basedアーキテクチャやオブザーバビリティ、カオスエンジニアリングについて触れられていたものの、詳細までは紹介されなかったため、この辺りの詳細がうかがえることを期待しています。また、単にベストプラクティスを語るだけではない点も良セッションの予感がします。

FSI318 | Fidelity Investments: Building for mission-critical resilience

つづいては、Fidelity Investmentsです。Fidelity InvestmentsではAmazon EKS上に取引処理プラットフォームを構築しており、本セッションでは、AWS Fault Injection Serviceを用いたカオスエンジニアリングの取り組みについて紹介してくれるようです。このカオスエンジニアリングを実践しているツールのことを "chaos buffet" と呼んでいるそうで、全アプリケーションの50%でカオスエンジニアリングを実践しているとのことでした。

"chaos buffet" とはユニークなネーミングですね。ラスベガスがバフェ(ビュッフェ)が有名なので名付けられたのでしょうか?余談ですが、私も過去のre:Invent参加時にはシーザーズパレスのバフェに行きました。カニが目を引きますが砂漠の真ん中だからか(?)、カニより肉の方が美味しかったです。肉はアメリカらしい巨大な肉塊から取り分けてくれます。

シーザーズパレスのバフェの肉コーナー(AWS re:Invent 2019参加時に筆者撮影)

FSI321 | How Stripe achieves five and a half 9s of availability

話を戻して、Stripeの事例セッションです。個人的には本セッションに非常に期待しています。Stripeのグローバルに渡る決済システムで99.9995%の稼働率を達成するためのアーキテクチャ、監視、インシデント対応ワークフローを紹介してくれるそうです。本セッションではレジリエンスを高めるための運用面まで踏み込んでお話してくれるようなので貴重な話が聞けそうだなと期待しています。

FSI322 | How Vanguard rebuilt its mission-critical trading application on AWS

次はVanguardです。投資家向けの取引プラットフォームをAmazon AuroraやAmazon DynamoDB、Amazon ECS + AWS Fargateを用いて作り直して99.99%の可用性を達成したそうです。マルチリージョンでのデータ同期の話もされるようなのでグローバルDBやグローバルテーブルの話がされるものと想像されます。また、ECS + Fargate構成で大規模なミッションクリティカルシステムの事例が聞けるという点も貴重ではないかと思います。

FSI314 | Service event replay: Stress-testing your architecture’s resilience

最後は顧客事例セッションではなく、金融サービスのレジリエンスをテーマに対話的に議論していくChalk talkです。Chalk talkはセッション形式のひとつでホワイトボードを用いて登壇者と参加者が対話的に議論を進めていくライブ感のあるセッションになっています。
このセッションでは、サンプルアーキテクチャを用いて、レジリエンス観点でのアーキテクチャレビューや過去の実際の障害を想定したレジリエンスの評価をChalk talk形式で進めていくようです。レジリエンスを強化するための方策についても議論するとのことです。とても面白そうですし、レジリエンス向上を進めるための全体感がつかめるセッションではないかと想像します。

個人的には即興性のあるChalk talkは好きなセッション形式です。また、Chalk talkはアーカイブ動画が公開されないケースが多く、その場限りのセッションになっている点も参加する価値があると思います。

過去のChalk talkセッションの様子(AWS re:Invent 2023参加時に筆者撮影)

おまけ:レジリエンス以外の注目セッション

AES303 | Degas uses generative AI on AWS to help smallholder farmers in Ghana

日本のAgri-FinTechスタートアップのDegasがなんとChalk talkで登壇予定とのことです(顧客事例でChalk talkは珍しいように思います)。Amazon Bedrockを活用してアフリカの小規模農家の生産性と収入の向上に取り組んでいるとのことです。事業的にも非常に興味深いですし、実践的なBedrockの活用方法についても気になります。こちらもChalk talkですのでライブ感のある面白いお話が聞けそうです(やっぱりGenerative AI関連も気になる…)

まとめ

AWS re:Invent 2024ではレジリエンス関連の金融セッションに参加してみようかなという気になっていただけたでしょうか?国内の金融機関でもレジリエンスは活発に議論されているテーマと認識していますので、ぜひ今回ご紹介したセッションにも注目・参加いただいて、意見交換させていただけますと幸いです。

最後までご覧いただきありがとうございました!


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Architecture Team Lead / Senior Solution Architect
Yuta Kimi